CD 輸入盤

ピアノ協奏曲第1、2番 ポリーニ、ベーム、アバド&ウィーン・フィル

ブラームス(1833-1897)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
453067
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Germany
フォーマット
:
CD

商品説明

二十世紀最高の名手のひとり、マウリツィオ・ポリーニがバリバリの超絶技巧でショパン、シューベルトから新ウィーン楽派作品に至るまで圧倒的な演奏を聴かせていた頃のレコーディング。
 第1番、第2番とも初出時は1曲のみの収録でしたが、今回の高音質&廉価盤セット化により、《ハイドン変奏曲》に《悲劇的序曲》というおまけが追加されているのも嬉しいところです。

●ピアノ協奏曲第1番(1979年ステレオ録音)
第1楽章“マエストーソ”
 第1番の第1楽章と言えば豪壮な冒頭部分がまず注目されるところですが、ここでのベームの指揮は気合十分で、決しておおげさにわめかせたりせず、必要十分な力の配分をおこなうことで、結果的にウィーン・フィルの各楽器が実に美しい音で鳴っているのが印象的です。
 長老指揮者ならではの高所大所からの誘導は、こうした大規模な音楽の場合非常に効果的ということもありますが、何よりのポイントはやはりオーケストラの力量でしょう。
 ポリーニもベームのつくりだす深々としたオケ・サウンドを背景に磨きぬかれた表現を聴かせ、ドラマティックな第1主題部はもちろん、第2主題部での抒情的な曲想への配慮も十全と言える仕上がりです。
 特筆されるべきは、当時85歳だったベームが、ポリーニの熱演に合わせるかのように実にホットな演奏を聴かせていることで、展開部など両者のスリリングなやりとりには驚くばかり。一方、再現部での巨大な序奏部の到来などは晩年のベームならではのスケールの大きさであり、色々な意味で指揮者とソリストの個性の違いが良い方向に作用しているように思われます。

第2楽章“アダージョ” 
 いかにもブラームスらしい深い抒情の聴かれる緩徐楽章であるこの楽章では、ベームの誘導の自然さが何よりも魅力的です。息長い弦楽セクションの扱いに加えて、繊細な色彩を添える管楽器のバランス調整がとにかく見事であり、ピアノ・ソロを巧みに引き立てる沈潜ぶりに示されるスタティックな美感は、ヴィーン・フィルでなくては実現出来ない種類のものでもあります。
 特に中間部でのエモーショナルでありながらも優美な絡み合いは、続く主部でのたかまりとコーダでの内省美と効果的なコントラストを形成してまさに絶妙です。

第3楽章“ロンド:アレグロ・ノン・トロッポ”
 快活で力に溢れるこの楽章では、ポリーニの名技が聴きものですが、随所で繰り出されるオケの表情豊かな響きも注目もので、エピソード部分はもちろん、有名なフーガ部分や、カデンツァ直後の深い情感を湛えたコーダでの各楽器の扱いは見事と言うほかありません。

●ハイドンの主題による変奏曲  1977年ステレオ録音。トータル19分36秒(メーカー表記値)という実にスローな演奏ながら、スローゆえに拡大されたディテール情報が、ウィーン・フィルの自発性豊かなアンサンブルによって彩られ埋められてゆくさまが実に魅力的。 
 変奏曲という同一素材の変容から成立する楽曲形式の場合、こうした楽員レヴェルでの濃やかな味付けは非常に効果が大きく、ベームの示すやたらに大きな枠組みの中で、類似的性格を有する素材の数々が表情豊かにその微妙な差異について主張を繰り広げるアプローチは、室内楽的な合奏レヴェルに到達したものとさえ言える高水準ぶりです。

●ピアノ協奏曲第2番(1976年ステレオ録音)
第1楽章“アレグロ・ノン・トロッポ” 
 政治的にも気の合う(?)アバドの指揮ということもあって、よく息の合ったところを聴かせる素晴らしい演奏。ブラームスには明るすぎるというもっともらしい批判もありましたが、この爽快な流れは快適です。
 当時、絶頂にあったポリーニの超絶技巧のおかげで、難所が難所に聴こえにくいという贅沢な問題も孕みますが、実はここは大変なんですよ式のギクシャクした演奏に、どうにも洗練されぬもどかしさを感じる聴き手にとっては、こうしたアプローチは福音と言っても良いでしょう。
 最初の難所、序奏部の後半から豪快かつエネルギッシュな演奏が聴き手に迫り、加えてオーケストラの率直な歌わせ方が、従来のこの作品の深遠なイメージ(?)が、つくりごとめいたものに感じさせるほどです。

