ヴェルナー・トレスケン

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自由の国と感染症 法制度が映すアメリカのイデオロギー

ヴェルナー・トレスケン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622090533
ISBN 10 : 4622090538
フォーマット
出版社
発行年月
2021年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
254p;20

内容詳細

ワクチン接種義務や検疫のように個人や商業の自由を大きく制限する措置は、合衆国憲法の規定のもとではさまざまな軋轢を生んだ。一方、上下水道システムが充実して公衆衛生が大きく改善されたのは、合衆国憲法が私有財産権を保障して信用市場の安定を促したためだった。公衆衛生とはこのように、国家構造を規定するイデオロギーや市民の選好が互いに影響を及ぼしあった結果である。本書では、天然痘・腸チフス・黄熱病という三つの感染症の事例について、アメリカの法制度との関係を中心に精緻に考察する。ハミルトンら合衆国憲法の起草者たちが各条項に込めたイデオロギーはどのようなものであったか。トクヴィルはアメリカ社会をどのように観察したか。諸外国ではどうか。そして実際に何が起こったのか。本書の洞察は現今のアメリカ社会だけでなく、日本をふくむ世界各国の国家構造と公衆衛生との関係を考える手がかりとなるだろう。

目次 : 第1章 はじめに/ 第2章 タウンシップのイデオロギーから細菌説の福音へ/ 第3章 健康と繁栄の憲法的基盤/ 第4章 自由という伝染病/ 第5章 財産権保護による信用回復/ 第6章 帝国、連邦制、そして黄熱病の突然の終焉/ 第7章 結論

【著者紹介】
ヴェルナー・トレスケン : 1963‐2018。経済学者。元ピッツバーグ大学経済学部教授。1992年にダグラス・ノースの指導のもと、ワシントン大学(セントルイス)で経済学の博士号を取得。かつて疾病に悩まされたアメリカの都市がどのようにそれを克服したのかに着目し、都市の死亡率転換の研究を行う。ほかにもアメリカ南部ジム・クロウ法などの人種隔離政策を中心とした制度論や、経済史など幅広く研究活動を展開。2018年、ピッツバーグ大学在職中に没

西村公男 : 1978年生まれ。医学博士、日本消化器外科学会指導医・専門医。大和高田市立病院外科部長。2003年京都大学医学部卒。高知医療センター、国立がん研究センター研究所を経て、2017年より現職

青野浩 : 一般社団法人経済学101理事。おもに海外の社会科学の論文・論説・ブログ等を翻訳しWebで公開する活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    チャーチルは「民主主義は最悪の政治形態といわれる。他に試みられたあらゆる形態を除けば」と言ったが、アメリカにおける感染症対策はこの最悪部分が露呈した失敗の歴史だ。強力な中央集権体制を経験していないアメリカ人は、体に薬を入れたり金のかかる上下水道整備を少しでも命令されて行うのを自由かつ断固として拒む。おかげで植民地や占領地で天然痘やコレラを撲滅したが、本国では流行を繰り返す。新型コロナでもワクチン賛否両派がデモで衝突し、大統領選の争点にまでなった。民主主義の最大リスクはアメリカの政治制度だと断言したくなる。

  • Go Extreme さん

    アメリカにおける感染対策の起源 アメリカの憲法秩序と死亡率転換 なぜ歴史が重要なのか タウンシップのイデオロギーから細菌説の福音へ: 正の外部性と公衆衛生 トクヴィルとタウンシップのイデオロギー 健康と繁栄の憲法的基盤: 多数の暴政と司法の独立性 連邦制、裁判所、公衆衛生 自由という伝染病: 天然痘の歴史 天然痘とアメリカの憲法秩序 財産権保護による信用回復: 腸チフスの原因、症状、感染経路 帝国、連邦制、そして黄熱病の突然の終焉: アメリカにおける黄熱病の歴史 黄熱病と国際貿易 検疫の政治経済学

  • Praesumptio cedit veritati さん

    私有財産権保障は公衆衛生悪化に、公衆衛生改善のための規制は私有財産権の制約になるという命題を考える本。本書は米国の天然痘・腸チフス・黄熱病の事例を通じて、憲法上の権利保障と公衆衛生の関係を分析し、私有財産権保障・連邦制が競争を促して公衆衛生を改善する場合もあればその逆もあることを示す。水道整備の民営化も長所短所があり、公衆衛生と私有財産権保障が単純なtrade offではないことが理解できる。ワクチン接種義務づけと自由の緊張関係もアクチュアルな問題意識だ。政治制度と公衆衛生の関係の密接さを感じ取れる。

  • obanyan さん

    アメリカの法制度・イデオロギーと感染症の関係について論じた著作。結論を一言で言い表すと「政治制度の中には、講公衆衛生を妨げるものもあれば、促進するものもある」、というもの。この命題を天然痘、腸チフス、黄熱病という三つの感染症について事例研究を用いながら論証していく。例えば、腸チフスの場合は、19世紀〜20世紀初頭に行われた州憲法の諸改革によって、債権者の信頼が得られ、地方債券市場が発展し、地方自治体が低コストで資金集めをできるようになったことで上下水道インフラが発展したことにより大幅に減少した。

  • しく さん

    社会の構成員全体の寿命への寄与は医療より衛生インフラの方が大きいとか、色々と考えさせられるトピックが多かった。

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1963‐2018。経済学者。元ピッツバーグ大学経済学部教授。1992年にダグラス・ノースの指導のもと、ワシントン大学(セントルイス)で経済学の博士号を取得。かつて疾病に悩まされたアメリカの都市がどのようにそれを克服したのかに着目し、都市の死亡率転換の研究を行う。ほかにもアメリカ南部ジム・クロウ法な

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