日本橋バビロン 文春文庫

小林信彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167256289
ISBN 10 : 4167256282
フォーマット
出版社
発行年月
2011年09月
日本
追加情報
:
16cm,255p

商品説明

『東京少年』に連なる、自伝的三部作第2弾

かつてわが国有数の盛り場でありながら、震災と戦災により、その輝きを失った日本橋。その地に創業享保8年、昭和まで9代続いた老舗和菓子店「立花屋」はあった。街の歴史と家族の営為を書きとめ、その栄華と没落を描ききった胸うつ名作。
『東京少年』『流される』とともに自伝的三部作をなす長編小説。

内容詳細

かつてわが国有数の盛り場でありながら、震災と戦災により、その輝きを失った日本橋。その地に創業享保八年、昭和まで九代続いた老舗菓子店「立花屋」はあった。街の歴史と家族の営為を書きとめ、その栄華と没落を描ききった胸うつ名作。『東京少年』『流される』とともに自伝的三部作をなす長編小説。

【著者紹介】
小林信彦 : 昭和7(1932)年、東京生れ。早稲田大学文学部英文科卒業。翻訳雑誌編集長から作家になる。昭和48(1973)年、「日本の喜劇人」で芸術選奨新人賞受賞。平成18(2006)年、「うらなり」で第54回菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 新地学@児童書病発動中 さん

    和菓子屋だった作者の祖父や父を描く長編。和菓子屋があった日本橋の街の移り変りも書き込まれている。抑制された文章から透けて見える失われた過去への哀惜の念に心を打たれた。作者が店を継がないで、大学へ行くと父に宣言する場面はこの小説のクライマックスであり、読み手も物語の中の「私」と同じように悲しみに包まれる。戦後になると行政の手によって、作者の生まれ育った町の名前は消えてしまう。これは故郷喪失者の慟哭の物語なのだと思った。

  • もりくに さん

    小林信彦さんのエッセイで、いわゆる「下町」としての「浅草」や「柴又」と微妙に異なる彼の生地「両国」の記述に、興味を引かれていた。「創作ノート」によればこの「自伝」小説は、いわゆる「私小説」にならないように努めながら、祖父からの三代と町の変化の「うねり」を書いたもの。著者の理解する「私小説」とは、もっと「どろどろ」したものだ。作中で執筆の動機を二つ。一つは昭和の旧日本橋区を「内側」から描くこと。もう一つは、江戸時代に<両国・浅草>と称された<両国>がなぜ消滅したか。井伏鱒二の「荻久保風土記」を、机の脇に。→

  • ヨーイチ さん

    良書。但し、読者を選ぶ本だと思う。今の東京が江戸文化と下町を滅ぼして成立している、と云う現実を改めて思い知らされる。田舎から出てきた者としては、複雑な思い。小林信彦は先生と呼びたい程の存在であるが、人柄の一端が伺えたのも良かった。一族との縁切の件は遺言のようなものであろうか、はたまた老境の諦観か。解説の坪内さんの人選も的確でお得感が増す。しみじみと歴史と文化について考えさせられた。

  • コホン さん

    最初、これは小説?と思いながら読んだんだけど、案外面白かった。祖父・父・自分のそれぞれの生きざまは違っていて、私としてはお父さんがかわいそうだった。生まれてきた時代が早すぎたのか、戦争があったことが不幸だったのか、でも何より、弟たちを信じられない・頼れない状況だったのが一番かわいそうだった。切なかった。

  • Seagull さん

    失われた栄華の地、東京日本橋と隅田川の風景、かつての本物の意味するところの両国など、下町のノスタルジックな雰囲気と共に、小林少年の育った街並や、祖父から父へと継がれた生家の和菓子名店の顛末が赤裸々に語られます。戦前から戦中・戦後における描写はリアルで、昭和の混乱を如実に表現されています。エッセイと呼んでもいい作品ですが、著者が言うようにこれはどろどろした私小説でもない。やはり壮大なる叙事詩なのでしょう。 解説の坪内祐三さんの文章もなかなかよかったです。

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小林信彦

1932(昭和7)年、東京・旧日本橋区米沢町(現・中央区東日本橋2丁目)に和菓子屋の長男として生れる。幼少期より、多くの舞台や映画に触れて育った。早稲田大学文学部英文科卒業後、江戸川乱歩の勧めで「宝石」に短篇小説や翻訳小説の批評を寄稿(中原弓彦名義)、「ヒッチコックマガジン」創刊編集長を務めたのち、

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