ルンタ

山下澄人

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062191913
ISBN 10 : 4062191911
フォーマット
出版社
発行年月
2014年10月
日本
追加情報
:
232p;19

内容詳細

1996年より劇団FICTIONを主宰。2011年より小説を発表しはじめ、2012年「ギッちょん」で芥川賞候補、同年初の創作集『緑のさる』で野間文芸新人賞を受賞。2013年「砂漠ダンス」で芥川賞候補。同年、「コルバトントリ」で芥川賞候補となる。今最も注目される作家、山下澄人氏最新作。
人間という暮らしにうんざりした、というわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。
生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。
天性の言語感覚と非凡な着想で書かれた傑作。保坂和志氏絶賛!デビュー作『星になる』も収録。


「そろそろ無理か」
ユが言った。たぶんそういった。
「無理ちゃうか」
わたしがいった。

わたしの見ているこいつがそういった。

ユが手元で携帯電話をいじっているのがわかった。
少ししてわたしの携帯電話がメールを受信した。そこにはこう書かれていた。
「でんきつけて」
わたしはため息をわざとつきながら明かりをつけた。そのとたんなぜか電子レンジが大きな音をたてて、パンッと破裂し壊れた。

ルンタがからだを揺すって泣いていたわたしが雪の上へ落ちた。雪は冷たく、わたしはわたしの中にいた。──本文より。

【著者紹介】
山下澄人 : 兵庫県出身。神戸市立神戸商業高等学校(現神戸市立六甲アイランド高等学校)卒。倉本聰の富良野塾第二期生。1996年より劇団FICTIONを主宰。2011年より小説を発表しはじめ、2012年「ギッちょん」で第147回芥川賞候補、同年初の創作集『緑のさる』で第34回野間文芸新人賞を受賞。2013年「砂漠ダンス」で第149回芥川賞候補。同年、「コルバトントリ」で第150回芥川賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • おさむ さん

    もう何冊目かはどうでもよくなってきた‥‥。ルンタは「風の馬」の意味(だそうです)。きっと山下さんのファンというのは、サザンオールスターズとか山下達郎とか、ワンパターンだけどなぜか新譜が出ると聞いてまうという人たちなんやろなあ〜〜って思う。

  • miroku さん

    芥川賞候補常連さんの実力やいかに?! そんな感じで読んでみたが、とりとめのない思考のだだ漏れのように見えながら、それが小説として成立しているのだから凄い。

  • とら さん

    群像劇のような。でも群像劇だと思って読んだら肩透かしを食らうだろう。全く別の何か。何が近いかって、夢だ。脈絡も無く別の話がばんばん入ってくる。今まで見てた夢と同じだよねこの夢?って思う暇も無く、次の展開に入る。ただ、紛れもなく一つの夢なのだ。起きたときの直前に起こっていたことがいわゆるオチで、それが楽しければ良い夢だったな、ってなる。それまでの過程はほとんど覚えていない。つまり人生みたいなものだ。終わりよければ全て良し。しかし、この作品の終わりが個人的に良かったかどうかは述べていない。それは各々に委ねる。

  • しゅん さん

    車に轢かれて死んだ友人が死んだ後も登場しつづける。登場人物の名前が途中で変わる。そんな事態が平然と起こり続け、何が何だか分からないのだが、何故だか面白くてページはどんどん進む。この快活な疾走感。ずっと前に出てきて消えた話が後半で突如蘇ってつながる。この記憶を刺激する快感。「ねずみと呼ばれる猫」に食べられる「ネズミ」とか、人を食ったような表現はいくつもあるのだが、不思議と嫌味がなく、如何様にも書けてしまう小説の不確かさはやがて生きることの不確かさとつながり、読み終えた時には暖かく寂しい情感が胸の内に広がる。

  • suu さん

    新しい形?少しずつ読む人にはつらい系

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人物・団体紹介

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山下澄人

1966年兵庫県生まれ。富良野塾二期生。2012年『緑のさる』(平凡社)で第三四回野間文芸新人賞受賞。2017年『しんせかい』(新潮社)で第一五六回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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