シェーンベルク(1874-1951)

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CD 輸入盤

Serenade, 5 Pieces, Ode: Boulez / Ensemble Intercontemporain Bbc So

シェーンベルク(1874-1951)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
SMK48463
組み枚数
:
1
レーベル
:
フォーマット
:
CD

ユーザーレビュー

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シェーンベルクのセレナードop.24、5つの管...

投稿日:2021/08/15 (日)

シェーンベルクのセレナードop.24、5つの管弦楽曲op.16、ナポレオン・ボナパルトへのオードop.41という3曲を収録している。これらは別々のLPレコードから抜粋し、再録したものだ。SONYはこうした選集、全集を何種類も出している。(他のレーベルもだが。)私の所有する盤は初期のロットで、表紙にはこのCDに【登場しない】イヴォンヌ・ミントンの名が印刷されている。また、かつてop.24とop.41が収められていたLPの国内盤ジャケットはTadayoshi Arai氏のクールなアートを用いていたし、op.16収録のLPはココシュカによるシェーンベルクの肖像画が美しかったが、現在のCDは稚拙なイラストが用いられている。雑な扱いが残念だが、録音は今日でも価値を失っていない。 ブーレーズは、シェーンベルクの作品を数多く録音し、その普及に大きな貢献をした。他方、彼の演奏は、シェーンベルクのロマンチックな心情やウィーン的な美意識、ポリフォニックな側面にはあまり寄り添わず、音楽の構造や推進力、全体的な響きを重視した、ブーレーズ自身の美意識に引き寄せたものが多い。だから、ブーレーズのシェーンベルク演奏は、どれもが最高というわけではなく、是々非々なのである。 セレナードop.24は、同曲の演奏として一番クールなものであり、非人間的なほどに磨き上げられ、低温の抒情に溢れている。夏に聴けば涼しくなる演奏だ。ブーレーズの「ル・マルトー・サン・メートル」の世界に寄せた解釈といえようか。録音も、アナログでは極めつけに透明な超高音質だ。第4曲目の「ソネット」ではジョン・シャーリー・カークの激昂する歌い方のインパクトが強い。カークは先行するアサートン盤でも同曲を歌っているから、当たり役なのだろう。ブーレーズ自身の、ドメーヌ・ミュジカル時代の粗削りで勢い重視の旧録音より殊更にクールな仕上げは、アサートンより自分が上だというアピールなのかもしれない。では、このアンテルコンタンポランの演奏が最高かというと、実は主旋律中心の階層化した音作りを徹底させていて、奏者が互いに聴き合って作り出す、室内楽的な親密感には欠けている。演奏全体にブーレーズか君臨していて、「いらない声部」は無情に響きの海に沈めている。そうでない演奏としては、マールボロ音楽祭40周年アルバムの演奏が(音質は悪いが)挙げられよう。 5つの管弦楽曲op.16では、ブーレーズはシェーンベルクの、時に弱音を吐く正直な心情にはキッパリと寄り添わない。ここにあるのは響きとリズムのオブジェだ。色々な演奏を聴いてきたが、高音質で再生したときの、この演奏の「響き」のゴージャスさには正直驚いた。大抵は曇天の空模様のように地味に響く曲なのに…ブーレーズの耳の能力に改めて驚嘆した。これは究極の名演奏の一つだろう。 ナポレオン・ボナパルトへのオードop.41は、これはそもそもシェーンベルクがヒトラーへの怒りを込めて書いた曲なので、あんまり演奏が激しいと聞き疲れする曲なのだ。ブーレーズの、感情の過度な表出を抑え、怒りよりは皮肉を前面に出した解釈は、変化球なのかもしれないが、聞き疲れし易いこの曲を見事に手懐けていると言えようか。 色々書いたが、3曲いずれも、シェーンベルクの全てを表現したものではないとしても、徹底したアプローチが成功した名演奏と思う。

伊奈八 さん | 茨城県 | 不明

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