謎とき『悪霊』 新潮選書

亀山郁夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784106037139
ISBN 10 : 4106037130
フォーマット
出版社
発行年月
2012年08月
日本
追加情報
:
446p 19cm(B6)

内容詳細

現代において「救い」はあり得るか?究極の「悪」とは何か?そして、「神」の正体とは?…。「スタヴローギンの告白」3つの異稿を読み解くことで、これまで語られることのなかった、人間性の本質を問う試みが見えてくる。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『白痴』の「謎とき」シリーズから20年、亀山版「謎とき」の登場。

目次 : 第1部 謎(『悪霊』はこうして生まれた/ 「わたしは彼を魂の中から…」/ 「序文」に何が書かれているか/ 運命的な一日)/ 第2部 (無関心な「神々」の陰謀(「夜」を解読する/ 「夜」のマリヤ/ 僭称者/ 「悪鬼」たちの陰謀)/ 告白(挑戦「告白」分析(1)/ 恐怖「告白」分析(2)/ 対決「告白」分析(3))/ 第3部 バッカナール(「祭り」を解読する/ 愛と黙過/ 光明の原理/ 黙示録としての『悪霊』)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 夜間飛行 さん

    『悪霊』の習作群や創作ノートから罪人再生のテーマが浮かびあがるが、これが容易ならざる変転を経ており、人の性格や役割など二転三転するのだ。特に公爵は少女を陵辱した自分を呪う一方で、それを告白したシャートフの死を願うなど恐ろしい振幅を見せている。度重なる練り直しによる人物像の揺れはプルーストにもあったけれど、そこから作品の多声性(意図した不安定さ)が生まれるらしい。ルソーを媒介にステパン氏とスタヴローギンを結びつけ、世代間対立の裏にヨーロッパ思想の悲劇的継承を見るなど、次に読む際に掘り下げたい指摘も多かった。

  • LUNE MER さん

    「悪霊」のストーリーに関する謎解きというより、そもそも小説の構成自体が読みにくい本作について、どのような執筆経緯でそのような姿に陥ってしまったのか?を理解する目的で読む方がしっくりくる本。第一部、第二部は伏線だらけ、第三部でいきなり決壊したように物語が急進して主要人物が次々と死亡していくというクレイジーな展開の中、自力で何度読んでも理解しきれない言動が多いのだが、本解説書を読むことで事情への理解が格段に深まり、また本編を再読したくなってきた。なお、本編よりこちらの方が圧倒的に読みやすい。

  • 武井 康則 さん

    『謎とき』シリーズは江川卓が始め、その語に託した意味、モデル、裏側にあるもの、伝説等テキストをより楽しむための知識が網羅されていたが、それを受けた本書も、おおよそその流れを踏襲している。ただ時代が移り、参照テキストや創作ノートが膨大になり、それに加えて著者の『悪霊』の思い入れから、錯綜し屈折した作品となっている。研究者だが、その資質は論理的と言うより直感的、類推連想的で明晰と言うより重層的。でもそのうろつきまわる感覚が、『悪霊』には合ってる気もする。

  • noémi さん

    亀山氏の解釈は読めば読むほど、違和感が付きまとう。作品は本来作者が意図していたところと違っていても、一旦の手元を離れてしまえば、読み手に委ねるしかない。亀山氏は再三、スタヴが神になろうとした「罪深さ」を唱えるが、人間はどんなに突き抜けた万能感を持とうと、「死」を超えられない限り、「神」にはなれない。私には彼が「この世のモラル」に挑戦した極めて真面目な真理の希求者にしか見えない。今の世の中、スタヴよりもっと恐ろしい人間などいくらでもいる。しかも、「罪」を「罪」とも認めず、良心を失くしてしまった人間が。

  • まれむりん さん

     先行研究への目配りの良さからも、本書が専門家による労作であることは分かるのだが、肝心の著者の主張の部分において、あまり納得できずに読んだというのが素人なりの本音。ある箇所で「作家の意図」について語ったと思えば、今度は作中の登場人物の描かれざる真意について推理したりし始めるため、著者の準拠しているリアリティの基準がよくわからず、議論の多くが著者の一人相撲に見えてしまった。

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人物・団体紹介

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亀山郁夫

1949年、栃木県生まれ。ロシア文学者、名古屋外国語大学学長。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。天理大学、同志社大学を経て、1990年より東京外国語大学外国語学部助教授、教授、同大学学長を歴任。2013年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載

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