チャイコフスキー(1840-1893)

人物・団体ページへ

CD

チャイコフスキー:交響曲第4番、他 ジョージ・セル

チャイコフスキー(1840-1893)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
UCCD7057
組み枚数
:
1
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

セル/チャイコフスキー:交響曲 第4番 他
チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 作品36(1)
大序曲《1812年》 作品49(2)
グレナディア・ガーズ軍楽隊(指揮:フレデリック・J.ハリス中佐)(2)
ロンドン交響楽団、指揮:ジョージ・セル(1)、指揮:ケネス・オルウィン(2)
録音:1962年9月(1)、1958年5月(2) ロンドン
チャイコフスキーの第4交響曲は、当時不幸な結婚で悩んでいた作曲者の心境を反映した人生の苦悩と哀愁に関する標題的内容を持った情熱的な曲。妥協のない厳格なアプローチで音楽の本質に迫ることで知られる大指揮者セルがデッカに残した名盤です。また《1812年》はナポレオンのロシア進軍と敗退の史実を描写した作品で、フランスとロシアの国歌や大砲の実射音などが使われている祝祭的な音楽です。


私のオススメ

往年のデッカの録音プロデューサー、ジョン・カルショウの自伝『レコードはまっすぐに』(山崎浩太郎訳、学習研究社)にはジョージ・セル(1897〜1970)の指揮するロンドン交響楽団が1962年に録音したチャイコフスキー交響曲第4番について次のような記述がある。
 「そのころ、ロンドン交響楽団は世代の交代期にあった。そのため秋にセルが戻って来た(*)ときには、最高の状態ではなかった。何という巡り合わせか、私はセルにチャイコフスキーの交響曲第四番を録音させようとスケジュールを組んでしまっており、これは彼らの弱点を拡大することになった。
 最終的にセルはこのレコードの発売を拒否した。たしかに、編集によっても改善できなかったミスがいくつかあることには、議論の余地がなかった(録り直したものも元の録音に比べて、よくも悪くもなかった)。未亡人が発売を許可したのは、彼の死後何年もたってからのことである。これほどの演奏解釈には、演奏の不備な点を補って余りあるというのがその理由で、そしてこのレコードの発売が歓迎されたことが、彼女の判断の正しさを証明した」
 (pp.428-pp.429;表記は全て本文に従った)
 *セルはこの年の春にカーゾンとブラームスのピアノ協奏曲を録音するためにロンドン交響楽団を指揮した。
 では実際のところセルはこの曲をどう指揮したのだろうか。 以下楽章ごとにひもといてみる。第1楽章:冒頭のホルンは十分に鳴り渡りながらも重々しさを感じさせないサウンドでその後の金管群の吹奏も同様のトーン。「運命の主題」という言葉を意識し過ぎてただ力奏するだけのものも多いなか、なよつかずに節度ある音を出すという最も難しいところをうまく形作っている。その後の静かな部分への移行、主部の発進は非常に滑らかで一つ一つのフレーズにおける響きのバランスがきちっと調整されていた。主部へ入ると基本的には早めのテンポで進みながら時折グッとテンポを落とすのが面白い。ギアチェンジもスムーズに決まっているけどほんの一、二箇所でわずかに切り返しの鈍くなった箇所がある。このあたりが発売を拒否した理由なのかも。とはいえ大きなミスやアンサンブルの乱れは皆無でラストの追い込みの鋭さなどオーケストラの強い集中力が伝わってくる。
 第2楽章:はかない旋律が折り重なっては消えていく美しい楽章だけど(日本のオーケストラの演奏でしばしば行われているように)もやもやっとやると非常に幻滅かつ退屈してしまう音楽。もちろんセルがそんなことをするはずがなく、オーボエのソロもファゴットの合いの手もそして弦による展開も全てが大切な音形はきちんと立てながら透明感をもって歌い継がれる。この楽章の構造がかくも洗練度の高い形で示されたことはほとんどないと思う。
 第3楽章:短い楽章のなかでセルはかなり細かく強弱をつけてピッツィカートと管楽器の絡みを濃く縁取ろうとする。ここはロンドン響が高いモチベーションでそれに応えた。凝りすぎの感もあるがよくできた手工芸品の趣。
 第4楽章:第1楽章同様早めのテンポをとって歯切れよく進行しつつ、まれに過去でも振り返るようにテンポを落とす。バランスのとり方も入念でスコアが透けて見えてきそう。音楽自体の勢いはかなりのものだけどイケイケ調とは無縁で全ては見事までに統御されている。聴き終わった後の余韻が深い演奏内容。音質も鮮明でセルの唸り声や踏み込み音まで捉えている。
 これだけの名演の発売を許可しなかったとは信じがたい。「ハートを持った独裁者」は誰よりも自らに厳しかったということか。 投稿者: WATSON,T from 神奈川県川崎市 (Apr 7th 2008)

