四十一番の少年 文春文庫

井上ひさし

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167111298
ISBN 10 : 4167111292
フォーマット
出版社
発行年月
2010年12月
日本
追加情報
:
16cm,215p

内容詳細

児童養護施設に入所した中学生の利雄を待っていたのは、同部屋の昌吉の鋭い目だった―辛い境遇から這い上がろうと焦る昌吉が恐ろしい事件を招く表題作ほか、養護施設で暮らす少年の切ない夢と残酷な現実が胸に迫る珠玉の三編。著者の実体験に材をとった、名作の凄みを湛える自伝的小説。

【著者紹介】
井上ひさし : 昭和9年(1934)、山形県生まれ。上智大学外国語学部フランス語科卒。浅草フランス座文芸部兼進行係などを経て、戯曲「日本人のへそ」、NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」などを手がける。47年「手鎖心中」で直木賞受賞、54年「しみじみ日本・乃木大将」「小林一茶」で紀伊國屋演劇賞、翌年読売文学賞戯曲賞を受賞。56年「吉里吉里人」で日本SF大賞、平成11年、菊池寛賞受賞。16年、文化功労者。22年4月9日逝去(享年75)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    井上ひさしの半自伝的な3つの短篇を収録。いずれも仙台の(作中で明示されるわけではないが)孤児院での日々を綴る。これが他の井上作品と大きく違っているのは、作中の何処にも井上特有のユーモラスな筆致が見られないことである。また、過去の回想に往々にして随伴して紛れ込む甘やかさもここにはない。それを最も端的に語るのは表題作であろう。小説は3篇のどれもがひたすらに悲痛でさえある。井上にしてさえ、その経験はユーモアの介在する余地がなかったのであろうか。あるいはこれをを書くことで、井上は新たな生に立ち向かったのだろうか。

  • うりぼう さん

    戦後すぐの養護施設、その時代をそのまま写す鏡のよう。大人たちの経済的要因により、施設に入ることとなる子ども達、彼らの純心さは、少しも失われていない。昌吉は、自分の愛を信じ、家庭環境の差を意識しない行動力と主人公に向ける鬱屈の明瞭さ。舟橋の中3に対する明確な圧力は、同じ境遇でありながら普通科高校へ道が開かれた後輩への嫉妬を隠さない。今の養護施設は、社会関係による入所ではなく、家族関係による入所が大半、それだけ児童に複雑な想いがあり、時代が単純でなくなっていることの鏡として、支援の困難さが増幅。井上氏に合掌。

  • あじ さん

    「十五番、松尾昌吉…あいつは死んだ」番号が振られた養護施設での暮らし。社会に疎外された昌吉は、ある行動を起こす。事の顛末に脱力してしまう表題作『四十一番の少年』。ラーメン屋で働く幼き弟の窮状『汚点(しみ)』。上級生の暴力に屈しなかった兄が、油しみで汚れた葉書に腹を決める。著者の自伝的小説を三篇収録している。

  • べる さん

    五歳の時父と死別し養護施設で育った作者の自伝的小説。施設を出て二十数年経った今でも過去を思い出すことが辛いと言いつつ未だ残る十五番への忠誠心でそこへ入っていくという書き出しから引き込まれた。感情の操作が出来ず暴力で解決しようとし、歪んだアメとムチで自分に依存させようとする。心が繊細で相手にどう思われているか強く気にして、嘘をついて自分を守る方法を身に付けている。そんな中学生の生き方に心が痛かった。施設に空きがなくて入れず、孤独の中、静かに辛い思いをしている子どもいた。今も続いている現実だと考えさせられた。

  • ちえ さん

    著者の実体験を基にした三編。戦後の混乱期、貧困から児童養護施設に入所した少年。表題作は20数年たってからそこを訪れた主人公が思い出す同室の先輩が起こした事件を、2,3作目は少年と弟を書いている。施設を「他に行くあてが少しでもあったら一秒でも我慢できるようなところでもない」と祖母に言い、しかし「他に行くあてがないとわかれば、あそこはいいところなんだ」と言う。弟の「そんなら慣れている方が孤児院に帰った方が良いよ」という言葉も辛い。どれも、文章の一つ一つが選び抜かれていて、井上ひさしの凄さを感じる。

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人物・団体紹介

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井上ひさし

1934(昭和9)年11月16日―2010(平成22)年4月9日、享年75。山形県出身。1972年『手鎖心中』で第67回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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