富山は日本のスウェーデン 変革する保守王国の謎を解く 集英社新書

井手英策

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087210446
ISBN 10 : 4087210448
フォーマット
出版社
発行年月
2018年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
220p;18

内容詳細

待機児童ゼロ、結婚した女性の離職率の低さ、
貧困の少なさ、公教育の水準の高さ……

日本型「北欧社会」が
保守王国で生まれていた!

富山県は県民総生産が全国30位の小自治体だが、
一人当たりの所得では6位に浮上する。

その背景にあるのは、
ワークシェアリング的な雇用環境と
女性が働きやすい仕組みだ。

さらに、公教育への高い信頼や独居老人の少なさなど、
様々な指標からはリベラルの理想が実現しているかのようだ。

しかし、北陸は個人よりも共同体の秩序を重視する
保守的な土地柄とされ、富山も例外ではない。
つまり、保守王国の中で「日本ならではの福祉社会」に向けた
うねりが起きているのだ。

10年間にわたって富山県でのフィールドワークを続けてきた
財政学者が問う、左右を架橋する一冊。


【リベラルに今、欠けているものは何か?】
リベラルの議論がどうしても
うわすべりな感じがしてしかたないのは、
日本社会の根底にある土台、風土や慣習のようなものと、
そのうえに据えられる政策が
うまく?みあっていないからではないか、僕はずっとそう思ってきた。

(中略)

保守的な社会の土台を見つめ、その何が機能不全となり、
何が生き残っているのかを見きわめる。
そしてその土台にしっかりと
根を張れるような、まさに地に足の着いた政策を
リベラルは考える責任がある。
(本文188ページより抜粋)

【目次】
≪序章 保守と革新、右と左を超えていくために≫
説明能力を失って久しい保革・左右という「線引き」

≪第一章 富山の「ゆたかさ」はどこから来るのか≫
女性の就労/貧困の少なさと教育水準の高さ/循環的な富山社会

≪第二章 どのように富山県の「ゆたかさ」は形づくられたのか?≫
富山県の経済的基盤/社会資本整備を必要とした歴史

≪第三章 家族のように支え合い、地域で学び、生きていく≫
富山型デイサービス/進化形態としての「あしたねの森」/
障がい者就労施設に見る富山らしさ

≪四章 危機を乗り越えるために「富山らしさ」を考える≫
日本一小さな「奇跡の村」/住民間での意思疎通のむつかしさ

≪終章 富山から透視する「歴史を動かす地域の力」≫
保守的なものから生まれる社会化、普遍化の波/
税で家族の機能を代替する/「公・共・私」のベストミックス

【著者略歴】
井手 英策(いで えいさく)
1972年、福岡県生まれ。博士(経済学)。慶應義塾大学経済学部教授。
東京大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学し、日本銀行金融研究所に勤務。
その後、横浜国立大学などを経て、現職。
著書に『経済の時代の終焉』(岩波書店)、『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)、『分断社会を終わらせる』(筑摩書房)、『財政から読みとく日本社会』(岩波書店)、共著に『大人のための社会科』(有斐閣)などがある。
2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶應義塾賞受賞。

【著者紹介】
井手英策 : 1972年福岡県生まれ。博士(経済学)。東京大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学し、日本銀行金融研究所に勤務。その後、横浜国立大学などを経て、慶應義塾大学経済学部教授に就任。専門は財政社会学。2015年大佛次郎論壇賞、2016年慶應義塾賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    今春砺波平野の散村を車で走った。1軒1軒の農家のたたずまいの素晴らしさに固唾を吞んだ。その秘密が少し分かった気がする。水田単作で土地収益があまり高くないため、古くから兼業率が高く、また「保守王国」としての高度成長期からの産業政策が、生活圏内に兼業先を生み出して行ったこと、そこから女性の就業率も高くなったため、世帯所得がかなり高いのだ。スウェーデンが社会を家族になぞらえた話は知っていたし、家族観を更新しながらその良さを生かしていくコミュニティ作りに関しては、この著者らしい視点を感じた。

  • けんとまん1007 さん

    そこに生まれ、暮らしていると気づかないことが多いというのは、頷ける。実際、富山に生まれ、暮らしているので、そうなんだと思うことも多い。暮らしやすさランキング等のことで、いろいろ既知のことは多いが、改めて、その背景などを知ることで、納得感が違う。スウェーデン云々というのは、どうかなとも思うが、ある意味、その違いを知ることでわかってくることもある。富山モデルがあること自体、一つの答えなのだと思う。

  • きいち さん

    橋を架ける貴重な行い。それを可能にする富山での長年のフィールドワーク、多くの事例。◇なんとか稼いで生活を守る。そのために手っ取り早いのは家族がまとまること、それでも何ともならなければ共同体の力を活かし、さらに公的な制度を使う。この順序は、あるべき姿とかそんなことおかまいなしに、単純に合意形成が早いかどうか。あるものは使う、ないものは持ってくる。だって優先すべきは生活だから。そのぶれなさが、住みやすさ1位を生んだ。◇だから、どこでも真似はできる。そのままじゃない、その場その場のあるものを活かすという意味で。

  • 樋口佳之 さん

    んー。スウェーデンを理想と見た事は無いし。/富山または北陸モデルを語るのに真宗王国であった事に触れないのは何故?北欧社民諸国もルター派の地位絶大でしょう。共通性があるとしたらそこだろうと思う北陸出身者です。/祖母の通夜に皆さんマイお経持参され、町会長の叔父のリードでお経の合唱(言葉が見つからない)が行われる。そんな事があるエリアなのです。

  • maito/まいと さん

    住みよさ暮らしやすさの指標で例年日本一をとり続ける富山県。その内なる秘密と可能性に迫った1冊。知られていない“北陸の産業国”としての強みや、経済的なものじゃない“豊かさ”の可能性など、地味だが大切な富山の取り組みや県民性が具体的な事例と共に描かれている。これ1冊で富山のことが本当によくわかる、水産物の県だけとは言わせない!(笑)近年注目されている“幸福度”や“心の豊かさ”とは何か、富山を通じてその正体が見えてくるかも?

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