Live At Tsutenkaku

ケニ・バロンとのセッションで圧倒的な存在感を見せつけ、日本人出身ベース！のナンバーワンに躍り出た北川潔。NYでの活躍が日本人サ−クルとは異なる場所で行われていることがそれを如実に表わしている。ケニーさえ威嚇する北川のプロ魂が伝わる硬派な演奏もある！！

Kiyoshi Kitagawa (b), Kenny Barron (p), Brian Blade (ds)
Filmed. live at "TSUTENKAKU" in Osaka, Japan Dec 2nd, 2005

北川潔の音楽がこんなにも魂の懐に触れてくるのは何故なのだろう。彼のBASSから紡ぎ出される音は、
まるで私達の持つ様々な感情そのままに、激しく、優しく、妖しく、切なく、熱く、哀しく、とても豊か
な表情を見せる。時には漆黒の闇だったり、鋭い狂気の切っ先だったり。それでもなお、凛として際立つ
美しさ。過剰な自己主張を排除し、ストイックなまでに己を律し続け、JAZZに対して敬虔な姿勢と、限り
なく深い愛情を捧げて創造してきた彼の音楽は、一点の曇りもなく堂々として揺るぎない。その確信に満
ちた演奏に見る、創造と破壊のマグマのようなエネルギーの凄まじさと、対をなす妖艶ともいえる刹那の
色香。多くの素晴らしいアーティストたちが彼と共演する時に見せる喜びの表情の由縁は、そこにこそあ
るのではないだろうか。北川潔のBASSは時として温もりのある人の声に聞こえる。歌っているのだと思う。
彼の魂が。突き抜けて到達した一握りの人にのみ与えられる至高の音楽。その真実を目の当たりに見るこ
との出来る、この素晴らしい映像作品によって、彼の音楽はきっと更なる多くの人々の、魂の懐深くに触
れるに違いない。余談ながら彼が選んだ楽器、BASSの持つ底知れぬ魅力について、二十数年前初めて彼が

書いたサインの横にはこう記されている。
「Bass is Beautiful！.. 」Text by 　鈴木優子