ジロドゥ戯曲全集 1 ジークフリート、アンフィトリオン38

内村直也他編

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784560035412
ISBN 10 : 4560035415
フォーマット
出版社
発行年月
2001年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
20cm,343p

内容詳細

近代フランス最高の劇作家ジャン・ジロドゥの作品は古くからわが国の演劇界にも大きな影響を与えた。人間の運命を見据える巨匠の全集待望の復刊。表題作の他に「ジークフリート付記」「ジークフリートの最期」を収録。

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読書メーターレビュー

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  • 松本直哉 さん

    『ジークフリート』の感想。恩赦を意味する amnesty の語源は忘却であり、forget と forgive は表裏一体である。長年のドイツとフランスの泥沼の戦いのつかの間の戦間期に書かれたこの劇は、いかにして敵を許すかを問う。主人公ジークフリートは第一次大戦での戦傷で記憶を喪失した。彼だけが、子どものように無垢な目で戦争を見つめる。記憶を持たなければ被害を忘れて許せるだろうか。加害を忘れるのは無責任でも、被害も忘れるならば帳消しにならないだろうか。記憶という足枷が、我々の平和への一歩をためらわせる。

  • 松本直哉 さん

    『アンフィトリオン38』の感想。絶対権力者が一般人の妻に横恋慕して邪魔な夫を戦場に送る筋書きは旧約のダビデ王とバトシェバの物語、さらには許婚ヨセフを差し置いて妊娠させられたマリアの物語に似る。権力者の威光に怯えてなびいてしまうのが常なのだが、この劇でのアルクメーヌがジュピテルのちらつかせる不老不死にも食いつかず、平凡でも限りある生を愛する夫と楽しむほうを選ぶなりゆきは、近代的な一夫一妻制への頌歌のようにも思える。変装した方とされた方の誤解と取り違えの生むドタバタのなかで威厳を示せずコケにされるジュピテル。

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