CD 輸入盤

《わが祖国》全曲 アーノンクール / ウィーン・フィルハーモニー

スメタナ(1824-1884)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
0927.44890
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD

商品説明

スメタナ:連作交響詩 《我が祖国》 全曲
アーノンクール 指揮 ウィーン・フィルハーモニー
2001年11月、ムジークフェラインザールでおこなわれたウィーン・フィル定期演奏会をライヴ収録。 チェコの血筋を引くアーノンクール(祖母がチェコ人)は、ウィーン・フィルとの演奏会でこの作品をとりあげるのが長年の夢だったと言います。 あるインタビューでは、ウィーン・フィルのこの作品の演奏回数の少なさを嘆いていましたが、実際、長い歴史の中で、このオーケストラが《我が祖国》をレコーディングしたのは僅か2回(クーベリックとレヴァイン)となればそれもうなずけるというもの。
 演奏は、オーケストラの美音を十ニ分に生かしながらも、アーノンクール流儀に徹したというもので、繊細をきわめた弦のアーティキュレーションから、攻撃的なまでの迫力を備えた激しいトゥッティに至るまで、その表現レンジの広大さはまさに圧倒的。
 インタビューではオーケストラの自発性を称えていたアーノンクールですが、実際にはかなり凝ったアプローチで作品に迫っています。
 そのスタイルは、TELDECからリリースされた一連のドヴォルザーク作品で見せたそれに近いものであり、無用な崩し・大袈裟な表現を排除した結果としての造形的な骨格抽出や、ディテールにおけるアクセントなどの表現の巧みさが、作品から豊かな味わいを十分すぎるほど引き出しているのです。
 テンポの急変や思い切った表情の変化といった作品本来の接続曲的なシチュエーション、主題や動機の変容といった構造面の面白さへの配慮も万全でありながら、なおかつ、旋律美や音色美をも大切にしているあたりが、あるいウィーン・フィルと組んだときのアーノンクールの特徴かもしれません。
 《モルダウ》など実に美しい仕上がりですし、場面ごとの音楽の表情がデリケートな変化やニュアンスに富んでおり、そうした細部情報の活性化にあたって、ヴァイオリン両翼型のオーセンティックな楽器配置が果たした役割はなかなかのものと言えるはずですが、ここではそれを優秀な音質で捉えたレコーディング・スタッフにも賛辞を呈しておきましょう。
 ライヴの臨場感はそのままに、各楽器の質感や量感、響きの重なり具合に加え、両サイドにおかれたハープなど楽器の距離感も見事に再現された遠近感豊かな優秀録音です。

総合評価

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アーノンクールの個性は?と問われたらなん...

投稿日:2012/04/29 (日)

アーノンクールの個性は?と問われたらなんと答えたらいいのでしょう? 「(例えばカラヤンがそうであるように)音を磨き上げて美しく演奏しよう」と言う気はまったく無く、「(例えばマゼールがそうであるように)音楽をリスナーにわからせてあげよう」などと言うような(余計な?)サービス精神なども皆無。要するに「・・・ではなく・・・」みたいな否定的個性は数限りなく挙げられるが、それでは”アーノンクールの「旨み」はなに?”と問われたら答えに窮してしまいます。そういった意味で、このCDのよさがわからず、ただ評価が高いのも理解できるのですが、個人的な好みからはかなり遠い位置にある一枚です。

エーテルの風 さん | 長野県 | 不明

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アーノンクールならではの深い譜読み。ウィ...

投稿日:2011/06/17 (金)

アーノンクールならではの深い譜読み。ウィーン・フィルならではの柔らかい響き。HMVレヴューにもあるようにホルンを一本増やすことで、空間性のある膨らみを帯びた響きになっている。最終曲ブラニークのフィナーレでは、この奥行きのある響きで堂々としたテンポをとることにより、ある種の神秘的な雰囲気を醸し出しており、効果として成功していると思う。

ランスロット さん | 埼玉県 | 不明

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本盤を何年か前に購入した際にはあまりいい...

投稿日:2011/02/20 (日)

本盤を何年か前に購入した際にはあまりいい演奏のように思わなかったと記憶するが、最近、フルシャなどの新しい世代の指揮者による名演が相次いで登場してきたこともあり、あらためて聴き直すことにした。そして、聴いてみた結果であるが、本盤の看板どおり、わが祖国に新しい光を当てた素晴らしい名演であることがよくわかった。スメタナのわが祖国と言えば、いわゆるチェコ出身の指揮者、例えば、古くはターリヒ、アンチェルの名演に始まり、クーベリックやノイマンの複数の名演など、いわゆるチェコの愛国心を看板に掲げた民族色豊かな名演が主流であったと言える。チェコ出身の指揮者以外でも、ドラティや小林などの、生命力溢れる名演があった。ところが、アーノンクールは、そうしたチェコの民族色は、ひとまず横に置いておいて、同曲を純粋な交響詩として、もっぱら純音楽的なアプローチを心掛けている。要は、スメタナをチェコの作曲家という範疇におさめず、リストと親交が深く、ワーグナーにも多大な影響を受けたインターナショナルな大作曲家として捉えているとも言える。冒頭のハープの分離した配置や、その後の思い切った緩急のテンポの変化や、ターボル以降の超スローテンポなど、従来の演奏とは一味もふた味も異なる演奏ではあり、下手をするとゲテモノ的な演奏にも陥ってしまう危険性もあるのだが、オーケストラにウィーン・フィルを起用したことで、全体を美しい音楽で包み込むことに成功し、正に、純音楽的な美しさを誇る異色の名演を成し遂げることに成功したと言える。このような名演は、最近話題となったチェコの若手指揮者であるフルシャなどの名演にも少なからず影響を与えているのは明らかであるとも言えるところであり、本名演は、わが祖国の演奏史に少なからぬ影響を与えた稀有の名演と高く評価したい。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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