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循環器ジャーナル Vol.73 No.4 循環器医が知っておくべき糖尿病 最新の話題

佐野元昭

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784260029933
ISBN 10 : 4260029932
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

 CKM(心・腎・代謝)症候群は、肥満や糖尿病に起因する細胞内代謝異常を起点として、免疫系の動脈硬化促進性および炎症促進性な状態への偏移、神経体液性因子の過活性やバランスの乱れ、さらにはナトリウム貯留傾向や造血機能の変調が複雑に絡み合って進展する全身性疾患である。CKM症候群の各ステージにおいては、心血管・腎リスク因子に対する標準的薬物療法(降圧薬、スタチン、抗血小板薬)に加え、リスク因子が引き起こす恒常性の乱れを是正する薬剤を組み合わせることで、個別化かつ効果的な予防戦略の構築が可能となる。

 GLP-1受容体作動薬およびSGLT2阻害薬は、単なる代謝異常の是正にとどまらず、恒常性の破綻に対しても包括的に作用する薬剤である。これらの薬剤は、血糖管理、体重減少、血圧低下に加え、抗炎症作用や循環動態や造血機能の改善効果を有しており、CKM症候群の病態進展を多面的に抑制し得る。そのため、これらの薬剤は、CKM症候群に対する個別化予防戦略の中核を担う治療選択肢として、極めて重要な役割を果たすと考えられる。

 CKM症候群を認識する意義は、肥満・糖尿病・心血管疾患・慢性腎臓病といった疾患を専門医が個別に治療するのではなく、一人の医師が、高血圧・高血糖・脂質異常などの基本的な疾患を確実に管理しながら、心血管障害や腎障害の潜在的なリスクにも目を向け、早期発見・早期治療介入を行うことで、健康長寿の実現を目指す点にある。本誌が読者の皆様の知的探求の一助となり、今後の研究の一層の発展につながることを願っている。

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