アウシュヴィッツの巻物 証言資料

ニコラス・チェア

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622087038
ISBN 10 : 4622087030
フォーマット
出版社
発行年月
2019年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
416p;22

内容詳細

ナチのユダヤ人絶滅収容所内に設置されたガス室は、移送されてきたユダヤ人から選別された囚人「ゾンダーコマンド」(特別作業班)によって稼動していた。彼らは人々がガス室へ送られるのに立会い、遺体の焼却や処理、清掃など、「地獄」の労働を担わされた。ゾンダーコマンドたちがひそかに書き残してアウシュヴィッツ収容所の火葬場の地中に埋めた記録、手記や手紙が戦後、数十年にわたって発掘されている。イディッシュ語やフランス語、ギリシア語などの言語で書かれ、内容も文体も体裁もさまざまである。ガス室の入り口から隠し撮りした写真もあった。やがて死の選別が自らにも下される恐怖のなかで、書くことは彼らの生を支え、同時にナチに対する抵抗でもあった。それは外部の他者、後世の人々とつながろうとする意志であり、ホロコーストがしばしば「表象不可能」と評されることへの根源的な反証となっている。ゾンダーコマンドの文書は旧約聖書の中でも特別な書とされる五書にちなんで「巻物」と呼ばれる。「巻物」の書き手たちはほとんど生きて還ることはなかった。彼らはなぜ、何を、どのように書いたのか。本書は「アウシュヴィッツの巻物」の全体像を詳しく考察した初めての書である。

目次 : 序文 証言問題/ 第1章 歴史問題/ 第2章 ザルマン・グラドフスキ―死の工場における文学/ 第3章 散在した自我―レイブ・ラングフスの話/ 第4章 終極の準備―ザルマン・レヴェンタルの抵抗史/ 第5章 筆跡と手紙―ハイム・ヘルマンとマルセル・ナジャリ/ 第6章 カメラの眼―ビルケナウからの四枚の写真/ 結論 炎の輪を通り抜ける

【著者紹介】
ニコラス・チェア : モントリオール大学美術史学科教授。視聴覚分野の現代美術やジェンダー論が専門。トラウマ体験を証言する表現形式としての美術・文学研究でも知られる。2007年、フランシス・ベーコンの絵画研究により、独創的な研究に授与される英国リーヴァーヒューム財団賞を受賞

ドミニク・ウィリアムズ : リーズ大学ユダヤ学科特別研究員。20世紀の英国ユダヤ文学やホロコーストを研究。ニコラス・チェアと「アウシュヴィッツの巻物」の共同研究を進め、戦後証言とその表象を考察している

二階宗人 : 1950年生まれ。早稲田大学卒(労働経済論専攻)。ジャーナリスト。NHK記者としてローマ(エルサレム)、ジュネーヴ、ロンドン、パリの各総支局に駐在。東西冷戦下のヨーロッパ、中東紛争、バチカンの動静などを取材した。ヨーロッパ中東アフリカ総局長をはじめNHKエンタプライズ・ヨーロッパ社長を歴任。ホロコーストをめぐる思潮と宗教間対話に関心をもち、ナチ強制収容所の遺構やゲットー所在地跡の多くを訪ねている。これまでに上智大学神学部非常勤講師や米国フェッツァー財団の顧問をつとめた。日本宗教学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 蘭奢待 さん

    ナチスへの加担者として見られるゾンダーコマンド。彼らの任務は死体処理である。彼らが命がけで作成し、後世のために地中に隠した残した証言メモや写真。それを解析し、作成者達の考えを分析するのが本書である。中の人の生々しい証言は改めてショッキングである。たった80年前。文化も文明も発達した一等国での犯罪。被害者たちが置かれた境遇の非現実感、絶望感は想像を絶する。年の瀬に手に取ってしまったが読み進めるのが辛かった。図書館本。

  • ケイトKATE さん

    2020年8月に放送されたNHKスペシャル『アウシュビッツ 死者たちの告白』を観た衝撃から読んでみた。本書には番組で登場するゾンダーコマンド達が登場するが、番組に比べると、ゾンダーコマンドが書き残した言葉よりも、著者達の考察が大半を占めているので拍子抜けした。ゾンダーコマンドが残した文書は長い間、地中に埋められて劣化が進み判読不可能な箇所が多いことは仕方がないとはいえ、貴重な証言をもっと紹介してほしかったというのが正直な気持である。

  • uniemo さん

    アウシュヴィッツで死体焼却の作業に従事していたゾンダーコマンドが自分たちが生き残れない運命を覚悟して、目撃した事実をいつか見つけ出されることを期待し、土の下等に埋めて残した文書とわずかな写真。このような状況下であっても元々文学的才能のあった人はただ記録していくのではなく文学的な表現をしていたり、手紙という形で残されたものからはそれまでの個人の思考がわかるところが印象的でした。かなり学術的な側面の強い本なので原註も多量で理解して読み進むのに時間がかかりました。

  • Arte さん

    ゾンダーコマンドが頑張って残した文書(少しずつ見つかったり、再発見されたり)をただ書き写すだけでなく批評しよう、という試みの書。見つかった文章の全訳が載っているのかと思っていたので、そこは期待外れだったが、推敲を重ねたり、歴史的文書であることを意識して書かれた文章もあり、筆者の家父長的あるいはマッチョ的な考えが現れていたり、ガス室に入る前の裸の女性を女性として見ていたりもして、ゾンダーコマンドも当たり前だが普通の人間だったと感じさせられる。それにしても「文学的で感情的な文章は女性的」という発想はなかった。

  • mimm さん

    ビルケナウ強制収容所の、死体焼却施設の作業に従事した、ユダヤ人のゾンダーコマンド(特別作業班)の班員たちが、70年以上前に書き記した一連の手書き文書と、残された4枚の写真を取り上げた一冊。彼らは手紙や手記などを地中に埋め、戦後に発掘された。ただ彼らのほとんどは生還するtことがなく、また生還への諦めも文章に混じっている。資料の考察ゆえ、一部しか文書が載らないけれど、全部を読んでみたかった。日本語訳にしても所々分かり難かったので、何度か読み返してみます。写真にはぞっとしました。

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ニコラス・チェア

モントリオール大学美術史学科教授。視聴覚分野の現代美術やジェンダー論が専門。トラウマ体験を証言する表現形式としての美術・文学研究でも知られる。2007年、フランシス・ベーコンの絵画研究により、独創的な研究に授与される英国リーヴァーヒューム財団賞を受賞

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