『ラインの黄金』全曲　シモーネ・ヤング＆ハンブルク州立歌劇場、シュトルックマン、ブッフヴァルト、他（２００８　ステレオ）（２ＣＤ）

ドイツの音楽雑誌『Opernwelt(オーパーンヴェルト、オペラの世界)』で、2006年度の年間最優秀指揮者賞を受賞したシモーネ・ヤングは、ウィーン・フィルを指揮した初の女性指揮者であり、ハンブルク州立歌劇場のインテンダントとフィルハーモニーの音楽監督を務める人物です。
　オペラのほかコンサート・レパートリーにも強く、ワーグナーからメシアンまで、重厚なスタイルで聴きごたえある音楽をつくりあげることではすでに定評があります。一連のブルックナー録音も、その演奏内容と音質の素晴らしさからHMVオンラインではベストセラーとなっており、新たなリリースが待ち遠しい演奏家として、すでに人気を確立した感があります。
　そんなシモーネ・ヤングが、いよいよハンブルクで『指環』の上演に取り組み始め、まず第１弾として『ラインの黄金』のライヴ録音が、ブルックナーでおなじみのエームス・レーベルから登場することとなりました。
　シモーネ・ヤングの歌ものの録音としては、ハンブルク州立歌劇場の音楽総監督に就任した最初の新演出上演で取り上げて話題となり高評価も得たヒンデミットのオペラ『画家マティス』全曲のライヴ・レコーディングが発売されているほか、アレヴィのオペラ『ラ・ジュイーヴ』があり、さらにワーグナーの伴奏物が２枚とヴェルディのレクイエムがリリースされていました。
　この『ラインの黄金』は、有名な『ニーベルングの指環』の序夜にあたる部分で、他の３曲に較べると規模は小さいものの、物語のすべてのキーワードが隠された重要な作品であり、いたるところに張り巡らされたライトモティーフも聴き逃せません。
　シモーネ・ヤングはすみずみまで神経が行き届いた練り上げられた演奏を聴かせており、現代的でグラフィカルな演出との相性も良いようです。歌手陣では何といっても、近年、ヨーロッパで大人気のファルク・シュトルックマンによるヴォータン役が聴きものですが、他のキャストにも穴がなく、目の詰んだドラマの構築は魅力十分。豊富なステージカラー写真入り120ページの解説＆リブレット付きです。（ＨＭＶ）

【収録情報】
・ワーグナー：楽劇『ラインの黄金』（全曲）
　ファルク・シュトルックマン（ヴォータン）
　ヤン・ブッフヴァルト(ドンナー)
　ラディスワフ・エルグル（フロー）
　ペーター・ガイヤール（ローゲ）
　ヴォルフガング・コッホ（アルベリヒ）
　ユルゲン・ザッヒャー(ミーメ)
　ティグラン・マルティロシアン（ファーゾルト）
　アレクサンドル・ツィムバリュク（ファーフナー）
　カーチャ・ピーヴェック（フリッカ）
　ヘレン・クォン（フライア）
　デボラ・ハンブル(エルダ)
　ハ・ヤン・リー（ヴォークリンデ）
　ガブリエーレ・ロスマニト（ヴェルグンデ）
　アン＝ベス・ソルヴァング(フロースヒルデ)
　ハンブルク・フィルハーモニー（ハンブルク州立歌劇場管弦楽団）
　シモーネ・ヤング（指揮）

　録音時期：2008年3月
　録音場所：ハンブルク州立歌劇場
　録音方式：デジタル（ライヴ）