CD 輸入盤

交響曲第7番『夜の歌』 フェルツ&シュトゥットガルト・フィル

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
CD21041
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Germany
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

1971年ベルリン生まれのガブリエル・フェルツ。シュトゥットガルト・フィルとマーラーの交響曲全集録音が企画されているらしく、このディスクはその第一弾らしい。
 この交響曲第7番は、わたしにとって、マーラーの最高傑作であり、そればかりか、すべての交響曲のなかでもっとも繰り返し聴いた作品の一つである。そのわたしでさえ、こんな異様な演奏はまだ聴いたことがなかった。この、ここまでやるか、という心意気は評価云々を超して、まさに爽快そのものなのである。
 とにかく、主題間の落差が激しい。やたらにゴツゴツとリズムを立てたと思えば、流麗に歌ったり、あのシノーポリもビックリの分裂症演奏を繰り広げる。 一楽章フィナーレ直前のテンポの急激な交代には、冷静沈着なさすがのわたしも眩暈を覚えた。
オーケストラは決して一流ではないが、若い指揮者の荒い鼻息にかき立てられたように、熱い演奏を繰り広げる。こういう才能が出てくるドイツって、なんだかんだいっても、うらやましい。
 圧巻は第5楽章にあった。六度目に登場する主題(360小節)が金管合奏によって壮麗に鳴らされたあと、フェルツはたっぷりとしたゲネラル・パウゼをそこに置く。そのあとに挿入句の展開が行われる部分が行進曲のようにキビキビと鳴らされる。このゲネラル・パウゼを挟んだ二つの音楽の違いを思い切って強調しようという魂胆だ。その違いは、まさに聖と俗。厳かな教会から喧騒の市場へ抜け出たような。フェルツのマーラーは、多くの演奏が簡単に流している部分に、鋭い光を当ててくれる。音楽的には、かなり滑稽ではあるのだけれど。
 ライナーノーツには、指揮者自身が譜例まで持ち出して、言い分けがましく自らの解釈を披露している(日本語訳付き) 。こんなものは読むまでもなく、これは立派なヘンタイ演奏である。しかも、随所で機知に富みまくった。(鈴木淳史


鬼才フェルツのマーラー:『夜の歌』
フェルツ自身の解説(日本語訳付)

ティーレマンより重厚、アーノンクールよりも過激!
ドイツの鬼才ガブリエル・フェルツの最新盤。1971年ベルリン生れ。ベルリン・ハンス・アイスラー高等音楽院に学び、リューベック、ブレーメンの歌劇場で研鑽を積み、2001年には名門アルテンブルク・ゲラ歌劇場の音楽監督に就任、さらに2005年にはシュトウットガルト・フィルの音楽監督も兼任。劇場出身の叩き上げドイツ人指揮者として注目を集めております。本領はもちろんオペラですが、DREYER-GAIDOレーベルの管弦楽曲を聴けば、驚くべき、そして恐るべき超個性的指揮者であることがわかります。
 『60年代初頭からの一般的な”マーラー・ルネッサンス”は、バーンスタインの功績ではない』とライナーノートからして挑発的ですが、演奏も当初予想された異常な遅さ、重苦しさによる演奏ではありません。とはいうもの腰の重さは相当なものです。ぬかるみを荷車引くような感じもあったり、時としてリズム感抜群にぐいぐい引張ると言った具合で、解説では譜例を挙げてその裏づけを行っているものの、文章の最後では、『解釈と言うものは常に主観的』と開き直る大物振りにも脱帽です。しかもマーラー全集をこのコンビで2,3年中に完成するという意気込みです。大体『夜の歌』を第1弾にするという事実こそ只者ではない証ではないでしょうか。(ミューズ)

・マーラー:交響曲第7番ホ短調『夜の歌』
 T. 21:47、U. 15:06、V. 11:09、W. 13:47、X. 17:38

 シュトゥットガルト・フィルハーモニー
 ガブリエル・フェルツ(指揮)
 録音時期:2007年4月23,24日(ライヴ、デジタル)
 録音場所:シュトゥットガルト、リーダーハレ

収録曲   

  • 01. Mahler: Symphony No.7“The Song of the Night”: Langsam – Allegro risoluto, ma non troppo 21:47
  • 02. Nachtmusik (I): Allegro moderato. Molto moderato (Andante) 15:06
  • 03. Scherzo: Schattenhaft. Fließend aber nicht schnell - The German marking means Shadowy. Flowing but not fast; 11:09
  • 04. Nachtmusik (II): Andante amoroso 13:47
  • 05. Rondo-Finale 17:38

ユーザーレビュー

総合評価

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さすがに情熱や勢いでは押しきれない曲です...

投稿日:2010/12/28 (火)

さすがに情熱や勢いでは押しきれない曲ですので、6番ほどの成果はないかな、というのが印象。ま、フェルツさん自身、7番を勢いで乗り切ろうとはしていないのも事実ですけどね。その分、妙に屈折した表情付けが頻発し、かえって「苦労している」感が出てきてしまったのは、皮肉と言うべきですかな。オケも、有名オケではない割にとてもよく演奏しているのですけれど、若干ミスが目立つかな(でも総じて立派ですよ)。ケーゲルさんの所でも書いたのですが、この曲はとにかくのめりこんで荒れたり歌ったりするとむしろとたんに魅力的になる不思議な曲。小細工しなくてもねえ〜、というのが偽らざるところ。でも、一聴はお薦めしておきましょう。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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 些か才能を持余し気味の様に聞こえますが...

投稿日:2010/05/23 (日)

 些か才能を持余し気味の様に聞こえますが、音楽で有興趣。然しのめり込むという所までは行かないので、私は四星。― Luisi が好。Luisi の一,二,三,四楽章と、Feltz の四,五楽章が頗る良い。と、思いました。御両所の再録音、再発売を期待。

四郎右衛門 さん | 大阪府 | 不明

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指揮者の自筆ライナーノートでは、終楽章は...

投稿日:2009/05/19 (火)

指揮者の自筆ライナーノートでは、終楽章はパロディだというアドルノの説に反対して、直球勝負を公言しているが、各楽節ごとの対比を大きくとったこの演奏は、結果としてパロディにしか聞こえないのは実に皮肉。ライナー冒頭で挑戦的な言葉を投げつけているバーンスタインにこそむしろ近い指揮者の資質が随所で聞き取れるのも、また皮肉。第一楽章末尾の急加速+減速はバーンスタイン以上だけど。結局「解釈は常に主観的」てことで、実に面白い。

村井 翔 さん | 愛知県 | 不明

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人物・団体紹介

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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