やはり出ましたか・・・
最初に出たBOXを、全く予備知識のないまま、6、7倍の値段で購入したのは相当昔のこと。
やけにちゃちなイラストの描かれたプラケースに入ったCD、標題音楽でもなく、なんとも単純極まりない555曲もの無味乾燥なタイトルの羅列。
こりゃあハズレを引いたかなと思って聴きはじめたところ、これがなんと!素人でもそれとわかるほど一点一画も忽せにしない、硬質であるがゆえに、直接魂に訴えかけてくるような響きの洪水。
飽き性の私が、チェンバロなどという、音色の単調極まりないはず(おっと失礼)の楽器のCDを、34枚も立て続けに飽くことなく聴き通したなどという経験は、後にも先にもこの時だけでした。
これほど魅了された理由、曲ゆえなのか、奏者ゆえなのか、最近までわかりませんでしたが、最近ベルダーの全集を入手して1、2枚聴いた時点ではっきりその答えが得られました。
夭折の天才が、命と引き換えにその生きた証を34枚のCDに焼き付けた、まさに“神技”に等しい至宝だったということを。
みなさんのおっしゃるとおり、バッハの全集があればなぁ・・・