CD 輸入盤

マーラー・コンプリート・エディション(16CD)

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
6089852
組み枚数
:
16
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


マーラー・コンプリート・エディション(16CD)
EMI制作による交響曲、声楽曲ほかの録音を集めた記念ボックス
「私はこの世に捨てられて」を9種類で聴き較べ!


マーラーの交響曲全集を中心に、歌曲や室内楽まで収めた全集の登場。EMIは今回の全集に力を入れており、価格とヴォリューム感だけでなく、内容も実に面白いものとなっています。
 まず注目されるのは、この全集のためにボストリッジの新録音で歌曲3曲を投入していることと、マーラー歌曲中、最も美しい傑作とされる名曲「私はこの世に捨てられて」を、単独7種類とリュッケルト歌曲集2種類の計9種類の演奏で聴き較べできるというマニアックな企画が盛り込まれている点。
 ついで注目すべきはやはり交響曲全集の豪華な顔ぶれでしょうか。1番:ジュリーニ、2番:クレンペラー、3番:ラトル、4番:ホーレンシュタイン、5番:テンシュテット、6番:バルビローリ、7番:ラトル、8番:テンシュテット、9番:バルビローリ、10番:ラトル、『大地の歌』:クレンペラー、さらに「花の章」はパーヴォ・ヤルヴィといった具合で、マーラー理解を深めるためにもぜひ押さえておきたい有名どころが揃っています。
 声楽曲も豪華です。『嘆きの歌』がラトル、『子供の不思議な角笛』がシュワルツコップ、F=ディースカウ&セル、『さすらう若人の歌』がF=ディースカウ&フルトヴェングラー、『亡き子をしのぶ歌』がフェリアー&ワルター、『リュッケルト歌曲集』がベイカー&バルビローリとハンプソン&リーガーといった感じでさらに初期の歌曲も大量に収録しています。
 クラムシェル・ボックス、各CD紙製ウォレット入り、40ページ・ブックレット、歌詞テキストはディスクに収録。
【収録概要】
  • CD1 嘆きの歌 ラトル、ピアノ四重奏曲
  • CD2 交響曲第1番 ジュリーニ、さすらう若人の歌
  • CD3 交響曲第2番 クレンペラー
  • CD4 交響曲第3番 ラトル、歌曲集
  • CD5 交響曲第3番 ラトル
  • CD6 交響曲第4番 ホーレンシュタイン
  • CD7 交響曲第5番 テンシュテット
  • CD8 交響曲第6番 バルビローリ、亡き子をしのぶ歌、リュッケルト歌曲集
  • CD9 交響曲第6番 バルビローリ
  • CD10 交響曲第7番 ラトル
  • CD11 交響曲第8番 テンシュテット、子供の不思議な角笛
  • CD12 交響曲第8番 テンシュテット
  • CD13 大地の歌 クレンペラー
  • CD14 交響曲第9番 バルビローリ
  • CD15 交響曲第10番 ラトル
  • CD16 リュッケルト歌曲集、私はこの世に捨てられて×7、原光

【収録情報】

【Disc1】

・『嘆きの歌』
 ヘレナ・デーゼ(ソプラノ)
 アルフリーダ・ホジスン(メゾ・ソプラノ)
 ロバート・ティアー(テナー)
 ショーン・リー(バス)
 バーミンガム市交響楽団&合唱団
 サイモン・ラトル(指揮)

 録音時期:1983年10月12,13日、1984年6月24日
 録音場所:バーミンガム、タウン・ホール
 録音方式:デジタル(セッション)

マーラーが10代後半に作詞作曲した本格的デビュー作『嘆きの歌』は、コンクールで不評だった為、のちに大幅な短縮改訂がおこなわれるなど紆余曲折を経ますが、ラトルはここで大規模な初稿を使用し、若きマーラーの天才ぶりを誠実に再現しています。

・ピアノ四重奏曲イ短調(未完成)〜第1楽章
 ドーマス

 録音時期:1988年4月
 録音場所:聖バルナバス教会、ウッドサイド・パーク、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

