ブリージング・レッスン 文春文庫

アン・タイラー

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167218478
ISBN 10 : 416721847X
フォーマット
出版社
発行年月
1998年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
458p;15

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    1989年ピューリッツアー賞受賞作。ボルティモアに住むアイラ(50歳)とマギー(48歳)夫妻が、ある日(二人に共通の友人の葬儀の日)ペンシルベニア州の田舎町に出かけた一日(回想をふんだんに含む)の、ある意味ではきわめて日常的な光景を淡々と描いた小説。葬儀の式場で彼らは高校の同窓生たちと集い、それぞれに齢をとったことを知るなど、小説は徹頭徹尾、彼ら中年男女の失われた日々を描いてゆく。彼らの息子ジェシー、娘のデイジー、そして孫のルロイ。これはアメリカの理想の家族像でもあり、その崩壊の予兆でもあるのだろう。

  • ミカママ さん

    【原書】彼女の作品は『歳月のはしご』についで2作目。アラフィフの夫婦が、友人のお葬式に参列するため、1時間ほどもかけて州外へロードトリップをすることに始まる。そこで諦めかけていた、息子の別れた嫁と孫娘を連れ帰ることに成功し・・・。感動的な!できすぎな!と思うでしょ?そこはタイラー女史なんだな。アメリカにおける「家族」に対する皮肉な見方を捨てていない。中高年の夫婦にだって、ときめいてた時代はあったわけだし、認めたくはないが、ダメな息子はダメ。それでも人生は続いていくのだ。余韻の残る、すばらしい作品だった。

  • まふ さん

    「自己中の空回り善意妻」マギーの行状記。これに配する夫はアイラのごとく忍耐強く優しい男でなければならない。まるまる1冊がマギーの思い込み的善意行動に引っ張られ、田辺聖子の世界を髣髴とさせるが、こちらの方がやや薄味かも知れない。すべてを理解した上でつっけんどんに突放しつつマギーを教導(?)するアイラの「人間力」と深い「愛」を高く評価したい。また、些細な話題を集めて一冊分を物語化しピュリッツァ賞を受賞した作者の「力量」に敬意を表する。G516/1000。

  • 白玉あずき さん

    マギーは「愛したい愛されたい症候群」か、または究極の自己中。自分を客観視できない物語世界の住人。それに対して夫のアイラは忍耐と受容の人。極端な造形で読ませる人間模様。面白いです。家庭が空の巣になろうとも、これからも人生はどんどん厳しさ、寂しさを増しながら続いていく。「ゲームは佳境に入っていた。どんな数字も自在に動かせるかに見える初期の段階を過ぎ、選択の余地が狭まり、的確な判断がものをいう段階になっていた。ここが腕の見せどころだ。」どなた様も頑張れ。やはりこの作品は人生の応援歌だね。

  • ヘラジカ さん

    序盤はマギーの行動や性格にイライラさせられはしたが、コミカルな展開を喜劇として単純に楽しむことが出来た。しかし物語(旅)の終着点が見え始める頃には、じわじわと焦燥感が滲みはじめ『アクシデンタル・ツーリスト』終盤の「どうなるのだろう?」というハラハラ感も再び味わうことになった。そして不安の的中してしまう結末。最後の一文を読み終えた途端、これまでの騒々しいコメディとは真逆の、切なさと空虚感の混じりあった苦さを噛み締めていた。

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人物・団体紹介

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アン・タイラー

1941年、米国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。1983年に『ここがホームシック・レストラン』でピュリッツァー賞(小説部門)とPEN/フォークナー賞の最終候補に。1985年には『アクシデンタル・ツーリスト』で全米批評家協会賞を受賞、『ブリージング・レッスン』で1989年のピュリッツァー賞を受賞した。2

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