日本語解説付き
トレヴィーノが紡ぐ晩年のラウタヴァーラの旋律
20世紀後半から21世紀にかけてフィンランドを代表する作曲家として国際的な評価を確立したラウタヴァーラ。さまざまな作風の変遷を経た後に、21世紀になると神秘的・瞑想的な作品を多く遺し、2016年にこの世を去りました。このアルバムでは、その晩年の作品群を、注目の指揮者ロバート・トレヴィーノとマルメ交響楽団が、ヴァイオリニストのシモーネ・ラムスマを独奏者に迎えて収録しています。
晩年のラウタヴァーラは、世界的なヴァイオリニストたちから「作品を書いてほしい」という依頼を何度も受け、大規模な作品を数曲書き上げました。アルバムの冒頭の『ファンタジア』は柔らかい響きを纏ったネオ・ロマンティック風の作品で、牧歌的な雰囲気と静けさに満ちています。『2つのセレナード』は、2014年に依頼されながら未完に終わったヴァイオリン協奏曲から生まれた曲。ラウタヴァーラによる第2楽章のスケッチを弟子のカレヴィ・アホが補筆完成したものです。師の作風を尊重したアホの絶妙なオーケストレーションが楽しめます。『Lost Landscapes(失われた風景)』は五嶋みどりのために書かれた作品。当初ヴァイオリン・ソナタとして作曲されましたが、2013年にラウタヴァーラ自身がオーケストレーションを施し、まず最初の部分が2015年7月のタングルウッド現代音楽祭で初演され、その後マルメにて全曲がシモーネ・ラムスマの独奏で初演されました。
管弦楽のための『In the Beginning(イン・ザ・ビギニング)』は日本フィルが共同委嘱した6分ほどの作品で、2019年のインキネン&日本フィルのヨーロッパ・ツアー・プログラムの冒頭を飾りました。コンサートだけではなく、さまざまな「始まり」の時を暗示する美しい作品です。
国内仕様盤には北欧音楽に造詣の深い津田忠亮氏の日本語解説が付属します。(輸入元情報)
【収録情報】
ラウタヴァーラ:
1. ファンタジア(2015)〜ヴァイオリンと管弦楽のための
2. イン・ザ・ビギニング(2015)〜管弦楽のための
3. 2つのセレナード(2016/18)〜ヴァイオリンと管弦楽のための(カレヴィ・アホによる補筆完成)
愛する人へのセレナード
人生のセレナード
4. 失われた風景(2005/15)〜ヴァイオリンと管弦楽のための
タングルウッド
アスコーナ
ウィーン、ライナーガッセ 11番地
ニューヨーク、西23丁目
シモーネ・ラムスマ(ヴァイオリン:1,3,4)
マルメ交響楽団
ロバート・トレヴィーノ(指揮)
録音時期:2021年6月21-23日
録音場所:スウェーデン、マルメ・コンサートホール
録音方式:ステレオ(デジタル)
世界初録音(2)
管弦楽伴奏版による世界初録音(4)
輸入盤国内仕様(日本語解説付き)
20世紀から21世紀にかけて活躍したフィンランドの作曲家による「失われた風景」、初演となる「ファンタジア」などを収録。指揮はトレヴィーノ、演奏はマルメ響、ヴァイオリン独奏はラムスマ。五嶋みどりのために書かれた「失われた風景」などを収める。(CDジャーナル データベースより)