CD 輸入盤

交響曲第4番『ロマンティック』 ヴァント&ベルリン・フィル

ブルックナー (1824-1896)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
09026688392
組み枚数
:
1
レーベル
:
RCA
:
Europe
フォーマット
:
CD

商品説明

ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調《ロマンティック》
ギュンター・ヴァント指揮ベルリン・フィルハーモニー

1998年にフィルハーモニーでライヴ収録されたこのCDは、彼にとって3度目の録音となるものですが、奇を衒わぬこの指揮者のことですから、これまで積み重ねられてきた細部情報への徹底した配慮や、がっしりと構築的なフォルムの追及といった質実剛健な基本方針については特に変更はありません。

 ことさらに旋律美を強調したり、感情移入をおこなったりというわかりやすさや派手な演出こそありませんが、ひとつひとつの音を丹念に積み重ね、重層的な音の連なりを的確に処理する能力の高さは、例えば終楽章から強大なパワーを引き出すことに成功しており、なおかつ整理の行き届いたパート・バランスゆえの混濁のない響きの魅力が、さすがとしか言いようのない印象をもたらします。

 当然、ティンパニやシンバルの追加といった改訂版からのアイデア借用はありませんが、部分的にはハース版に従わず、ノーヴァク版のアイデアを採り入れているあたりも、最終的には作曲者の結論に従うヴァントの姿勢をよく示しています。とは言え、両原典版の最も目立つ相違箇所で、ハースに従っていないにも関わらず“ハース版”を名乗るあたり、ヴァントのノーヴァク嫌いも相当なものと言えそうです。

 版の問題はともかく、今回のディスクが素晴らしいのは、そうしたヴァントのシリアスな解釈が、ベルリン・フィルという名人オケのパワーを得て、禁欲一辺倒ではない華やかさを招来している点にあると考えられます。

 ケルン放送響盤、北ドイツ放送響盤に較べて圧倒的なヴィルトゥオジティを備えたベルリン・フィルには、忠実度だけでは量ることのできない魅力が確かにあります。轟きわたるティンパニを核とした強烈なトゥッティの迫力や、存在感たっぷりの木管の独奏、馬力満点のブラス・セクションに、分厚い弦楽と、このオケの長所が存分に引き出されたサウンドの連なるさまは圧倒的なものがあり、ヴァント自身が“世界最高のオーケストラ”と讃えるのも十分に理解できます。

 旧盤に較べて全体に少々テンポが遅くなり、よりロマン的な表情が濃くなってきているように思えるのも、そうした雄弁なサウンドが影響してのことでしょうが、実際、ドライな印象の強かったケルン盤に較べれば、ここでのディテールは比較にならないほど豊かな表情を湛えたものと言えるでしょう。第2楽章での濃密な雰囲気などその好例と言えますが、細かく検証すればフレーズの形はあくまでも端正であり、テンポの変動もごく僅かで、全体の端正な印象が崩れることはまったくありません。何とも凄いサウンドだと言えるでしょう。

 もちろん、そこにはベルリン・フィルとしては異例と言ってよい長時間に及ぶリハーサルがあったことも見逃せません。財政基盤が安定し、練習時間をたっぷりとることが可能なドイツの放送オーケストラと長年仕事をしてきたヴァントにとっては、いわば当然の条件でもあったのでしょうが、そうでなければいくらベルリン・フィルとヴァントの関係が良好と言っても、このようなサウンドがまとめあげられたとは考えにくいからです。

 しかもこの演奏はよくある疑似ライヴではなく、正真正銘、聴衆の入った本番を収録したもので、編集についてはヴァント自身が3日間のコンサート録音からほぼ楽章単位でおこなったと言いますから、信頼度の高さも抜群です。要はスタジオ録音でよくみられる調整卓によるバランス操作や、テープのつぎはぎのような姑息な手段は一切とられていないということで、クラシックの音楽家の評価が、多くの場合“実演”で決定されていることを考えれば、実に理にかなった収録方法と言えるのではないでしょうか。

収録曲   

  • 01. Bewegt, Nicht Zu Schnell
  • 02. Andante, Quasi Allegretto
  • 03. Scherzo: Bewegt, Trio: Nicht Zu Schnell, Keinesfalls Schleppend
  • 04. Finale: Bewegt, Doch Nicht Zu Schnell

総合評価

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1回目の視聴でとてつもない名盤と思ったが...

