マリオ・バルガス・リョサ

人物・団体ページへ

悪い娘の悪戯

マリオ・バルガス・リョサ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784861823619
ISBN 10 : 4861823617
フォーマット
出版社
発行年月
2012年01月
日本
追加情報
:
426p 19cm(B6)

内容詳細

50年代ペルー、60年代パリ、70年代ロンドン、80年代マドリッド、そして東京……。世界各地の大都市を舞台に、ひとりの男がひとりの女に捧げた、40年に及ぶ濃密かつ凄絶な愛の軌跡。ノーベル文学賞受賞作家が描き出す、あまりにも壮大な恋愛小説。


「今もこれから先も出ていく予定はないわ」と耳元でささやく。「理由は訊かないでちょうだい。もっとも、訊かれたところで答えるつもりはないけれど。仮にあなたを愛していても、絶対に口になんかするもんですか」(中略)
起こさぬように静かにキスをし、小声で告げる。「愛してる、愛してる、愛してる」と。彼女は眠ってはいなかった。急に僕にしがみついてきて、唇を重ね、言葉の合間に舌で僕の舌を突きながら宣言した。「忠告しておくわ。私といる限り、絶対に平穏な生活なんかさせないから。私に慣れて飽きないように。だから身分証明書のために結婚しても、あなたの妻になるつもりはない。私はずっとあなたの愛人、雌犬、娼婦でいたいの。今夜のように。そうすればあなたはいつまでも私に夢中でしょう」
そう話しながらも彼女はなおもキスの雨を降らせ、僕の体内にすっぽり入り込もうとしているかのようだった。(本書より)


【内容目次】
第一章 チリからやってきた少女たち
第二章 孤高のゲリラ兵
第三章 スインギング・ロンドン、馬の肖像画家
第四章 シャトー・メグルのタルジュマン
第五章 声をなくした男の子
第六章 防波堤造りの名人、アルキメデス
第七章 ラバピエスのマルチェラ


【著者略歴】
マリオ・バルガス=リョサ(Mario Vargas Llosa)
1936年ペルー生まれ。ラテンアメリカ文学を代表する小説家。2010年ノーベル文学賞受賞。邦訳のある著書に、『密林の語り部』(西村英一郎訳、岩波文庫)、『チボの狂宴』(作品社)、『緑の家』(木村榮一訳、岩波文庫)、『嘘から出たまこと』(寺尾隆吉訳、現代企画室)、『楽園への道』(田村さと子訳、河出書房新社)、『フリアとシナリオライター』(野谷文昭訳、国書刊行会)、『若い小説家に宛てた手紙』(木村榮一訳、新潮社)、『官能の夢――ドン・リゴベルトの手帖』(西村英一郎訳、マガジンハウス)、『誰がパロミノ・モレーロを殺したか』(鼓直訳、現代企画室)、『継母礼讃』(西村英一郎訳、福武書店)、『果てしなき饗宴――フロベールと『ボヴァリー夫人』』(工藤庸子訳、筑摩書房)、『世界終末戦争』(旦敬介訳、新潮社)、『都会と犬ども』(杉山晃訳、新潮社)、『パンタレオン大尉と女たち』(高見英一訳、新潮社)、『ラ・カテドラルでの対話』(桑名一博・野谷文昭訳、集英社)、『小犬たち・ボスたち』(鈴木恵子・野谷文昭訳、国書刊行会)などがある。


八重樫克彦(やえがし・かつひこ)
1968年岩手県生まれ。ラテン音楽との出会いをきっかけに、長年、中南米やスペインで暮らし、語学・音楽・文学などを学ぶ。現在は翻訳業に従事。訳書にマリオ・バルガス=リョサ『チボの狂宴』、マルコス・アギニス『マラーノの武勲』、『天啓を受けた者ども』、『逆さの十字架』、エベリオ・ロセーロ『顔のない軍隊』、『無慈悲な昼食』(以上作品社)、『御者(エル・コチェーロ)』(新曜社)、『音楽家のための身体コンディショニング』(音楽之友社、すべて八重樫由貴子と共訳)。


八重樫由貴子(やえがし・ゆきこ)
1967年奈良県生まれ。横浜国立大学教育学部卒。12年間の教員生活を経て、夫・克彦とともに翻訳業に従事。



【著者紹介】
マリオ・バルガス=リョサ : 1936年ペルー生まれ。ラテンアメリカ文学を代表する小説家。2010年ノーベル文学賞受賞

八重樫克彦 : 1968年岩手県生まれ。ラテン音楽との出会いをきっかけに、長年、中南米やスペインで暮らし、語学・音楽・文学などを学ぶ。現在は翻訳業に従事

八重樫由貴子 : 1967年奈良県生まれ。横浜国立大学教育学部卒。12年間の教員生活を経て、夫・克彦とともに翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ヴェネツィア さん

    訳者が解説で「人間性の神髄へと達する重厚な小説」と述べている。確かに400ページを超える大作だが、内容的にはけっして重くはない。むしろテンポよく語られる軽快な小説であるところにこそ新しさを求めるべきだ。テーマは、本書の語り手リカルドにとっての"femme fatale"の物語。したがって、きわめて分かりやすい。ただ、この小説で、リョサの新しい試みとして注目すべきなのはその「語り」である。「小説1冊分のテーマ」を提供したニーニャ・マラの造型とともに。エンディングはなんともせつなく、そしてパリ風に小粋だ。

  • やいっち さん

    最初にひと言。僭越ながら、(翻訳の)題名が気に食わない。バルガス=リョサは、ファンというわけでもないのだが、『密林の語り部』、『チボの狂宴』、『緑の家』など、何冊も読んできた。が、本書はノーマーク。古書店で偶然遭遇。ノーベル文学賞作家という大御所の作品で、敢えてゆっくりじっくり読んできた。 でも、段々、読む手が止まらなくなる。昨日そして今日で残りの150頁ほどを一気に読んでしまった。

  • コットン さん

    幼少期から僕の人生を狂い続けさせた世界を飛び回る魅力的過ぎる最悪の悪女と僕の物語。250ページ目あたりから、これまでとは違う展開が…。

  • Vakira さん

    リョサ70歳’06年の作品。大分作風を変え、発表当時はリョサ初の官能小説と呼ばれたらしい。「継母礼賛」とかあるのに何で「初」と呼ばれたか疑問だ。官能小説というより、一方的に一人の女性を愛し続け、世界をめぐる壮大な愛の物語。そして破滅すると理解しつつ愛してしまう「僕」の性(サガ)。その愛は「僕」が10代のペルーの地元からパリ、ロンドン、東京、スペインと50代後半までの40数年間。場所と時間と立場を変えて何故かファム・ファタール的に出会う。愛しの悪戯娘は自分の都合の良い時だけ「僕」の処へ来る。

  • Mishima さん

    悪女物語は色々と読んできたけれど、これほど崖っぷちに立たされている危ういフアムフアタールは初めて。彼女は「ルーツを失った人」もしくは捨てた人。ヒロインはペルーの最下層、貧民街の出であり、生きる意欲が薄いものは自然淘汰されうるサバイバルな環境で生まれた。持てるものと持たざる者の歴然たる境界線。ならば、奪うしかあるまい。私の持っているものを使って、となるのも想像できる。主人公リカルドもまた国を出て(捨てて)ヨーロッパで暮らす。その意味で、ふたりは同志なのだ。リカルドが追うところから物語は始まるけれど⇨

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品