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杜甫 岩波新書

川合康三

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004313922
ISBN 10 : 4004313929
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2012
Japan

Content Description

李白と並び称される唐代の詩人・杜甫(七一二〜七七〇)。名門の家に生まれたが、苦労してなった官僚の職をわずか四年で辞め、貧困のなかで放浪生活を送った杜甫は、社会や現実を凝視して、苦難を乗り越える意志を力強くうたう詩をのこした。その悲惨な生涯をたどりながら、世界との抗いを生々しく描いた代表作を読み解く。

目次 : 第1章 諸国を漫遊する/ 第2章 官をめざして/ 第3章 漂泊の旅暮らし―成都まで/ 第4章 成都にて/ 第5章 再び漂泊の旅へ―長江を下る/ 終章 評価の変遷と文学の特色

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • べる

    杜甫は悲惨な生涯の中で絶望に沈むことなく希望を抱き続けた。詩は実人生との深い関わりでつくられるため年齢と共に成熟すると言われる。若い時、朝廷から追放された李白との出会いは杜甫にとって大きい。人は自然と対等で一体に存在することで人本来のあり方を実現できるという理念を抱く杜甫。詩に「はじる」という意味の字が多い。今の自分は満開の花に対してみすぼらしいと心が乱れることもあったが、それでも自然と向き合い続けた。そして杜甫も李白も大地の上で死を迎えた。作品が遺されたのは放浪中にずっと運び続けたから。詩が人生だった。

  • S.Mori

    詩聖と呼ばれる杜甫の生涯と作風の変化を解説した本です。苦労が多く救いのない人生だったことが分かります。下っ端の役人の仕事は窮屈になってやめてしまい、日々の食事も事欠く状態。でもあらゆる意味で革新的な詩を書き続けました。貧しさとか兵役で家族を失う心の痛み、自然に投影させた自分の心情など。現在の詩では当たり前の主題ですが、杜甫が生きていた8世紀には散文的と思われることを臆せず詩にしました。とてつもなく大きな家を作り、そこに貧困に苦しむ人達を招きたい、と書く優しさが何とも言えず好きです。

  • さとうしん

    杜甫の詩を読み解くというよりは、詩から杜甫の人生を読み解くという方向。才気煥発だったらしい少年時代、李白への半ば片思いのような敬慕、そして諧謔をまじえて描き出される窮乏と流浪。詩を切り出された断片として読むのではなく、詩人の人生という文脈から読む面白さを教えてくれる。

  • もち

    詩をまじえながら、わかりやすく杜甫の人生を辿った本。中学生の頃から『杜甫ノート』などを熟読されていたことに驚いた。

  • お抹茶

    才気ほとばしる不羈奔放な少年が,あまたの苦難に出くわし,人生の悲しみを伝える。世塵をまとわぬ李白に杜甫は強く惹きつけられた。杜甫は自分を複層的に見て,世界を既知の存在として把握せず,不可知の領域をも見ようとする態度と繋がっている。秦州時期に目立つのは現実を乖離する奇怪な景物の描出で不安な心境と結ぶついている。成都時期では,現実の様相を鋭く切り取って表現する。杜甫晩年の詩には,外界と自分が溶け合う一段高い世界がある。下男に対しても同等な人間としてその働きに感謝した。

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