読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• 脳疣沼 さん

  読了日：2019/05/28

  ユートピアを夢想するという人間のある種の傾向が、世界を間違った方向に導くという、耳が痛い話である。しかし、もちろんこれは人間の弱さのなせる技だが、しかし、もちろん「だってにんげんだもの」という話でしかない。つまりどうしようもない。だから、どうせ人間なんて、遅かれ早かれ破滅するという悲観主義に至る。そして、それも説得力がある。

• メルセ・ひすい さん

  読了日：2011/10/15

  近代政治批判…「近代政治は､知の力によって人類が太古以来の諸悪から救い出されるという信念によって動かされている…」と言う時､グレイはこの信念を称揚しているのではない｡近代政治はこの信念に動かされてきたために､悪からの救済どころか､その反対に「世俗的なテロ」をもたらしてきた｡これが「基督教のミサが逆順で遂行される瀆神的儀式」と定義される「黒ミサ」が表題とされる所衣である｡…

• ぽん教授（非実在系） さん

  読了日：2018/02/04

  千年王国の宗教思想はフランス革命、ロシア革命、ナチ、ネオリベラリズム、西洋現代のポリコレ、新保守主義、イスラム過激派に共通するという、それぞれの「宗派」の人が聞いたらキレそうな論を展開している。読む人に絶望を与える系の本であるため自分は楽しく読めた。著者の提案は現実主義であり平凡ながら難しい道を提示している。そこも、各狂信者の皆様には腹立たしく思われよう。

• メルセ・ひすい さん

  読了日：2011/05/29

  15　★5　10/01　人間中心主義主義の基督教政治まず大上段に聖書…黙示録的神話から啓蒙主義､仏蘭西革命＝ｼﾞｬｺﾊﾞﾆｽﾞﾑ､ﾛｼｱ革命＝共産主義､ﾅﾁｽﾞﾑを経て､今､ﾈｵｺﾝや新自由主義派､ﾏﾀ､ｲｽﾗﾑ過激派の中に生き続けている｡　近代以降における黙示録的信念を持つユートピア思想と、現実政治の関わりを分析。ブッシュ政権のイラク戦争による「ユートピア政治の終焉」、新しい現実主義政治の再興と可能性を提示する。

• Seiichiro Yamamoto さん

  読了日：2012/08/29

  近代以降の西欧の政治パターンに、キリスト教の千年王国主義が基本的には残存し、たびたび露骨に表出してくる、というグレイ氏の主張は、私には斬新で非常に楽しく読めた。ジャコバニズムに出発しながら、新自由主義路線すらも射程内に置く議論の進め方には、ただただ圧倒される。しかし、西欧国家が「理想社会の実現」という夢に駆り立てられているという現状分析には素直に従えるものの、それがキリスト教圏固有のものであると断定するためには、根拠が希薄であるように感じられた。一つの可能性の掲示、といった程度にとどまるのであろうか。

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