マーラーが16歳のとき、ウィーン音楽院作曲科の試験に提出するために書かれた未完の作品で唯一の室内楽曲でもあります。演奏のドーマスはイギリスのピアノ四重奏アンサンブルで、ヴァージンやハイペリオン・レーベルに良い演奏を残しています。


【Disc2】

・さすらう若人の歌(全4曲)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 フィルハーモニア管弦楽団
 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

 録音時期:1952年6月24,25日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、ロンドン
 録音方式:モノラル(セッション)

27歳のフィッシャー=ディースカウがフルトヴェングラーの指揮でセッション録音した有名な演奏。

・交響曲第1番ニ長調『巨人』
 シカゴ交響楽団
 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

 録音時期:1971年3月30日
 録音場所:メディナ・テンプル、シカゴ
 録音方式:ステレオ(セッション)

ジュリーニならではのよく歌う演奏で、オーケストラのヴィルトゥオジティを美麗な方向に生かした美しいサウンドも作品にふさわしいものです。


【Disc3】

・交響曲第2番ハ短調『復活』
 エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
 ヒルデ・レッスル=マイダン(メゾ・ソプラノ)
 フィルハーモニア管弦楽団&合唱団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音時期:1961年11月22-24日、1962年3月15、24日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

戦傷の癒えぬ欧州楽壇で『復活』を振りまくって絶賛を博した大指揮者、オットー・クレンペラー。彼がEMIに残したステレオ録音は、すでに名盤として高い世評を獲得しています。演奏は第1楽章冒頭から気迫に満ち、執拗なまでのコントラバスへのこだわりが有無を言わせぬ迫力を生み出す一方、無用な感傷を排しながらも透明な美感がなんともいえず美しい第2主題部はじめ、その表現レンジにはまさに圧倒的と言えるものがあります。しかも、諸要素はあくまで全体の強力かつ堅固な構築美のなかに位置付けられ、通して聴いた際に、あくまでも交響曲としての則を実感させてくれるのが嬉しいところ。『復活』を知り尽くした男、クレンペラーならではの名演奏です。


【Disc4】

・春に
・冬の歌
・緑野の5月の踊り

 イアン・ボストリッジ(テナー)
 アントニオ・パッパーノ(ピアノ)

 録音時期:2010年2月19日
 録音場所:セント・ジュード=オン=ザ=ヒル、ハンプステッド、ロンドン
 録音方式:デジタル(新録音)

・春の朝
 クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
 ジェラルド・ムーア(ピアノ)

 録音時期:1959年5月1、3-5日
 録音場所:アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

・思い出
 カタリーナ・カルネウス(メゾ・ソプラノ)
 ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)

 録音時期:1998年7月7-9日
 録音場所:聖マイケル教会、ハイゲイト、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

・ハンスとグレーテ
 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 アーウィン・ゲイジ(ピアノ)

 録音時期:1979年10月24-26日、1980年3月11-14日
 録音場所:ゲマインデハウス、ベルリン−ツェーレンドルフ
 録音方式:ステレオ(セッション)

・ドン・ファンのセレナード
・ドン・ファンの幻想
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

 録音時期:1978年2月5-10日
 録音場所:ジーメンスヴィラ、ベルリン
 録音方式:ステレオ(セッション)

・いたずらな子をしつけるために
 クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
 ジェラルド・ムーア(ピアノ)

 録音時期:1959年5月1、3-5日
 録音場所:アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

・私は緑の森を楽しく歩いた
 カタリーナ・カルネウス(メゾ・ソプラノ)
 ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)

 録音時期:1998年7月7-9日
 録音場所:聖マイケル教会、ハイゲイト、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

・外へ、外へ
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

 録音時期:1978年2月5-10日
 録音場所:ジーメンスヴィラ、ベルリン
 録音方式:ステレオ(セッション)

・たくましい想像力
 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 アーウィン・ゲイジ(ピアノ)

 録音時期:1979年10月24-26日、1980年3月11-14日
 録音場所:ゲマインデハウス、ベルリン−ツェーレンドルフ
 録音方式:ステレオ(セッション)

