ハイブリッド・チャイルド ハヤカワ文庫

大原まり子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784150303938
ISBN 10 : 4150303932
フォーマット
出版社
発行年月
1993年08月
日本
追加情報
:
16cm,502p

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サイエンス・フィクション(SF)小説とは何...

投稿日:2021/04/11 (日)

サイエンス・フィクション(SF)小説とは何かと問われたとき、1つ考えられるのは、我々の日常とは異なる世界に置かれた「魂」が、どのように振る舞うのかを描く小説であるということです。SF小説「ハイブリッド・チャイルド」では、核融合炉の心臓と特殊金属の骨組みをベースに生物細胞の衣をまとった「無敵」のAI兵器=ハイブリッド・チャイルドが自我に目覚め、ヨナという少女/女性の姿で世界を放浪します。細胞をサンプリングすることで他者の過去を丸ごと経験できるヨナが、人間と機械との終わりのない戦争が続く世界を背景に、自分そして他者とどう向き合うのかが描かれます。少女の姿をした人造人間というと一種のフェティシズムに陥りがちですが、大原まり子はハイブリッド・チャイルド=ヨナの内面の揺らぎを執拗に描写することで、フェティシズムを薄めることに成功している、と思います(文庫版のあとがきで著者は、ヨナは自分自身であると述べています)。ヨナは母親から虐待を受けていた少女であり、その経験を受け継いだハイブリッド・チャイルドは、愛されたいという渇望を抱いてさ迷い続けます。だからこそ、物語の終盤でヨナが真に愛する他者を発見したとき、たとえそれが悲劇に終わろうとも、読者は大きな感動を得るのです。物語は、時代・舞台の異なる3つの章で構成されていますが、導入部の「ハイブリッド・チャイルド」と、物語の核となる幻想的な終章「アクアプラネット」に挟まれた小編「告別のあいさつ」の詩情豊かな美しさが際立ちます。この一編についてはいつか映像化してもらいたいものです。

チキンラーメン さん | 不明 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • まる さん

    人工知能を持つロボット達の話でありながら、神話的で宗教的な、不思議な雰囲気でした。難しくて全然把握しきれませんでしたが。こういうのを読むと人間を人間たらしめるものって何なんだろうと思いますね。

  • ヘビメタおやじ さん

    ハイブリッド・チャイルドの設定などSF的ガジェットと世界観は魅力満点です。しかし、ストーリーは詩情的過ぎて、私にはちと辛かったです。哲学的な作品は大好きなのですが、解答・解決を詩情に逃げているようでスッキリしません。感傷的な部分が強調されているので、登場人物にも感情移入しづらいのも、気になりました。ただし、これはこれで一つの世界を構築しているのは確かで、こんな言い方は良くないかもしれませんが、男性には書けないSFであるのは間違いないと思います。

  • Miyako Hongo さん

    初読み。SFというよりは幻想文学。ラクダに似た食肉獣、透明な羽で宇宙を飛ぶ少女、白い繭の6本足の棺、銀の風花、ラフレシア…。年取ったせいか次から次へと出てくるイメージについて行くのが大変だった。もうちょっと短いと読みやすかったかな。 □非人間によるボーイミーツガール。機械や宇宙人や人工知能の恋愛と母性の物語。そりゃまあどんな物にも母はいるわな。それを神と呼ぶかどうかは別にして。

  • らくだ さん

    ずいぶん昔に「少女が主人公のSF小説を読みたい」と思って買った本。急に思い立って去年から読み始めたが、とても面白かった。壮大な、ひとつの神とも言えそうな生命「かれ」が何者かについての物語。メインに据えられた少女の細胞を取り込んだそのものに変身できる機械の旅も面白い。狂気に至った母、見捨てられた子供、母殺しが何重にも重ねられて語られていて、母子の関係がこの作品のテーマというか、語られている問題なのだと思う。面白かった。

  • ろびん さん

    個人的には最初の章がマックスでした。

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人物・団体紹介

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大原まり子

1959年大阪生まれ。聖心女子大学卒業。1980年『一人で歩いていった猫』が第6回ハヤカワSFコンテストに佳作入選、デビュー。1991年『ハイブリッド・チャイルド』で第22回星雲賞日本長篇部門受賞。1994年『戦争を演じた神々たち』で第15回日本SF大賞受賞。1998年、原作を担当したラジオドラマ『

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