おふくろの夜回り 文春文庫

三浦哲郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167125097
ISBN 10 : 4167125099
フォーマット
出版社
発行年月
2013年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
166p;16

内容詳細

稀代の名文家として名を馳せた著者が、「オール讀物」の巻末頁で書き継いだ随筆集。わずか千字の中に、故郷である東北の風土やそこで暮らす人々の肌合い、或いは亡き父母を慕う心根といったものが、すぐれたデッサン画をみるように確かな筆致で表現されている。短編の名手でもあった作家の本領が伺える一冊。

目次 : いびきの話/ 雉笛/ 野獣/ マラッカのダボシャツ/ 挨拶/ 同郷人/ 車椅子のマフィア/ 乾きの刃/ 幽霊/ 膝の上の鐘〔ほか〕

【著者紹介】
三浦哲郎 : 昭和6年青森県八戸市に生まれる。早稲田大学フランス文学科在学中の昭和30年に新潮同人雑誌賞を受賞する。この頃より井伏鱒二の薫陶を受け、以後、生涯の師と仰ぎ続ける。36年「忍ぶ川」で第44回芥川賞を受賞し一躍文壇の寵児に。51年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、58年『少年讃歌』で新潮日本文学大賞、60年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、平成2年「じねんじょ」で川端康成文学賞、3年『みちづれ』で伊藤整文学賞など、受賞歴は多数にのぼる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • じいじ さん

    三浦哲郎さんのエッセイは初読みです。3頁のエッセイが50篇ほど、身近にある話題で面白かった。【鯨はいずこ】最近とんと見かけなくなった「鯨肉」ですが、むかしは鯨肉のステーキがご馳走でした。わが家の昔も思い出して懐かしかった。山菜の「毒」の話は、怖かったが面白くためになりました。根に猛毒のあるトリカブトの花は美しいそうです。一度見てみたいです。…美文で綴られて、ところどころにユーモアも感じられた素敵なエッセイでした。

  • shizuka さん

    三浦哲郎さんの紡ぐ言葉が美しいと聞いて。たくさんの小さなお話がいっぱい詰まった随筆集。三浦さんの家族のことや田舎のこと、病気のこと犬のこと等、短い話の中にもしっかりと書かれていてどれも興味深く読み終えることができた。各お話の〆の一文に、三浦さんの言葉が美しいとされている所以や言葉に携わり生計を営んできた矜持というか年輪を垣間みることができた気がする。さり気なくもある程度の余韻を持たせつつ、読み手を本の中から現実へ戻す終り方。ダラダラとせず、凛とした佇まいは私の好みだ。次は何か小説を読もう。何にしようかな。

  • メタボン さん

    ☆☆☆★ 短いながらも心に響くものがあるエッセイ集。いっぺんに読んでもったいないことをした。温泉などへ行って、のぼせた体を涼めているようなときに、ポツポツと読むのが一番ふさわしいようなエッセイ。

  • Shoko さん

    三浦哲郎氏の本はこれで3冊目。エッセイは初めて読んだ。端整な文章で、意味がすっきりと頭に入ってくる。そして、そこはかとなく漂うユーモア。吉村昭氏のエッセイを読んだ時に感じた印象と似ている。一つ一つ、題名がカッコいい。「車椅子のマフィア」、「乾きの刃」、「炉辺小景」、「鮭を撃つ」目次を見ているだけでワクワクしてくる。しかし内容はというと、病気だったり、老境に入っての身体の変化などカッコいいとは言っていられないものが多い。「忍ぶ川」もいつか読みたい。

  • 新田新一 さん

    芥川賞作家三浦哲郎の随筆集。私は彼の作品が好きで、多くの著作を読みました。兄弟の失踪や自殺という悲嘆を抱えながら創作を続けた作家で、作品の端々に深い優しさを感じます。名文家としても有名です。この随筆集でも簡潔でふくよかな文を味わえます。表題作の「おふくろの夜回り」は、母について書かれています。母親は冬に家族の布団の中にたまる北国の寒気を、追い出そうとしていたそうです。極度に感傷を抑えた書き方ですが、辛い人生を生きた母への深い思いが伝わってきて、ほろりとしました。

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