第2楽章“アレグロ・アパッショナート”
 ラプソディックな曲想で知られる情熱的楽章から、端正なアプローチによってバランス良い造形美を引き出した快演。ドイツ系の演奏に時折みられる濃厚な情念吐露とは正反対の、美しく良く響き合うサウンド主体による演奏で、ポリーニの強靭な打鍵が冴え渡り、4分30秒以降の第1のクライマックスへの力学的収斂もまずは完璧。作品の複合的な構造を聴き手に強く印象付ける優れた演奏といえるでしょう。

 第3楽章“アンダンテ” 冒頭から、首席チェロ奏者ロベルト・シャイヴァインのソロが滋味たっぷりに響きわたる美しい場面が現れ、ウィーン・フィルならではの懐深い音響が作品の細部まで味わい尽くさせてくれるという素晴らしい局面の連続に、改めてこのオケの特殊な存在意義に思いが至ります。

●悲劇的序曲

収録曲   

  • 01. Concerto for Piano no 1 in D minor, Op. 15
  • 02. Concerto for Piano no 2 in B flat major, Op. 83
  • 03. Tragic Overture, Op. 81
  • 04. Variations in B flat major on a theme by Haydn, Op. 56a "St. Anthony"

総合評価

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2008年に第2番の方について感じたことを書...

投稿日:2011/12/07 (水)

2008年に第2番の方について感じたことを書き込みさせていただいた者ですが、第1番についてデータ的なものをメモしておきたく再書き込みする次第です。ポリーニはブラームスが余程好きなのか第1番についても現在三種類同じDGからCD盤が出ております。先ず本盤は1979年ポリーニ当時37歳の時にベーム(同85歳)/VPOバックでの演奏がタイム@20’53A13’26B11’58であります。次に1997年ライブ録音でバックがアバド(同64歳)/BPOでタイムは@20’52A12’07B11’44の盤であります。そして直近盤は今年2011年のライブでティーレマン(52歳)/SKDOがバックを務めタイムが@21’02A12’31B11’56の演奏であります。演奏タイムに若干の凸凹はあるのは別にしてポリーニが回数を重ね加齢して行くのに逆行してバックを担当する指揮者が若くなって行っているのが演奏に如何に反映しているのかオーケストラの違いと共に味わいたい処で、ポリーニの客観性を踏まえたアプローチで益々その明晰な表現に磨きがかかってきている面も注目したいですね。(タイムについては盤により多少異なる場合があります。)

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1番について。第1楽章が速い!通常23分...

投稿日:2010/07/20 (火)

1番について。第1楽章が速い!通常23分〜24分の演奏が多い中、20分55秒と、21分を切っています。この速さは、単純に速く流しているというものではなく、起伏が大変大きく、ポリーニの熱する箇所に合わせてオケがその都度加速度を増すというもので、このウィーンフィルの反応が晩年のべームとは思えないほど鋭敏なのです。特に第1楽章終結部でポリーニの打鍵が激情を発するやいなや、ウィーンフィルも津波のように対峙する、そのダイナミズムは、60年代のカラヤン/ベルリンフィルのベートーヴェンの交響曲のような剃刀のドラマ性を感じさせる。これをこけおどしと思って欲しくない。まさか晩年のべームのこの伴奏が「新鮮さ」や「新しさ」を与えてくれるとは思わなかった。今更ながら驚きや発見に満ちた1番。もちろんポリーニも雄渾。

おたふくかぜ さん | 熊本県 | 不明

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2番については他の盤て゜も述べたようにや...

投稿日:2008/08/23 (土)

2番については他の盤て゜も述べたようにやヽ竜頭蛇尾の感があり終楽章が曲想からも若干寸足らずではありますが、ポリーニ、アバドのイタリアコンビによる演奏はこの曲の成り立ちに則した面があります。ピアノ協奏曲というよりはビアノが混じった管弦楽としての印象もあり全体には明るく時には強靭な色調とオーケストラVPOによる引き締めもあり最高の盤になつています。私は特に第3楽章の穏やかな室内楽的やりとりに「歌う」イタリア的な要素を見出しております。全4楽章をゆったりした演奏で進めているのに冗長さを感じさせないところがミソ。

一人のクラシックオールドファン さん | 芦屋 | 不明

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人物・団体紹介

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ブラームス(1833-1897)

1833年:北ドイツのハンブルクでヨハネス・ブラームス誕生。 1843年:演奏会にピアニストとして出演。作曲家、ピアニストのマルクスゼンに師事。 1852年:ピアノ・ソナタ第2番が完成。 1853年:ピアノ・ソナタ第1番、ピアノ・ソナタ第3番が完成。 1854年:ピアノ三重奏曲第1番、シューマンの主題による変奏曲が完成。

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