ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく

かげはら史帆

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784760150236
ISBN 10 : 4760150234
フォーマット
出版社
発行年月
2018年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
319p;19

内容詳細

犯人は、誰よりもベートーヴェンに忠義を尽くした男だった―。音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」の全貌に迫る歴史ノンフィクション。

目次 : 序曲 発覚/ 第1幕 現実(世界のどこにでもある片田舎/ 会議は踊る、されど捕まる/ 虫けらはフロイデを歌えるか ほか)/ 間奏曲 そして本当に盗人になった/ 第2幕 嘘(騙るに堕ちる/ プロデューサーズ・バトル/ 嘘vs嘘の抗争 ほか)/ 終曲 未来

【著者紹介】
かげはら史帆 : 1982年、東京郊外生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。音楽関連企業に勤めるかたわら、音楽家に関する小説や随筆を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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楽聖ベートーヴェンの最後の秘書のひとり、...

投稿日:2021/03/21 (日)

楽聖ベートーヴェンの最後の秘書のひとり、アントン・シンドラーの伝記と周辺の事情を事細かに描いた一冊です。音楽家の夢破れた大学生からなんとかベートーヴェンの懐に潜り込んで、見事に何か歪んだ天才崇拝者になった人物ですが、悲しいかな当のベートーヴェンからはあまりの出しゃばりに困惑して盲腸野郎と陰でいわれたほどでした。そんな彼は尊敬する師の死後にあらゆる捏造、たとえばホントは出会ってもなかった時期の会話帳に自分を登場させ、ベートーヴェンからやさしい言葉をかけてもらったようにみせかけたりといった文書改ざんに手を染めました。それが色々あってバレてこの本が書かれたのですが、捏造に至る心理を繊細に描写するため、あえて文学的なアプローチとなっている感じで非常に読みやすいです。元が学位論文とは思えない仕上がりです。他レビュアーともいわれる通り文体が軽すぎるところはありますが、クラシックに関する本は重厚なスタイルでなければいけない決まりもないので私はこれも良いと思います。

ニグンノテイオー さん | 沖縄県 | 不明

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面白いのは面白いけど、好みは分かれるかも...

投稿日:2018/12/24 (月)

面白いのは面白いけど、好みは分かれるかもしれない。 本書は、ベートーヴェンの「会話帳」―聴覚を失ったベートーヴェンがコミュニケーションを取るために使っていた筆談用のノート―の捏造を行ったとされるベートーヴェンの秘書、アントン・フェリックス・シンドラーの生涯、その捏造などをひもとき、シンドラーが捏造に手を染めた心理に迫ったもの。 微妙なのは、「会話帳」をSNSにたとえたりすることも含め、当時の事象を現代の事象に置き換えようとしているところ。読みやすい反面。軽く感じてしまう。 捏造や贋作制作などの心理は、当事者以外では計り知れない部分があるものの、本書が示したものはシンドラーの心に迫っている気がする。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 修一郎 さん

    「運命」が他人の後付けネーミングだなんて初めて知った。都合の良い「楽聖」ベートーヴェンを創りあげるため,虚実切り貼りして一生かけて伝記を書いた男の物語。ノンフィクションと思って読み始めたので,シンドラーや彼の敵たちの語り口に戸惑ったけども,本書は筆者の修士論文を基に小説仕立てに編集しなおしたものだそう。史料では再現できないシンドラーの心情がたっぷりと描かれていて,疎まれながらも愛憎こもごもでベートヴェンに仕え続けたシンドラーが表現されていてめっぽう面白かった。さすが宮部みゆきさんお勧めの「徹夜本」でした。

  • trazom さん

    シンドラーによるベートーヴェン伝の胡散臭さは有名である。特に、1977年の国際ベートーヴェン学会で、会話帳の改竄が公表されたのは衝撃的だった。この本は、シンドラーが、どんな心理で、どんな行為を行ってきたのかを推理して書かれたフィクションである。歴史的事実を丁寧に下敷きにしているから、著者の説明には、極めて高い説得力と納得感がある。数々の改竄や嘘にも拘らず、結果的に、シンドラーは、不朽のベートーヴェン伝説を生み出した「名プロデューサー」だったことになるのか…本の副題は意味深である。抜群に面白い一冊だ!

  • マエダ さん

    1オンスの史実は1ポンドの美辞麗句に匹敵する ベートーヴェンを伝記で世に広めたのは1ポンドの美辞麗句の使い手シンドラー。盛ることの怖さを感じる中、必要性も感じてしまう。

  • 星落秋風五丈原 さん

    生きている間も死んでからもベートーヴェンは受難の人である。その一端は『偉人は死ぬのも楽じゃない』に描かれた死の瞬間でも窺い知れる。また、小説『モーツァルトは子守唄を歌わない』のエピローグでは、頭蓋骨を盗もうとする輩が現れた件が紹介されている。本書はオペラのように章タイトルが冠されている。表紙装丁にも工夫が凝らされている。ベートーヴェンとシントラ―の間にはうっすらと亀裂が入っており、裏側ではとある人物が炎上している。これは何を意味するのか。有名なエピソードが、実はねつ造されたものという疑いが浮上した。

  • breguet4194q さん

    後世の人々は「事実」を知りたがるが、シンドラーの認識は、仕えたベートーヴェンを「神格化」することがすべて。余計なよもやま話は世間に知られなくていいという考え。個人的には、手帳を改竄したり処分してしまった事への憤りはあるものの、自分の大切な人を神格化したい気持ちはわかる。結果的に、後世の人々は、その様な事実を認識した上で、ベートーヴェンとその音楽を堪能するしかない。読み物としては、今まで誰も気に留めてなかった視点が面白かったです。

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かげはら史帆

1982年、東京郊外生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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