・シュトラスブルクの砦に
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

 録音時期:1978年2月5-10日
 録音場所:ジーメンスヴィラ、ベルリン
 録音方式:ステレオ(セッション)

・夏に小鳥はかわり
 カタリーナ・カルネウス(メゾ・ソプラノ)
 ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)

 録音時期:1998年7月7-9日
 録音場所:聖マイケル教会、ハイゲイト、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

・別離と忌避
 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 アーウィン・ゲイジ(ピアノ)

 録音時期:1979年10月24-26日、1980年3月11-14日
 録音場所:ゲマインデハウス、ベルリン−ツェーレンドルフ
 録音方式:ステレオ(セッション)

・もう会えない
 アリス・クート(メゾ・ソプラノ)
 ジュリアス・ドレイク(ピアノ)

 録音時期:2002年12月19-21日
 録音場所:ポットン・ホール、サフォーク
 録音方式:デジタル(セッション)

・うぬぼれ
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ダニエル・バレンボイム(ピアノ)

 録音時期:1978年2月5-10日
 録音場所:ジーメンスヴィラ、ベルリン
 録音方式:ステレオ(セッション)


【Disc4-18〜CD5-1】

・交響曲第3番 ニ短調
 ビルギット・レンメルト(コントラルト)
 バーミンガム市交響ユース合唱団
 バーミンガム市交響女性合唱団
 バーミンガム市交響楽団
 サイモン・ラトル(指揮)

 録音時期:1997年10月5-7日
 録音場所:シンフォニー・ホール、バーミンガム
 録音方式:デジタル(セッション)

入念なスコアの読みと計算し尽くされながら実にダイナミズムに富んだ解釈。90年代も後半になり、非常に高い完成度を示し、世界的なオーケストラの仲間入りを果たしたラトル率いるバーミンガム市交響楽団が、彼らのマーラー解釈の集大成を示したかのような作品がこの第3番です。それぞれの楽章、楽想における光と闇、静と動の対比を浮き彫りにさせながら的確な細部の表現を加味した絶妙なマーラーが展開されています。

・花の章
 フランクフルト放送交響楽団
 パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)

 録音時期:2007年5月
 録音場所:hrゼンデザール、フランクフルト
 録音方式:デジタル(セッション)

『花の章』は交響曲第1番の第2楽章として作曲されたものの使用されず、後に交響曲第3番の第3楽章『森の動物たちが私に語るもの』へと昇華されます。第3番第3楽章のポスト・ホルンを連想させるトランペットなどが実に魅力的な音楽です。

【Disc6】

・交響曲第4番ト長調
 マーガレット・プライス(ソプラノ)
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指揮)

 録音時期:1970年11月23,24日
 録音場所:バーキング・タウン・ホール、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

マーラー、ブルックナーの音楽の伝道者だったホーレンシュタインが晩年に残した演奏。落ち着いたタッチで作品の魅力を引き出しており、特に第3楽章は味わい深い仕上がりです。マーガレット・プライスの清楚な歌も聴きもの。

【Disc7】

・交響曲第5番 嬰ハ短調
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 クラウス・テンシュテット(指揮)

 録音時期:1988年12月13日
 録音場所:ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドン
 録音方式:デジタル(ライヴ)

いまだに語り草となっている1988年の来日公演直後、本拠地におけるコンサートを収録したもので、さすがにオーケストラのコンディションも良く、実演におけるテンシュテットの凄みが十分すぎるほどに伝わってくる圧倒的な演奏内容となっています。この演奏で特徴的なのは、各フレーズがとにかく「生きている」ということで、ときに美しく、ときに深刻に、またときに轟然と盛り上がる音楽が常にある種の熱気を帯びており、なおかつそのスケールはきわめて大きいという稀有な現象が引き起こされているのです。終演後の聴衆の熱狂ぶりにも思わず納得の素晴らしい演奏。

【Disc8〜CD9】

・亡き子をしのぶ歌(全5曲)
 キャスリーン・フェリアー(コントラルト)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ブルーノ・ワルター(指揮)