投稿日:2013/05/16 (木)

1回目の視聴でとてつもない名盤と思ったが、何度か聞いているうちに低音金管群にやや粗さが散見された。といっても録音は透明度があり音場がかなり広く、ライブとしては驚きの優秀録音である。さてベルリンフィルは弦楽器群はやや音が薄く荘重な響きがさほど感じられない。重苦しくなく爽快に楽しめる1枚である。ただこの演奏はNDRに比べてヴァントらしさが感じられないと言ったら、お叱りを受けるだろうか?フレージングのなめらかさはカラヤン盤に劣る。とはいっても名盤の一つに加えていいだろう、特に録音の優秀さという点で。

トスカの微笑 さん | 北海道 | 不明

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ヴァントは所謂スター的大指揮者が相次いで...

投稿日:2012/10/05 (金)

ヴァントは所謂スター的大指揮者が相次いで亡くなってからややそのポジションを埋め合わせする様に持ち上げられた感のある晩年でありました。風采からそう派手々しい処がないのに相応しく地道にブルックナー交響曲演奏に対しては以前から積み上げて来た実績からも一家言を有するに到った事は明々白々であります。ブルックナー交響曲の中でもその「ロマンチック」というネイミングで難しい音楽から脱却した様なこの曲についてもヴァントは本盤以外にも多くの名盤(後述)を遺しています。さて、本盤は1998年BPOを振ってのヴァント86歳の時のハース版(ほんの一部ノヴァーク版らしいのですが小生などには分りません)を使ったライブ録音という事なのですが、このライブ録音は他でもよくある数日分の演奏会から楽章別に録っているので・・・スタジオ録音ならいざ知らずちょっと正直その時の演奏の勢いというか流れ感の微妙な違いが先入観的に邪魔をしました。演奏タイムとしては@19’09A15’58B11’14C21’50とマァ程々な時間でとりわけBPOの機能的な響きが方向性としてヴァントらしさと完全一致していたかは疑問です。第1楽章は森閑としたただならぬ雰囲気の序奏から後は微妙なテンポの変化はありますが基本的にはゆっくり余裕を見せつつ推移します。私はここでは管楽器のバランスの良さに耳を奪われました。滔々と流れ進みフィナーレのどっしり感もBPOならではの説得性があります。第2楽章はゆったりと優しく進みます・・・決して厳しくはないけれども最後の方の思い入れたっぷりした寂寥感は素敵です。第3楽章にも聞かれたのですが録音ポジションからなのか演奏そのものからなのかはわかりませんが割りと伴奏的な反復パッセージが単調に強調される処・・・勿論他の演奏ではそこまでは聞えない箇所・・・は気にはなりました。最終楽章で冒頭のホルン合奏からその後の弦の旋律は印象的で続いて「持って行き方」の上手さをヴァントは垣間見せ、じわじわコーダに向かって行く・・・もうこうなったらブルックナー独特の世界へ底なしです・・・そして踏みしめてあの第一テーマが徐々に膨らんでいく有様はクラシック音楽の醍醐味でしょう。ヴァントのスケール感あるアプローチが有無を言わせません。BPOならではの洗練さを塗した「ロマンチック」交響曲なのかもしれません。前述のヴァント指揮「ロマンチック」の他の演奏というのは1976年ケルン放送SO(タイム@17’28A15’41B10’36C20’20)、1990年NDRSO(同@18’00A15’19B10’55C21’26)、2001年NDRSO(同@20’26A16’56B11’58C23’41)、同年ミュンヘンPO(同@20’17A16’38B12’00C22’46)等であります。(タイムについては盤により多少異なる場合があります)

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ブルックナーの11ある交響曲の中でも第4...

