CD 輸入盤

Sym, 9, : Rattle / Vpo +r.strauss: Metamorphosen

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
5565802
組み枚数
:
2
レーベル
:
Emi
:
Europe
フォーマット
:
CD

商品説明

ラトル&VPO/マーラー交響曲第9番

演奏の背景
今回のCDは、1993年12月、ラトルがウィーン・フィルにデビューしたときのコンサートの模様を収めたもので、当時38歳のラトルの意気込みがよく伝わる演奏内容となっているのがポイントです。また、この盤の価値を高める重要なファクターとして、使用された音源が、よくある“プローベをつぎはぎ修正した疑似ライヴ”ではなく、本物のライヴ録音からCD化されている点が挙げられます。終演後の拍手はカットされていますが、続いて《メタモルフォーゼン》が始まることを考えれば、この場合は妥当な処理と捉えるべきでしょう。

配置とサウンド
まず耳につくのは、ヴァイオリンが両翼に振り分けられた正統的な配置を採用している点で、オーケストラとはその変更をめぐってひと悶着あったとのことですが、この作品の場合には、どう考えてもそれが正解ではないでしょうか。10番や3番でもそうですが、マーラーの場合、オペラの登場人物さながらに、音響パースペクティヴが常に考慮された楽器法が採用されているため、通常配置ではそうした面白味が判りにくい、伝わりにくいという側面があるからです。
 もちろん、この配置が良いことづくめというわけでは決してありません。アンサンブルが整いにくいという致命的な欠陥ゆえ、現在のモダン楽器オケのほとんどすべてが、この配置を採用していないことは敢えて申し上げるまでもないほど有名な事実なのですから。
 蛇足ながら、こうした正統配置を多少なりとも意識した指揮者としては、古くはクレンペラー、クーベリック、ムラヴィンスキー、現在では、クライバーやマッケラス、ティーレマン、シノーポリ、サロネン、プレトニョフ、スヴェトラーノフ(ロシアの場合、少々事情は異なります)といった人々の名前が挙げられますが、昨今、隆盛を極める時代楽器によるオーケストラでは、そのほとんどで正統配置が採用されています。

もうひとつのポイントとしては、音色・音響の多彩さが挙げられるのですが、要因として、次の2つのことが考えられます。
 (1)15歳で、ブーレーズ作品を指揮してデビューしたラトルは、近代・現代音楽でそのキャリアをスタートし、後年、時代考証派の影響を受けながら、過去の演奏様式への関心を次第に高め、古楽・現代に関係なく、ピリオド(時代)意識を強く持つに至ったということ。結果として、ウィーン・フィルの各楽器のユニークな音響を、個別に裸形で活用するということに繋がっているのが特徴です。
 (2)ラトルが打楽器プレイヤー出身で、マーラーの9番という作品が、3番、6番、7番と並んで打楽器の多彩な効果抜きには考えられないという作風を持っていること。第1楽章と第2楽章に、その成果は特に顕著と言えます。

 要は、戦後様式の本流である、くまなく隙間を埋めてゆくような、“洗練されたモダン楽器サウンド”の追及ではなく、そのスタンスはあくまで、各楽器固有の音色・存在価値に大きく依拠したものであるということで、先般リリースされ話題になった、ラトルの恩師でもあるブーレーズの演奏とは色々な意味で対照的な内容となっているのが印象的です。
 乱暴な言い方をすれば、ブーレーズの連続的・直線的な演奏に対し、ラトルのそれは断続的・曲線的とでも形容したくなる性格を帯びており、同じオケを指揮して、アバド盤とは全く異なる響きを導き出しているのも実に面白いところです。

演奏のポイント
まず、第1楽章では、前述したティンパニへの配慮が、思い切った表情をつくりだすことに成功しており、ライヴゆえの少々の合奏の破綻など全く気にさせない、力のこもったアプローチが見事です。鮮やかに性格づけされた各部分が織り成すブロック的な音楽の面白さは、ソナタ形式としては最大級の規模と複雑さを有するこの楽章に、妙にスタティックな表現に陥って冗長になる愚を避け、明確な表現上のポイントをきちんと示すことに成功しているという点で注目に値します。
 第2楽章では、各声部を顕在化させることによって、この楽章が、第1楽章からの数多い引用素材も交えて成り立っていることが明らかにされているのがユニークです。また、少々、大袈裟に感じられる表情づけや、第368小節のパウゼを6秒もとったりすることで、パロディとしてのレントラーの有りようを見事に表していることが確認されるところなども、やはり特筆されるべきものでしょう。
 第3楽章でも、明確なアクセントと、克明に指示された各声部の入りによって、大胆なルバートも多声的様式と何ら齟齬をきたすことなく効果を発揮しているのが嬉しいところです。
 第4楽章では、弦楽器奏者のセンスの良さもさることながら、ウィンナ・ホルンの雄弁さも大いに注目されます。もちろん、ここでは、ユダヤ的で濃厚な情念は示されてはいませんが、その繊細な美しさ、微妙な色彩の変化はやはり素晴らしいものであり、コーダでは、絶品といえるパースペクティヴの美を堪能させてくれます。

収録曲   

  • 01. Symphony no 9 in D major
  • 02. Metamorphosen for 23 solo Strings, AV 142

総合評価

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4.5

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これはいい!力演です。BPOとの再録音よ...

投稿日:2008/06/23 (月)

これはいい!力演です。BPOとの再録音より遥かにいい。緊張感を帯びたオーケストラ、力強く引っ張ってゆくラトル、見事な成果というべきでしょう。大変感心しました。録音については、どこが悪いとされるのか、私にはさっぱりわかりません。うちのDENONのSACDプレーヤーでは実によい響きでたっぷりと鳴ってくれました。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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以前はここに「素晴らしい」と書いた。好演...

投稿日:2007/03/10 (土)

以前はここに「素晴らしい」と書いた。好演だとは思ったが、若干まとまりすぎだと感じたからだ。しかし、よく聴いてみるうちに、ラトルなりの解釈がはっきりと示されていることに気付いた。人によっては抵抗を覚えるかもしれない大袈裟なテンポの揺らしもあるが、私はそれをいいと思い、かなり感動した。

マーラー教の信者 さん | 石川県 | 不明

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まとまりのよい演奏で、ラトルの解釈も面白...

投稿日:2007/01/21 (日)

まとまりのよい演奏で、ラトルの解釈も面白い。VPOの美音も健在。だが第1楽章のクライマックスで凄みに書けるのが残念(録音のせいか?)。

マーラー教の信者 さん | 石川県 | 不明

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人物・団体紹介

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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