アントニオ タブッキ

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いつも手遅れ

アントニオ タブッキ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309206325
ISBN 10 : 4309206328
フォーマット
出版社
発行年月
2013年09月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
281p;20

内容詳細

人が時間に遅れるのか。
時間が人を追い越すのか。


ありえたかもしれないこと、後悔、恋慕、痛ましい家族の思い出……。
人生の時間に限りが見えたとき、人は何を願うのか。
現代イタリア文学の巨匠が18通の手紙の形で精緻に綴った短篇集。


無に向かって広がる声の万華鏡。
読めば読むほどふかみにはまる。
タブッキに惚れたってことよ。----小池昌代(詩人)


こうして小説になったこれらの手紙の性質は
どんなものか話せと言われたら、
恋文だと規定してみせるかもしれない。
それは相当広い意味において、
つまり広大な愛の領域と同じくらい広くて、
怨恨、憤慨、郷愁、後悔といった、
愛の領域とは無縁に見える未知の領域にまで広がっている。----A・T「あとがき」より


アントニオ・タブッキ
1943年イタリア生まれ。現代イタリアを代表する作家。主な作品に『インド夜想曲』『遠い水平線』『レクイエム』『逆さまゲーム』(以上、白水社)、『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)など。2012年没。


和田忠彦 [訳]
1952年生まれ。東京外国語大学教授。著書に『声、意味ではなく----私の翻訳論』(平凡社)など。主な訳書に、A・タブッキ『時は老いをいそぐ』(河出書房新社)、U・エーコ『小説の森散策』(岩波文庫)など。




【著者紹介】
アントニオ・タブッキ : 1943‐2012。1943年イタリア・ピサ生まれ。イタリア語・ポルトガル語で小説や戯曲を執筆。75年、長篇『イタリア広場』でデビュー

和田忠彦 : 1952年生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻はイタリア近現代文学・文化芸術論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    タブッキの残した小説の中では、おそらく最も長い作品だろう。小説は18のそれぞれ独立した書簡からなるので、短篇の集積と言えなくもないが、これはやはり1つの長編小説として読まれるべきものだろう。そして、タブッキの作品群の中で最も難解なのも、この小説だ。書簡はいずれもが「失われた時」を語る。しかも、それはきわめて身勝手な語りであり、読者との共感を拒んでさえいるかのようだ。最後の女からの書簡が、一気に小説世界を統合するが、それとても失われた墓碑のカケラを拾い集めるに過ぎない。そこはかとない「あはれ」だけが残る。

  • ケイ さん

    タブツキは、こんなにわかりにくい文章を書く人だったかしら。訳もわかりにくいのかもしれない。記憶と喪失に関する短編集とも言えると思うが、喪失の痛みのようなものをなかなか汲み取ることができなかった。時間ができたら、フランス語、または英語で読んでみたい。

  • えりか さん

    「いとしい君」へ、過去の後悔や過ちを、もう過ぎ去った愛を、もう失われた愛を、それでもまだここにある愛を綴る。その書簡は一人よがりで、際限なく思考が広がり続ける。虚しく響く。それは切なさや悲しさでいっぱいだ。そして大切な記憶でいっぱいだ。だからクラクラと酔う。心のどっかがズキンと痛んで張り裂けそうだ。これはきっと君へ届けられることはない。君はきっと読むことはない。君を想う時、いつだってもう過去になってしまうのだ。全てはいつも手遅れだ。だけど、だから君との記憶は永遠というのかもしれない。

  • 長谷川透 さん

    書く、届く、読む、返事をする。手紙のやり取りには深い絆と親密さが窺い知れる。しかし一方、時間と空間の断絶をも孕んでいる。そして手紙が途絶えてしまった時、それらの残酷性が突如浮き彫りになる。『いつも手遅れ』に収められた書簡の形で記される小説は全て、断絶の生まれた後のものだ。確かに時の流れはタブッキが暗喩として用いた血のようである。血は生命を生かす駆動力には違いないが、普段我々は体内を流れる血液の事など気にはしてはいない。ところが何かの途端に血液が体外に露わになると、おぞましい存在として血を捉えるのである。

  • 夏 さん

    タブッキの18の書簡集。あとがきでタブッキはこの小説を書簡体小説だと述べているが、訳者の和田忠彦さんが言うように、従来の書簡体小説とはだいぶ形式が違っている。だがタブッキが書簡体小説のつもりでこの小説を書いたのなら、わたしはこれを書簡体小説だと思うことにする。一つ一つの書簡は短くて読みやすい。タブッキらしく哲学的なものもあるが、それも含めてとてもおもしろかった。やはりタブッキが好きだと思わせてくれる一冊になった。星4.5。

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