(こちらは新品のHMVレビューとなります。参考として下さいませ。中古商品にはサイト上に記載がある場合でも、封入/外付け特典は付属いたしません。また、実際の商品と内容が異なる場合がございます。)
ビルスマのボッケリーニ(5CD)
チェロ協奏曲、チェロ・ソナタ、弦楽五重奏曲、ほか
1977年から1993年にかけての録音。ボッケリーニといえば、イタリア人でありながら成人してからのほとんどの期間をスペインで過ごしたという事実上の「スペインの作曲家」であり、しかも「おそらく歴史上もっとも優れたチェリストであった」と鈴木秀美氏も称えるほどの無類の超絶技巧チェリストでもあったというのですから、チェロ好きには見逃せない存在です。しかしスペイン王室の作曲家だったこともあってか、亡くなってからは顧みられることは少なくなり、20世紀になるまで忘れられたような状態でした。
しかし、20世紀に入ってからはレパートリー発掘も進み、特に1993年の生誕250周年や、2005年の没後200周年という大きな機会にはリリースも増え、次第に認知度を高めてゆきます。
中でもビルスマの果たした役割には大きなものがあり、地中海の明るさと親密な歌心に満ちた美しい室内楽の数々や、チェロの超絶技巧を心行くまで味わえる協奏曲など、当時のヨーロッパで絶大な人気を博したという作品本来の魅力を、現代に蘇らせる強い説得力を持っています。
ビルスマは、「ボッケリーニの意図する音楽を表現するには古楽器の柔らかで透明感のある音色が不可欠」と語り、愛器「ゴフリラー」をガット弦で鳴らし、超絶技巧を駆使しながらも独特の倍音豊かな音色を朗々と響かせています。初回生産限定盤。(HMV)
【ビルスマについて】
1934年、オランダのハーグに誕生。幼少から父に音楽を習い始め、ハーグ王立音楽院でカレル・ボーンカンプにチェロを学んで優秀な成績で卒業。1959年パブロ・カザルス国際コンクールで優勝し、国際的な名声を得ます。 1962年から1968年までアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団首席チェロ奏者を務め、その間、グスタフ・レオンハルトやフランス・ブリュッヘン、ヤープ・シュレーダーらとクヮドロ・アムステルダムを結成してバロック演奏に力を注ぎ、やがてバロック・チェロ奏法を確立し、オランダ古楽界の重鎮として現在に至ります。
ビルスマは、ソリストとして活躍するほか、室内楽ではガット弦を使用した弦楽アンサンブル『ラルキブデッリ』を主宰、夫人でヴァイオリニストのヴェラ・ベス、左利きヴィオリストのユルゲン・クスマウルらとともに、17〜19世紀の知られざる傑作をとりあげて話題を呼んでいます。彼はまた、古楽器だけにこだわることなく、モダン楽器をも使用した驚異的なレパートリーの広さでも知られており、そのディスコグラフィはすでにかなりの数に達しています。
演奏活動以外では、アムステルダムとハーグの音楽院での教授活動が重要ですが、さらに彼は、アンナ・マクダレーナバッハの写本のボウイングについて論じた著書も刊行。昔から批判の絶えない対象を意義深い存在と認め、そこに示された複雑なボウイングに取り組んでいます。
名手ビルスマの演奏には、以上のような多彩な背景が認められ、そうしたことが、オリジナル楽器演奏の先駆者でありながら、常に努力し進歩し続けるという彼のアプローチを支えているものと思われます。
【収録情報】
ルイジ・ボッケリーニ[1743-1805]:
Disc-1
・序曲(シンフォニア)ニ長調 G.521 Op.43
・チェロ協奏曲ニ長調 G.476
・八重奏曲(ノットゥルノ)ト長調 Op.38-4 G.470
・チェロ協奏曲ハ長調 G.573
・シンフォニア ハ短調 G.519
アンナー・ビルスマ(チェロ)
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
ジーン・ラモン(指揮&ヴァイオリン)
Disc-2
・チェロ協奏曲第7番ト長調 G.480
・交響曲変ロ長調 Op.21-5 G.497
・チェロ協奏曲第10番ニ長調 G.483
・交響曲ニ短調 Op.12-4 G.506『悪魔の家』
アンナー・ビルスマ(チェロ)
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
ジーン・ラモン(指揮&ヴァイオリン)
Disc-3
・チェロ・ソナタ変ロ長調 G.8
・2つのチェロのためのフーガ ヘ長調 G.73-2
・チェロ・ソナタ変ホ長調 G.10
・チェロ・ソナタ ヘ長調 G.9
・2つのチェロのためのフーガ変ロ長調 G.73-3
・チェロ・ソナタ ハ短調 G.2
・2つのチェロのためのフーガ イ長調 G.73-5
・チェロ・ソナタ ト長調 G.15
アンナー・ビルスマ(チェロ)
ケネス・スロウィック(チェロ)
ボブ・ファン・アスペレン(Fp)
Disc-4
・弦楽五重奏曲ニ長調 Op.29-1 G.313
・弦楽五重奏曲ハ短調 Op.29-2 G.314
・弦楽五重奏曲ヘ長調 Op.29-3 G.315
・弦楽五重奏曲イ長調 Op.29-4 G.316
アンナー・ビルスマ(バロックVc)
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
アルダ・ストゥーロップ(ヴァイオリン)
ルシー・ ファン・ダール(ヴィオラ)
ヴィーラント・クイケン(チェロ)
Disc-5
・弦楽五重奏曲変ホ長調 Op.29-5 G.317
・弦楽五重奏曲ト短調 Op.29-6 G.318
アンナー・ビルスマ(チェロ)
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
アルダ・ストゥーロップ(ヴァイオリン)
ルシー・ファン・ ダール(ヴィオラ)
ヴィーラント・クイケン(チェロ)
・チェロ・ソナタ ハ長調 G.6
・チェロ・ソナタ イ長調 G.4
・チェロ・ソナタ ハ長調 G.17
アンナー・ビルスマ(チェロ)
ヴィーラント・クイケン(チェロ)
ホプキンソン・スミス(バロック・ギター)