SACD 輸入盤

交響曲第6番『悲劇的』 イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
CCSSA22905
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド,輸入盤

商品説明

【私のオススメ】
ブダペスト祝祭管弦楽団は、いかにも臨時編成のような名称だが、全楽員を2年ごとにオーディションするという徹底したオケの「品質管理」によって、ジャーナリズムの言ではいまや世界の五指にはいるとさえいわれるんだそうだ。
 Pillipsではハンガリーがらみかチェコの作曲家の録音ばかりで、オーソドックスなレパートリーをやらせてもらえなかったということか、Channel Classicsへの移籍後はラフマニノフ、チャイコフスキイと続いていずれも評価が高かった。さらに、ここにマーラーが登場した。もっとも、フィッシャーとしてはオーストリア−ハンガリー二重帝国の末裔として、マーラーに取り組む責務を感じているという。10年にわたる周到な演奏実践の後に満を持しての録音のようだ。
 ヴァイオリンは正当にも対抗配置。冒頭の低弦の刻みも手応えがある。迸るように導入されるアルマ主題は、迸りとともに後半でテンポを落とすところがたまらない。主題提示部の反復があるのもOK。中間部のカウベルも鳴らし控えはない。アンダンテが2楽章におかれているのは、最近でいえばアバドの新盤と同様だが、マーラー自身も悩み抜いた、いわば永遠に未解決の問題。第2楽章スケルツォを聴き慣れているので、私としては馴染みがたいところもあるが、フィッシャーはヨーロッパ楽旅の際、演奏会ごとに2・3楽章の順番を入れ替えてみて、その結果、第2楽章アンダンテを採用したという。第1楽章のあとにスケルツォが来るのは、楽章の対比として多彩なものがあるが、いかんせん重すぎる、というのだ。アンダンテはいわば第1楽章のクーリング・ダウンとして機能し、全曲中の慰めというよりは、悲劇的な陰影を濃くする。スケルツォもさりげないテンポの変化を配すあたりがフィッシャーの美学か。終楽章のハンマーは2回というのもドラマトゥルギー上の必然というのがフィッシャーの意見だ(もっともハンマー自体はかなり楽音的)。
 図らずも演奏時間はアバドの新盤とほとんど同じ。第6交響曲はマーラーの交響曲の中でもっとも古典的な造形を持つといわれるがその端正な造形をそのまま過不足なく描いたのがアバドだろうが、マーラーの音楽とはそもそも過剰や不足が肥大化した音楽ではないだろうか。フィッシャーも比較的端正な造形に収めようというモメントが強い演奏だと思うが、その中に強い表情付けを施しており、私はこちらの方を支持する。もはや慣れっこになったはずのコーダのフォルテにも改めて衝撃を被ってしまう。

投稿者: かばくん from とちぎ (Oct 6th 2005)

収録曲   

  • 01. Symphony no 6 in A minor "Tragic"
  • 02. Symphony no 6 in A minor "Tragic"
  • 03. Symphony no 6 in A minor "Tragic"
  • 04. Symphony no 6 in A minor "Tragic"

総合評価

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このコンビはいつも期待を裏切らない。この...

投稿日:2021/07/23 (金)

このコンビはいつも期待を裏切らない。この6番も感情過多になることなくマーラー管弦楽の面白さを優秀録音で伝えてくれる。

ruri さん | 東京都 | 不明

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SACD 4.0マルチチャネルでの再生で...

投稿日:2006/08/15 (火)

SACD 4.0マルチチャネルでの再生です。ここで再生されるこの演奏。20世紀に録音された数多くの6番とは明らかに一線を隔します。 同じ土俵で論じてほしくはないです。 それほど高レベルの完璧に近い録音。 演奏もよく練られてマーラーの本質を教えてくれます。 マーラー6番は、色彩豊かで、夏の大花火大会のように絢爛豪華で、明るく派手な一面もありますが、豊かなホールトーンの影響もあり幾分抑えられはするものの、すべてがきちんと収められています。大音量で再生すると凄さがでてきます。 最高の6番の一つです。

もんすたー さん | 東京都 | 不明

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「流麗な6番」といった印象を受けます。フ...

投稿日:2006/03/18 (土)

「流麗な6番」といった印象を受けます。フィッシャーファンとしては、少し美しく仕立て上げ過ぎた(=おとなしい)かなとも思われますが、彼の演奏の新しい形の提示として歓迎したい内容になっています。SACDでの再生に価値あり。

ドリトル さん | さいたま | 不明

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人物・団体紹介

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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