声楽の大家ラッススの絶大な人気をしのぶ、名手マスカルディらの入念な選曲と妙演
16世紀の多声音楽の大家オルランドゥス・ラッスス(オルランド・ディ・ラッソ)の曲を、リュート独奏や二重奏、三重奏などによる編曲で縦横無尽に味わうアルバム。ラッススはネーデルラント出身ながらミュンヘンのバイエルン選帝侯家に仕え、イタリアへも度々訪れて活躍、さまざまな教会音楽およびフランス語やイタリア語の世俗声楽曲を数多く残しました。ローマのパレストリーナと並ぶルネサンス最大の作曲家のひとりで、その名声は生前からきわめて高く、楽譜はオリジナルのほか様々な編曲の形でヨーロッパ中に残っています。
16世紀当時、知識人たちが好んで独奏あるいはアンサンブル演奏した楽器リュートのための楽譜も少なくありません。ここでは独奏からアンサンブルまで多様なスタイルで活躍を続けるイタリアの名手エヴァンジェリーナ・マスカルディが、16〜17世紀当時に作られた編曲版を中心に、曲によっては当時の出版譜・筆写譜などをもとに自分自身も編曲を手掛け、声楽向けの多声音楽を歌い手ぬきに独奏や重奏で味わった昔日の音楽愛好家たちの喜びの粋を現代に蘇らせてゆきます。テルツィやノイジードラー、アドリアーンセンらリュート音楽の文脈でも有名な作曲家たちの作品に加え、遠く英国で活躍したダウランドの作品にまでラッススの影響を見出しているのは驚くべき発見。刺激に満ちたプログラムの深さを裏切らない、欧州最前線の古楽シーンのクオリティを十全に感じさせる名演をお楽しみください。(輸入元情報)
【収録情報】
1. ラッスス/マスカルディ編:君に歌って聴かせたい
2. ラッスス/ジャン=バティスト・ベザール[c.1567-c.1625]編:夫が外に出ているあいだ
3. 作者不詳:戦い
4. 伝ラッスス/ジクスト・カルゲル[c.1540- after 1594]編:わたしには夫がおり
5. ラッスス/エマニュエル・アドリアーンセン[1540/55-1604]編:わが愛しき人よ、お願いです
6. 作者不詳/編曲者不詳:イタリアのパッソメッツォ
7. ラッスス/マスカルディ編:この体に心臓はなく
8. ラッスス/メルヒオール・ノイジードラー[1531-1591]編:あなたと共に
9. ラッスス/マスカルディ編:寒く暗い夜
10. ベザール:舞踏曲
11. ヴィンチェンツォ・ガリレイ[1520-1591]:第9旋法によるリチェルカーレ
12. ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ[1580-1620]:ラッススの『シュザンヌはある日』によるリュート二重奏のための対位法曲
13. テルツィ:フランス風舞踏曲
14. テルツィ:フランス風ヴォルタ 第4番
15. 伝フィオレンツィーノ・マスケーラ[1540-1584]/テルツィ編:第1カンツォーナ
16. ガリレイ:チパリッサ・ガリアルダ
17. ラッスス/テルツィ編:来たれ、わが庭に
18. ガリレイ:ガリアルダ
19. ヨアヒム・ファン・デン・ホーフェ[1567〜1620]/マスカルディ編:シュサンネケン(シュザンヌはある日)
20. ラッスス/編曲者不詳:ラッススの『シュザンヌはある日』
21. 作者不詳/ジョン・ダウランド[1563-1626]編:ロビンは森に去り
22. ラッスス/ダウランド編:ライル子爵のガリアード(シュザンヌはある日)
23. アルフォンソ・フェラボスコ1世[1543-1588]:ファンタジア
エヴァンジェリーナ・マスカルディ(ソプラノ・リュート、アルト・リュート)
フレデリク・ジガント(アルト・リュート、テナー・リュート:1,3,5,10,12,19)
コルネリア・デンマー(バス・リュート:1,5,6,7,9,19)
録音時期:2022年9月10-12日
録音場所:ベルギー中南部ナミュール州、フラン=ワレ教会
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)