『妻を帽子とまちがえた男』　ディーン・ウィリアムソン&ナッシュヴィル・オペラ、マシュー・トレヴィーニ、ライアン・マックファーソン、他(2014　ステレオ)

ナイマン:『妻を帽子とまちがえた男』

脳神経科医オリヴァー・サックス博士が自身の体験を元に著した「妻を帽子ととまちがえた男」(日本語訳も出版されています)。なんとも奇妙なタイトルですが、この主人公P教授も実在していたのです。かつては大歌手であったP教授、現在は知覚障害を発症し様々な認知障害を抱えています。このオペラが初演された1980年代は、まだまだこの症状について人々の認識は深いものではなく、日本では1970年代にブームになった「恍惚の人」という表現が知られていたように、アメリカにおいても、このようなオペラ形式で「認知症」を人々に知ってもらうという方法が取られたのです。サックス氏の文章は、P教授の奇妙な症状を客観的に紹介しながらも、その根底には共感と優しさが感じられることでも知られ、これを観た人はP教授に賞賛を送ることになるのです。
　マイケル・ナイマンがこの物語につけた音楽はお馴染みのミニマルですが、決していらだつような雰囲気ではなく、どんな状況でも温かく包み込むような美しさを備えています。人間の尊厳とはなにか・・・そんな主題を孕む問題作です。(輸入元情報)

【収録情報】
● ナイマン:オペラ『妻を帽子とまちがえた男』 (1986)

　第1場:プロローグ-神経内科医のお気に入りの用語は『赤字』です
　第2場:まず検討-交通
　第2場:靴-私にお手伝いできますか？
　第2場:スライド-あなたはとてもはっきり見ることができます
　第2場:川-あなたは今何をみていますか？
　第2場:支度の儀式-帽子のための妻
　第3場:家庭訪問-ベーゼンドルファー
　第3場:私は恨まない
　第3場:スライド-しかし頭のてっぺんに
　第3場:写真-これは何？
　第3場:ばら…失う
　第3場:手袋-今、これは何？
　第3場:チェス・ゲーム-王4への駒
　第4場:視覚記憶のテスト-通り-われわれの終わりから
　第5場:絵を描くことは病理？議論-絵を描く-あなたの夫は画家です
　第6場:診断-妻-話してください、私は彼をどのようにしたらよいのですか？
　第7場:エピローグ-予測-私は、何が間違っているかについて、あなたに話すことができません

　P教授…マシュー・トレヴィーニョ(バス)
　P夫人…レベッカ・ショーウォール(ソプラノ)
　神経内科医…ライアン・マックファーソン(テノール)
　ナッシュヴィル・オペラ
　ディーン・ウィリアムソン(指揮)

　録音時期:2014年5月23-25日
　録音場所:テネシー州ナッシュヴィル、オーシャン・ウェイ
　録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)