 録音時期:1949年10月4日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、ロンドン
 録音方式:モノラル(セッション)

ワルターとフェリアーの出会いは、1947年のコンサートでの『亡き子をしのぶ歌』でした。清冽で暖かみを持ち伸びやかな彼女の歌声は、指揮者の気に入るところとなり、後に数多くの録音を残すことに繋がりました。有名なこのセッション録音も、素晴らしく深い歌の魅力を感じさせてくれるものです。

・リュッケルト歌曲集
 ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
 ジョン・バルビローリ(指揮)

 録音時期:1969年7月17,18日
 録音場所:ワトフォード・タウン・ホール、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

ベイカーの知的で趣味の良い歌唱を、バルビローリの濃密な伴奏が支えた魅力的な演奏。バルビローリが特別に愛し、自らの葬儀にも使うように依頼した名曲「私はこの世から忘れられ」については旧録音も存在し、そちらはCD16に収録されています。

・交響曲第6番イ短調『悲劇的』
 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
 ジョン・バルビローリ(指揮)

 録音時期:1967年8月17-19日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

遅いテンポで開始される第1楽章アレグロ冒頭から面食らいますが、エネルジーコという指定には忠実で、異様に力強い足取りと、指揮者の唸り声がただならぬ作品のオープニングを不気味に彩ります。全編ほとんど拡大鏡でみるマーラーといった趣ですが、この変化に富んだエネルギー解析ぶりは実に魅力的です。特にマーラーの天才が冴え渡る第4楽章序奏部のカオスの表現はみごとなもので、独特の色彩感と巧みな演出の切れ味はまさに衝撃的。他にかなうもののない深みに達した演奏といえ、続く主部へのブリッジ(05:03〜)での凄絶な響きなど、あのバーンスタイン盤でさえずいぶん楽天的に思わせてしまうほどのスゴ味があります。イメージとしては、誇大妄想狂による悲劇的なモノローグとノスタルジックな回想といったところでしょうか。マーラー・ファンなら一度は聴いておきたいユニークな名演です。

【Disc10】

・交響曲第7番ホ短調『夜の歌』
 バーミンガム市交響楽団
 サイモン・ラトル(指揮)

 録音時期:1991年6月21,22日
 録音場所:スネイプ・コンサート・ホール、スネイプ
 録音方式:デジタル(オールドバラ・フェスティヴァル、ライヴ)

ディテール表現が重要な役割を果たすこの作品では、オーケストラと指揮者の緊密な関係がとても大切。室内楽的繊細さが、巨大なパレットの上で繰り広げられる様々な音楽に結実したここでの演奏は、情報量膨大で実に刺激的です。

【Disc11〜CD12】

・『子供の不思議な角笛』からの歌曲集(全12曲)
 エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ロンドン交響楽団
 ジョージ・セル(指揮)

 録音時期:1968年3月8,9日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

シュヴァルツコップ、フィッシャー=ディースカウ、セルという豪華な顔合わせによる有名な演奏。ドイツの民謡詩集からテキストをとった12曲の歌曲を、細部まで徹底的に表現を練り上げた見事な語り口で堪能できます。

・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』
 エリザベス・コネル(ソプラノI)
 イーディス・ウィーンズ(ソプラノII)
 フェリシティ・ロット(ソプラノIII)
 トゥルデリーゼ・シュミット(コントラルトI)
 ナディーヌ・ディニーズ(コントラルトII)
 リチャード・ヴァーサル(テナー)
 ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)
 ハンス・ゾーティン(バス)
 デイヴィッド・ヒル(オルガン)
 ティフィン・スクール少年合唱団
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団
 クラウス・テンシュテット(指揮)

 録音時期:1986年4月20-24日、1986年10月8-10日
 録音場所:ウォルサムストウ・タウン・ホール、ウェストミンスター・カテドラル、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

前年に発覚した癌を克服して臨んだテンシュテット執念のレコーディングですが、演奏には、そうした事情から想像される衰えなどはいっさい感じられず、この指揮者ならではのドラマティックな音楽造りに圧倒されるばかり。劇的で勇壮な第1部はもちろんのこと、第2部のメリハリをきかせた演奏はさらに見事で、この長大な楽章を飽かさず一気に聴かせる勢力の強さには脱帽です。

