ノモンハン 責任なき戦い 講談社現代新書

田中雄一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065168578
ISBN 10 : 4065168570
フォーマット
出版社
発行年月
2019年08月
日本
追加情報
:
248p;18

内容詳細

真珠湾攻撃、太平洋戦争開戦の2年前の1939年、満州国とソビエト連邦の国境地帯で発生した「ノモンハン事件」。
見渡す限りの草原地帯で、関東軍とソビエト軍が大規模な軍事衝突に発展、双方あわせて4万5000人以上の犠牲を出した。
関東軍を率いたのは、弱冠37歳の青年参謀・辻政信と、その上司・服部卓四郎。
大本営や昭和天皇が無謀な挑発を厳しく戒めるのをよそに、「寄らば斬る」と大見得を切った辻によって、日本軍は想定外の「戦争」へと突入していった――。
事件から80年、いまも装甲車や塹壕が放置され、人骨が散在するノモンハンの現場を徹底調査、さらにアメリカに残る旧軍人らのインタビューテープを発掘して、事件の深層を立体的に浮かび上がらせた同名番組を書籍化。

[目次]
第一章 関東軍vs.スターリン
泣く子も黙る/関東軍「鉄」の名を持つ男/目算違い/スターリンとゲンデン
第二章 参謀・辻政信
絶対悪か天才参謀か/「寄らば斬るぞ」の威厳/全面衝突へのカウントダウン/即席師団と旧式銃/越境爆撃/大権干犯/「俯仰天地に愧(は)じず」
第三章 悲劇の戦場
名将・ジューコフ登場/不気味な静けさ/黒い水/夜襲突撃/物量が違いすぎる/なぜ引き返せなかったのか/招集された未訓練兵/情報戦/全滅か、撤退か
第四章 責任なき戦い
二つに一つ/惨憺たる、膨大な山のような死体/陸軍の粛清人事/悲劇の銃声/「自決勧告」/捕虜となった者たちの戦後
第五章 失敗の本質
失敗の序曲/「極秘」の調査報告書/参謀・瀬島龍三の証言/陸軍内にあった「派閥」/”餓島”ガタルカナル
第六章 遺された者たち
「実にすまんことをした」/井置大佐からの手紙/「戦死」でなく、ただ「死んだ」/辻政信とその家族の戦後/語り継ぎ、問いつづける
あとがき いま戦争を語るということ


著:田中 雄一(タナカ ユウイチ)
1979年生まれ、大阪府出身。2005年、ディレクターとしてNHK入局。釧路放送局、報道局社会番組部、国際番組部、大型企画開発センターを経て、2018年から大阪放送局報道部所属。NHKスペシャル「北方領土 解決の道はあるのか」、ウクライナ紛争をテーマにした「そしてテレビは”戦争”を煽った」など、ロシア関連の番組を多数制作。
2017年よりNHKスペシャル「731部隊の真実」「樺太地上戦」など戦争関連の番組にも携わる。とくに731部隊の取材ではロシアに残されたハバロフスク裁判の音声記録を独自に発掘、入手した。

【著者紹介】
田中雄一 : 1979年生まれ、大阪府出身。2005年、ディレクターとしてNHK入局。釧路放送局、報道局社会番組部、国際番組部、大型企画開発センターを経て、2018年から大阪放送局報道部所属。NHKスペシャル「北方領土 解決の道はあるのか」、ウクライナ紛争をテーマにした「そしてテレビは“戦争”を煽った」など、ロシア関連の番組を多数制作。2017年よりNHKスペシャル「731部隊の真実」「樺太地上戦」など戦争関連の番組にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

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日本史でサラリと習うだけでは理解できない...

投稿日:2021/06/12 (土)

日本史でサラリと習うだけでは理解できない、この事件(戦争)の本当の意味をこの本は教えてくれます。

pin さん | 埼玉県 | 不明

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ノモンハンは第二次世界大戦日本軍大敗北の...

投稿日:2021/04/25 (日)

ノモンハンは第二次世界大戦日本軍大敗北の序曲が、ここにある。作戦の神様、陸軍きっての秀才といわれた参謀 辻政信に率いられた関東軍はなぜソ連・モンゴル軍に大敗したのか。上層部は責任を取ることなく、しわ寄せが下へ下へとむかっていく構図は今も変わらない。

西口まる さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • えちぜんや よーた さん

    「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生も一兵卒として南方戦線に出征した。曰く「参謀はすぐ逃げる」。この本を読むと下士官兵に多数の戦死者を出したわりには、机上で戦術を立てるだけの参謀は確かによく生き残っていたと思う(もちろん戦死したら良かったのにとは言わない)。生き残った人も人ごとの話をしているようで、2019年の言い方で生き残った参謀や師団長クラスの高級将校を表現するとまさしく「50G」な人たちだ。ただ辻政信少佐(当時)はどのように評価すれば良いのか分からない。

  • skunk_c さん

    丁度80周年のこの時期に、テレビ番組とリンクしたノモンハンものが出た。先のソ連の戦略を念頭に置いて読んだ。戦いそのものについてはコンパクトで分かりやすく、モンゴルの衛星国化、戻った元捕虜の扱い、孤立する中撤退した指揮官が自決に追い込まれた件など、先行業績を上手く取り込んでいる印象。最大の特徴は、辻政信について、遺族への取材を通して、再評価を試みたこと。ここから見えるのは、辻に責任をなすりつける構造で、これは旧軍というより、メディア自体の問題に思えた。タイトルの「責任なき」はそこに通じる。

  • 樋口佳之 さん

    前著からの流れで積ん読解消。/辻は対米開戦を所与の前提として議論を進め、若手参謀が異論を唱えると、「偉大な迫力」によって圧倒していった。服部も辻の議論を支持し、作戦課は対米開戦一色/辻はこう付け加えたという。「日本軍が必勝の信念を抱いて作戦すれば、必ずや勝利はわが手に帰する。わが輩は貴様に忠告する、勝算の有無を問題にする前に、まず必勝の信念を抱けとな……それが武人たる者の心がけだ」/辻服部両氏、一度は更迭されているのに…。ノモンハン総括も日の目を見る事無く。十分合理性を重んじる組織とは言えないだろう。

  • Toska さん

    2018年に放映されたNHKスペシャルが下敷き。内容的にさほどの新味は感じないが、存命のノモンハン参戦者や遺族の証言はこの手の媒体ならではと思う。とりわけ辻政信の出身地や遺族への取材。彼のように悪評のみ高い人物でも身近な人々には全く別の顔を見せている可能性のあること、一方で歴史的評価はそうした「人間的側面」とは別次元の問題であることがよく分かる。あと、大本営の参謀が「辻の首さえ切ってしまえば関東軍は統制できる」と発言していたのが何とも。少佐の人事が国策を左右するってんだから、もう無茶苦茶だよな。

  • 藤瀬こうたろー さん

    軽々しく感想を書くことはできないと思ってしまうほど重苦しいドキュメントです。本書は太平洋戦争の前段で行われたノモンハン事件を描いた作品ですが、敵の過少評価、物資等補給の軽視、極端な精神主義や兵器の近代化の軽視と太平洋戦争での敗因が全部揃っています。そして、軍の上層部の責任逃れと下士官への責任の押し付けは現代にも通ずるところがあり、もはや日本人の負の部分と言ってもいいのでは?諸悪の根源みたいに言われている辻政信の人間味の部分にも光を当てたのは良かったですが、絶対悪とは言わないまでも責任は免れないでしょうね。

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