ピアノ作品全集　ポンティ（６ＣＤ）

ラフマニノフ：ピアノ作品全集（６ＣＤ）
マイケル・ポンティ

マニアには有名なピアノの名手、マイケル・ポンティ（ミヒャエル・ポンティ）の代表作としてよく取り沙汰されるのが、スクリャービン、チャイコフスキー、ラフマニノフのピアノ曲全集で、それらは一連のマニアックなピアノ協奏曲録音と並んでポンティの名をレコード史に刻みつける訴求力をみせるものでした。
　これらのうち、ラフマニノフについてはなぜか全集がCD化されていなかったため、今回、Musical Conceptsレーベルから、全集ボックスがライセンス発売されるのは朗報です。

　マイケル・ポンティは、1937年にドイツのフライブルクでアメリカ人の両親のもとに生まれ、子供の頃に渡米、ワシントンでゴドフスキーの弟子だったギルモア・マクドナルドに教えを受けたのちにドイツに戻り、フランクフルトでエミール・フォン・ザウアーの弟子だったエリック・フリンシュに師事。その後、1964年にはブゾーニ国際コンクールで優勝して一躍有名になり、サヴァリッシュ指揮ウィーン交響楽団との共演によるバルトークのピアノ協奏曲第２番でウィーン・デビューを華々しく飾ったほか、1972年にはニューヨーク・デビューで大きな成功を収めてもいます。
　マイケル・ポンティの名をレコード・ファンに有名にしたのは、アメリカのレーベル、「ヴォックス（VOX）」におこなった一連のレコーディングで、知られざるレパートリーを中心に、８０を超えるアルバムを制作していました。
　その後、ミュンヘンを拠点にソロや室内楽の活動をおこなっていたポンティですが、1990年代後半には右手の故障により、公的な演奏活動からは身を引き現在に至っています。

　今回のラフマニノフ全集は、意外に少ないラフマニノフのピアノ作品のまとまった録音として便利なだけでなく、ポンティ全盛期の活きの良い演奏をお買得価格で楽しめる内容となっているのが大きなポイント。レーベルがレーベルだけに、少々荒っぽいところもありますが、迷いなく勢いのある演奏を聴かせるポンティの芸風はやはり魅力的。併録された４手作品ではドイツのピアニスト、ロベルト・レオナルディ[1940- ]が相方を務めています。（ＨＭＶ）

【収録情報】
CD1:
ラフマニノフ：
・１０の前奏曲 op.23
・コレッリの主題による変奏曲 op.42
・絵画的練習曲集 op.39

CD2:
・１３の前奏曲 op.32
・幻想的小品集 op.3
・絵画的練習曲集 op.33

CD3:
・４つの小品
・前奏曲　ヘ長調
・幻想的小品　ト短調
・幻想的小品　ニ短調
・サロン小品集 op.10
・３つの夜想曲
・４つの即興曲
・東洋のスケッチ
・セレナード変ロ短調 op.3-5（オリジナル版）
・W.R.のポルカ

CD4:
・楽興の時 op.16（2曲目の改訂版を含む）
・ピアノ・ソナタ第1番ニ短調 op.28
・２つの断片
・メロディ ホ短調 op.3-3（オリジナル版）

CD5:
・ピアノ・ソナタ第２番変ロ短調 op.36
・ショパンの主題による変奏曲 op.22
・６つの小品 op.11(４手による）

CD6:
・組曲第２番 op.17（２台ピアノ）
・組曲第１番 op.5（２台ピアノ）
・ロシア狂詩曲（２台ピアノ）
・ワルツ（６手による）
・ロマンス（６手による）
・ロマンス（４手による）
・イタリア・ポルカ（４手による）

　マイケル・ポンティ（ピアノ）
　ロベルト・レオナルディ（ピアノ：CD5-op.11、CD6）

　録音時期：1971、1976、1977年
　録音方式：ステレオ
　原盤：VOX