【Disc13】

・大地の歌
 クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルト)
 フリッツ・ヴンダーリッヒ(テナー)
 フィルハーモニア管弦楽団、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
 オットー・クレンペラー(指揮)

 録音時期:1964年2月19-22日、11月7,8日、1966年7月6-9日
 録音場所:キングズウェイ・ホール、アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン
 録音方式:ステレオ(セッション)

クレンペラーのマーラーを代表する素晴らしい演奏。歌曲的性格の濃厚なこの複合的作品に対し、きわめて構造的なアプローチがおこなわれた見事な演奏であり、その荒々しいまでに厳しい音楽は、伝説的名演の名にふさわしいものといえるでしょう。退廃的で甘美なワルターに対し、荒涼・殺伐といった精神風景に向き合った感すらあるクレンペラーの解釈は、その立体感の強烈さゆえ、複合的性格の浮き彫り具合も群を抜いています。

【Disc14】

・交響曲第9番ニ長調
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 ジョン・バルビローリ(指揮)

 録音時期:1964年1月10,11,14,18日
 録音場所:イエス・キリスト教会、ベルリン−ダーレム
 録音方式:ステレオ(セッション)

バルビローリとベルリン・フィル唯一のセッション・レコーディング。大成功に終った客演指揮を受け、ベルリン・フィル側からのたっての希望で実現したという有名なエピソードでも知られる名演。複雑膨大な作品の構成因子それぞれに指揮者の配慮が濃やかに反映された演奏は、いまだに独自の境地を保ち続けています。長大な作品のどこにも空虚な瞬間が感じられず、バルビローリの真骨頂と言えるヒューマンな情感をいっぱいにたたえた第4楽章アダージョはもちろん、第1楽章でも密度の濃い抒情が香り高く立ち上るさまがとても印象的です。

【Disc15】

・交響曲第10番嬰ヘ短調
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 サイモン・ラトル(指揮)

 録音時期:1999年9月24,25日
 録音場所:フィルハーモニー、ベルリン
 録音方式:デジタル(ライヴ)

1980年にボーンマス交響楽団と録音して以来ラトル2度目の『第10番』。この曲の理想像をベルリン・フィルとともに再現。このクック版に対するラトルの思い入れは有名で、同版に大幅に手を入れて用いたザンデルリング盤を聴いてその可能性に開眼、自身も手を加え、EMIへの専属初録音にこの曲を選んでその存在を強くアピール、以後も再三この版を取り上げ、トレードマークとも言うべき得意演目に熟成させたことはよく知られるところ。BPOとは1996年にも演奏しており、双方まさに満を持しての録音と言え、オケの圧倒的な技量差もあって、旧録音をはるかにしのぐ切れ味鋭い見事な演奏を聴かせてくれます。

【Disc16】

・リュッケルト歌曲集
 トーマス・ハンプソン(バリトン)
 ヴォルフラム・リーガー(ピアノ)

 録音時期:1996年3月19-21日
 録音場所:アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン
 録音方式:デジタル(セッション)

・私はこの世に捨てられて
 ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
 ハレ管弦楽団、ジョン・バルビローリ(指揮)
 録音:1967年5月4日、アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン(ステレオ)

・私はこの世に捨てられて(LPからのニュー・リマスター)
 クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)、ジェラルド・ムーア(ピアノ)
 録音:1957年11月、アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン(ステレオ)

・私はこの世に捨てられて
 クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
 フィルハーモニア管弦楽団、オットー・クレンペラー(指揮)
 録音:1964年2月17-19日、キングズウェイ・ホール、ロンドン(ステレオ)

・私はこの世に捨てられて
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
 ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
 録音:1978年2月5-10日、ジーメンスヴィラ、ベルリン(ステレオ)