内容詳細

妥協を許さない厳格なアプローチで音楽の本質に迫ることで知られた指揮者、セルが残した名盤中の名盤。チャイコフスキーの名曲をキッチリ音楽にしている。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
4
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
これはすごい。セルの天才が随所で光る。LS...

投稿日:2008/09/28 (日)

これはすごい。セルの天才が随所で光る。LSOもよく応えており、文句無しの名演と言える。速いテンポを基調としながらも、時折ちょっとタメてみたり、決して単調にならないのはさすが。迫力も十分で、特に第1楽章コーダの鋭い追い込みと轟音は大地を揺るがすような凄まじさ。第2、3楽章は丁寧で美しく、繊細なニュアンスが魅力。終楽章も快速だがうるさくなく、品があって立派。録音良好。カップリングの1812年もなかなかの名演だった。

味噌カツ さん | 名古屋 | 不明

3
★
★
★
★
★
この4番は、レコ芸である批評家に“この曲...

投稿日:2006/10/15 (日)

この4番は、レコ芸である批評家に“この曲をここまで冷めて演奏できるのか・・”とさんざん酷評された演奏であるが、私には十分熱い演奏に聞こえる。 火で言えば青い炎とでもいうか・・。 理知的に曲を構築しているのだが、中には熱いものが燃えたぎっている。 そのコントラストが聞くものを興奮させます。 確かに大人の演奏です。 この演奏を聴くと、ゲルギエフあたりじゃ、良い線行っているけど、少々物足りない。 わかりやすすぎて。 というわけで、名盤です。おすすめです。

シニー さん | 富岡西 | 不明

5
★
★
★
★
★
音の強弱、テンポの自在さ、何をとっても一...

投稿日:2006/04/25 (火)

音の強弱、テンポの自在さ、何をとっても一級品。密度の濃い音が流れている。弦も管も強烈な音で彫刻を見ているような音楽である。地鳴りのようなティンパニーの響きが鼓膜を揺り動かします。これはまさに大人の演奏ですね。こんなのに出会ったらもう交通事故みたいなもの。きっと昇天できます。オルウィンの大序曲「1812年」も熱演。セルに負けていないですね。良いカップリングです。ブラボー!

オタヌキ さん | 愛知県 | 不明

2

人物・団体紹介

人物・団体ページへ

チャイコフスキー(1840-1893)

1840年:ロシアのウラル地方ヴォトキンスクで鉱山技師の次男として誕生。 1859年:法務省に勤務。 1861年:アントン・ルービンシュタインが設立した音楽教室(1962年にペテルブルク音楽院となる)に入学。 1863年:法務省を退職。 1866年:交響曲第1番『冬の日の幻想』初演。初のオペラ「地方長官」を完成。 1875年:ピア

プロフィール詳細へ

チャイコフスキー(1840-1893)に関連するトピックス

交響曲 に関連する商品情報

おすすめの商品