投稿日:2011/06/09 (木)

ブルックナーの11ある交響曲の中でも第4は、ブルックナーの交響曲の演奏が現在のようにごく普通に行われるようになる以前の時代から一貫して、最も人気があるポピュラリティを獲得した作品と言える。ブルックナーの交響曲全集を録音しなかった指揮者でも、この第4の録音だけを遺している例が多いのは特筆すべき事実であると言えるのではないか(ジュリーニなどを除く)。そして、そのようなブルックナー指揮者とは必ずしも言い難い指揮者による名演が数多く遺されているのも、この第4の特殊性と考えられる。例えば、ベーム&ウィーン・フィル盤(1973年)、ムーティ&ベルリン・フィル盤(1985年)などはその最たる例と言えるところである。近年では、初稿による名演も、インバルを皮切りとして、ケント・ナガノ、シモーネ・ヤングなどによって成し遂げられており、第4の演奏様式も今後大きく変化していく可能性があるのかもしれない。ただ、この第4は、いわゆるブルックナー指揮者と評される指揮者にとっては、なかなかに難物であるようで、ヨッフムなどは、二度にわたる全集を成し遂げているにもかかわらず、いずれの第4の演奏も、他の交響曲と比較すると必ずしも出来がいいとは言い難い。それは、朝比奈やヴァントにも当てはまるところであり、少なくとも1980年代までは、両雄ともに、第4には悪戦苦闘を繰り返していたと言えるだろう。しかしながら、この両雄も1990年代に入ってから、漸く素晴らしい名演を成し遂げるようになった。朝比奈の場合は、大阪フィルとの1993年盤(ポニーキャノン)と2000年盤(エクストン)盤が超名演であり、これにN響との2000年盤(フォンテック)、新日本フィルとの1992年盤(フォンテック)が続くという構図である。これに対して、ヴァントの場合は、本盤におさめられたベルリン・フィル盤(1998年)、ミュンヘン・フィル盤(2001年)、北ドイツ放送響とのラストレコーディング(2001年)の3点が同格の超名演と高く評価したい。本演奏におけるヴァントは、必ずしもインテンポに固執していない。第3楽章などにおけるテンポの変化など、これまでのヴァントには見られなかった表現であるが、それでいてブルックナーの本質を逸脱しないのは、ヴァントが最晩年になって漸く成し得た圧巻の至芸と言えるだろう。また、眼光紙背に徹した厳格なスコアリーディングを行っており、全体の造型はきわめて堅固ではあるが、細部に至るまで表現が緻密でニュアンスが豊かであり、どこをとっても深みのある音色に満たされているのが素晴らしい。金管楽器なども完璧に鳴りきっており、どんなに最強奏してもいささかも無機的には陥っていない。これは、ベルリン・フィルの卓越した技量によるところも大きいが、ヴァントによる圧倒的な統率力にも起因していると考えられる。第2楽章は、聖フローリアンを吹く一陣のそよ風のようにソフトに開始されるが、その筆舌には尽くし難い繊細さは崇高な高みに達している。その後は、ブルックナーならではの情感豊かな音楽が続いていくが、ヴァントはいささかも感傷的には決して陥らず、高踏的な美しさを保っているのが素晴らしい。いずれにしても、本演奏は、ヴァントが80代半ばにして漸く成し遂げることが出来た第4の至高の超名演であり、これぞまさしく大器晩成の最たるものと評価したい。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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ブルックナー (1824-1896)

1824年:オーストリアのアンスフェルデンでヨーゼフ・アントン・ブルックナー誕生。 1845年:聖フローリアン修道院の助教師に就任。 1856年:リンツ聖堂及び教区教会のオルガン奏者に就任。 1866年:交響曲第1番完成。 1868年:音楽大学の教授に就任。 1869年:交響曲第0番完成。 1872年:交響曲第2番完成。 1873年

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