・私はこの世に捨てられて
 トーマス・アレン(バリトン)
 イギリス室内管弦楽団、ジェフリー・テイト(指揮)
 録音:1988年5月16,17日、1989年10月16日、アビー・ロード・スタジオ第1、ロンドン(デジタル)

・私はこの世に捨てられて
 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 アーウィン・ゲイジ(ピアノ)
 録音:1979年10月24-26日、1980年3月11-14日、ゲマインデハウス、ベルリン−ツェーレンドルフ(ステレオ)

・私はこの世に捨てられて
 カタリナ・カルネウス(メゾ・ソプラノ)、ロジャー・ヴィニョールズ(ピアノ)
 録音:1998年7月7-9日、聖マイケル教会、ハイゲイト、ロンドン(デジタル)

・原光(交響曲第2番〜第4楽章)(子供の不思議な角笛)
 アリス・クート(メゾ・ソプラノ)、ジュリアス・ドレイク(ピアノ)
 録音:2002年12月19-21日、ポットン・ホール、サフォーク(デジタル)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. 1. Das klagende Lied, cantata for soloists, chorus & orchestra: 1. Waldmrchen
  • 02. 2. Das klagende Lied, cantata for soloists, chorus & orchestra: 2. Der Spielmann
  • 03. 3. Das klagende Lied, cantata for soloists, chorus & orchestra: 3. Hochzeitstck
  • 04. 4. Piano Quartet in A minor (incomplete)

ディスク   2

  • 01. 1. Lieder eines fahrenden Gesellen, song cycle for voice & piano (or orchestra): 1. Wenn mein Schatz Hochzeit macht
  • 02. 2. Lieder eines fahrenden Gesellen, song cycle for voice & piano (or orchestra): 2. Ging heit morgen bers Feld
  • 03. 3. Lieder eines fahrenden Gesellen, song cycle for voice & piano (or orchestra): 3. Ich hab' ein glhend Messer
  • 04. 4. Lieder eines fahrenden Gesellen, song cycle for voice & piano (or orchestra): 4. Die zwei blauen Augen von meinem Schatz
  • 05. 5. Symphony No. 1 in D major ('Titan'): 1. Langsam, schleppend, wie ein Naturlaut
  • 06. 6. Symphony No. 1 in D major ('Titan'): 2. Krftig bewegt, doch nicht zu schnell
  • 07. 7. Symphony No. 1 in D major ('Titan'): 3. Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen -
  • 08. 8. Symphony No. 1 in D major ('Titan'): 4. Strmich bewegt

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再発売されたベートーベン全集と双璧をなす...

投稿日:2021/03/08 (月)

再発売されたベートーベン全集と双璧をなすマーラー全集だと思います。録音も良く個性豊かな名指揮者の演奏で交響曲を楽しむことができます。歌曲集も秀逸な出来栄えで、是非購入しておくべきCDだと思います。

LFA さん | 千葉県 | 不明

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これは本当に素晴らしい全集です。管弦楽お...

投稿日:2018/11/11 (日)

これは本当に素晴らしい全集です。管弦楽およびピアノ伴奏の歌曲集が網羅されていますから、本当に価値がある。マーラーの歌曲はどれも美しい旋律で心に訴えかけてきます。もちろん交響曲全曲もすばらしい名演奏揃い。とくに、クレンペラーの復活、大地の歌は圧倒的名演ですね。交響曲全集はバーンスタインやアバドらたくさんの指揮者が完成していますが、EMIが誇る指揮者の演奏で至福のひと時をすごせるのは大きな喜びです。

音楽大好き さん | 東京都 | 不明

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今でこそ交響曲の大家として認知されている...

投稿日:2018/08/01 (水)

今でこそ交響曲の大家として認知されているマーラーだが、ブームは1970年代になってからだと思う。とくにカラヤンが新譜として出たLPはレコード会社も力を入れていた。改めてこのBOXで色々な指揮者の演奏を聞いて、いろんな解釈があるのだなと実感した。とくに緩徐楽章はどの作品も大変に美しい。今後もマーラー人気は衰えることはないだろう。

johnbach さん | 東京都 | 不明

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人物・団体紹介

人物・団体ページへ

マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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