軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い

松本創

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784492223802
ISBN 10 : 4492223800
フォーマット
出版社
発行年月
2018年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
松本創 ,  
追加情報
:
365p;20

内容詳細

第1回「Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」ノミネート!
『朝日新聞』『日本経済新聞』『北海道新聞』『河北新報』『週刊新潮』『週刊現代』『HONZ』等で書評掲載。

真山 仁氏推薦!
「『遺族の責務』を探し続けた男が挑む不条理
闘う遺族を静かに寄り添うジャーナリストが辿り着いた
日本社会の欺瞞と脆弱」

「責任追及は横に置く。一緒にやらないか」
遺族と加害企業の社長。
相反する立場の2人は巨大組織を変えるためにどう闘ったのか。
あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。

私は、この事故を淺野弥三一という一人の遺族の側から見つめてきた。
彼の発言や行動は、これまで私が取材や報道を通して見聞きしてきた事故や災害の遺族とは何かが決定的に違っていた。
淺野の視点と方法論は独特で、語る言葉は時に難解で、JR西に対する姿勢は鋭く峻烈でありながら、柔軟で融和的に見えるところもあった。(「プロローグ」より)


<本書の内容>
乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。
妻と実妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一は、なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのかを繰り返し問うてきた。
事故調報告が結論付けた「運転士のブレーキ遅れ」「日勤教育」「ATS-Pの未設置」等は事故の原因ではなく、結果だ。
国鉄民営化から18年間の経営手法と、それによって形成された組織の欠陥が招いた必然だった。

「組織事故」を確信した淺野は、JR西日本自身による原因究明と説明、そして、組織と安全体制の変革を求める。
そのために遺族感情も責任追及も封印し、遺族と加害企業による異例の共同検証を持ち掛けた。

淺野の思いに呼応し、組織改革に動いた人物がいた。事故後、子会社から呼び戻され、初の技術屋社長となった山崎正夫。
3年半でトップを退くが、その孤独な闘いは、JR西日本という巨大組織を、長年の宿痾からの脱却へと向かわせた。
それは、「天皇」井手正敬の独裁に依存しきった組織風土、さらには、国鉄改革の成功体験との決別だった。

淺野と山崎。
遺族と加害企業のトップという関係ながら、同世代の技術屋ゆえに通じ合った2人を軸に、
巨大組織を変えた闘い、鉄道の安全を確立する闘いの「軌道」を描く。
そこから見えてきたのは、二つの戦後史の「軌道」だった──。

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読書メーターレビュー

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  • 鉄之助 さん

    福知山線・脱線事故の遺族の目から「巨大組織の迷走とその背後にある問題」をえぐった、意欲作。取材対象に選んだ人が、最適の一人だった。阪神大震災で復興へのコンサルタントとして、住民を支える側にいた淺野弥三一(やさかず)さん。一転して、この事故で被害の当事者となった。JR西日本の企業体質に迫っていく様子が、実に興味深かった。「誠心誠意の個別対応」というJRの建前から遺族の分断を図って、早期の補償交渉をまとめようとした大企業に対し、遺族の団結を呼びかけた。元・神戸新聞の記者だった著者のきめ細かい取材に好感。

  • 遥かなる想い さん

    第41回(2019年)講談社ノンフィクション賞。 2005年4月25日に 起こったJR 福知山線脱線事故を追った作品である。事故で 妻と娘を失った浅野と JR 西日本を軸に 闘いが描かれるが…あまり知られていない JR西日本という巨大組織の内情が興味深い。 企業風土の大切さを 改めて 問う…そんな印象の作品だった。

  • honyomuhito さん

    2005年に起きた福知山線脱線事故は衝撃的だった。甚大な被害を生んだ事故を、被害当事者が客観的に「失敗」と「原因」として分析することを求め、加害者であるJR西との共同作業で解明していくのを描いたノンフィクション。運命論者ではないつもりだが、こんな偶然があるものだろうかと宿命のようなものを感じてしまった。しかしこれは奇跡などではない。それでも強い強い淺野氏の覚悟と真実を追及する姿勢だけは比類なき物だと思う。これは読むべき本だった。https://chirakattahondana.com/軌道/

  • Willie the Wildcat さん

    背負うものを、一旦横に置いた時に垣間見ることができる人間性。淺野氏の信念と、その信念が山崎氏/坂田氏を突き動かして辿り着く”私人/企業人”の2つの軌道の交差という感。但し、「2人の自分」を抱える淺野氏の心痛は計り知れない。ここにも、”遺族/技術者”の2つの軌道の交差という感。一方、(誤解を恐れず言えば)井出氏の『経験工学』の件には、少なからず不快感。Lessons Learnedを如何に活かすことができるかは当然のことではあるが、その代償が人の命であるのは論外ではなかろうか。

  • きみたけ さん

    乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。妻と妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一氏を追いかけたドキュメント。なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのか。「組織事故」を確信しJR西日本自身による原因究明と説明、そして組織と安全体制の変革を求めます。遺族感情も責任追及も封印し、遺族と加害企業による異例の共同検証を持ち掛けていきます。 もし自分が遺族の立場であったら、ここまで毅然と立ち向かえないなと思いました。

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