交響曲第３、４、５、６、７、８、９、１０番、管弦楽曲集　シュウォーツ＆シアトル響（５ＣＤ）

ウィリアム・シューマン交響曲全集＆管弦楽曲集
シュウォーツ＆シアトル交響楽団

2010年に生誕100年を迎えたアメリカの作曲家、ウィリアム・シューマン[1910-1992]の代表作である交響曲をまとめたお買得ボックス。ウィリアム・シューマンは生涯に10曲の交響曲を作曲していますが、第1番と第2番については内容に満足できなくなり、自らの作品リストから除外しているため、残された交響曲は8曲ということになります。
　アーロン・コープランド[1900-1990]やロイ・ハリス[1898-1979]の影響を受けながらも、独自の手法で数多くの力作をものにしたウィリアム・シューマンは、交響曲にたいへん力を入れており、残された8つの交響曲も、それぞれが個性的な顔を持った完成度の高さを誇るものばかりです。
　アメリカの交響曲を代表する傑作のひとつとしても名高い交響曲第3番は、バロック音楽のイディオムを20世紀の手法に盛り込んだような作品で、第1部がパッサカリアとフーガ、第2部がコラールとトッカータという構成ながら、響きは実に都会的で、瞑想的な美しさから壮麗で圧倒的な迫力のエンディングに至るまで雄弁に鳴りまくるさまは何度聴いても飽きの来ないカッコ良さです。
　第8番と第10番もオーケストラの鳴りの良さが印象的な傑作で、近代フルオケ作品の魅力もであるパーカッションの充実もあって聴きごたえ十分な仕上がりです。
　一方、第5番は弦楽アンサンブルのために書かれており、弦だけで示される乾いた叙情が印象的。
　交響曲第9番の『アルデアティーネの洞窟』という副題は、第二次大戦中、ローマを占領していたドイツ人たちによって、イタリア人政治犯335人の拷問と銃殺がおこなわれた洞窟の名にちなむものです。
　その他、複雑なリズムと対位法が魅力の第6番や、明るくパワフルで親しみやすい第4番など、どれも聴きごたえのある仕上がりとなっています。
　単売アルバムをセット化した内容なので、カップリングされた管弦楽曲も一緒に楽しめるのもポイント。サーカス序曲や、ニュー・イングランド三部作、そしてアイヴズ作品の管弦楽編曲など、ウィリアム・シューマンの親しみやすさをよく示す有名曲が揃っています。
　演奏は近現代作品を得意とし、アメリカ作品の紹介にも熱心なオーストリア系アメリカ人、ジェラード・シュウォーツ（シュワルツ）指揮するシアトル交響楽団によるものです。（ＨＭＶ）

【収録情報】
ウィリアム・シューマン
CD1
・交響曲第4番[] [24:50]
　録音：2003年9月、2004年3月

・管弦楽の歌 [02:59]
　録音：2004年3月

・サーカス序曲 [07:53]
　録音：2004年3月

・交響曲第9番『アルデアティーネの洞窟』
　録音：2003年11月、2004年2月

CD2
・交響曲第7番 [28:57]
　録音：2003年11月

・交響曲第10番『アメリカのミューズ』 [31:51]
　録音：2004年9月

CD3
・交響曲第3番 [27:28]
　録音：2005年9月

・交響曲第5番『弦楽のための交響曲』[17:55]
　録音：1991年1月

・バレエ音楽『ジュディス』[22:22]
　録音：1992年1月

CD4
・交響曲第6番[1948] [29:10]
　録音：2008年9月

・戦時の祈り[1943] [15:35]
　録音：2005年9月

・ニュー・イングランド三部作[1956] [16:06]
　録音：1990年9月

CD5
・交響曲第8番[1962] [32:28]
　録音：2008年10月

・夜の旅[1947] [25:28]
　録音：2007年10月

・アイヴズ（W.シューマン編曲）:「アメリカ」による変奏曲[1891/1964] [07:08]
　録音：1991年10月

　シアトル交響楽団
　ジェラード・シュウォーツ（指揮）