CD 輸入盤

惑星(+マシューズ:冥王星)、神秘のトランペッター デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

ホルスト (1874-1934)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
8555776
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
International
フォーマット
:
CD

商品説明

ホルスト:『惑星』+マシューズ:『冥王星』
ロイド=ジョーンズ指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

コリン・マシューズ[1946− ]がケント・ナガノに委嘱されて作曲した『冥王星』は、2000年のナガノによる初演後、同年のプロムスで大評判となり、2001年には日本初演も行われたのは記憶に新しいところです。
 最初の録音であるエルダー指揮ハレ管のレコーディングも話題になりましたが、今回は、2度目の録音として、NAXOSからデイヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏が登場。
 占星術に深い関心を持っていたホルストが、太陽系の惑星についての伝承をもとにそれぞれの星について巧みに性格描写をおこない、色彩的なオーケストレーションを施した『惑星』は、演奏効果抜群のオーケストラ・ピースでもあり、英国音楽史上最大のヒット作とも言われている傑作です。
 ただし、作曲当時は冥王星が発見されていなかったため、組曲『惑星』が、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星という構成となっているのは致し方のないことでした。
 20世紀最後の年に近づいてから、ホルストの息女イモージェンと共にホルストの忘れられた作品の整理をしたことがあるマシューズが、ケント・ナガノの依頼でホルストの『惑星』につけ加えるため、『冥王星』を作曲したことは、当初無謀な挑戦と受け取られましたが、ナガノの後、サカリ・オラモ、オスモ・ヴァンスカ、大友直人といった指揮者が取り上げ、クラシックの『続編もの』としては最も成功した作品の一つとなりました。マシューズが自信を持って故イモージェンに捧げたのも納得できる出来栄えです。
 NAXOS価格で『冥王星』付というだけで、このCDの価値は充分ですが、さらに、高精度規格24ビットで収録・編集された鮮明で分離のよい聴き応えのある音質は特筆ものです。ティントナーの一連のブルックナー録音でもお馴染のオーケストラとホールを利用しているため、豊富な経験がものを言っています。
 特に、『火星』第95小節の迫力あるトゥッティが、これほどの分解能とパワフルな音調で収録されたのは初めてのことと思われ、若い女流エンジニア、エリノア・トマソンのフレッシュな感性が、大きく効を奏したものとも考えられます。
 ちなみに収録は2001年2月17日と18日、グラスゴーのシティ・ホールでおこなわれており、プロデューサーはアンドリュー・ウォルトンが担当しています。
 指揮のデイヴィッド・マシアス・ロイド=ジョーンズは、1934年11月19日ロンドン生まれの英国のベテラン。CDではバックスの交響曲、ホルストの作品集、ディリアスの作品集、エルガーのファルスタッフ、ブリスのカラー・シンフォニーなど、数多くの英国関連物のリリース(NAXOS,MARCO POLO,hyperion,ASV)で知られていますが、専門は本来ムソルグスキーをはじめとするロシア物で、ロシア語・ロシア文化にも通じ、楽譜の校訂や編纂、台詞の翻訳などでも活躍してきました。プロとしての最初の仕事もコヴェントガーデンでの『ボリス・ゴドゥノフ』のロシア語コーチだったといいますからロシアへの傾倒ぶりは徹底しています。CDでもかつてムソルグスキーや、チャイコフスキーなどもリリースされていました。
 そうした彼の嗜好・資質が、そのイギリス人指揮者らしからぬ激しく豪快なアプローチに結実しているのは容易に推察されるところですが、実際、ここで聴ける『惑星』の迫力には凄いものがあります。全体にテンポの緩急とダイナミクスの幅がきわめて大きく設定されており、思い切りの良い表現が随所に見受けられるのがポイントです。

『火星』:速いテンポで「戦争の神」にふさわしい荒々しさに肉薄したみごとな演奏。乾いたトゥッティとブレンドされたトゥッティの使い分けなども巧みで、単に勢いだけの演奏に終わっていないのがさすが。冒頭の戦慄的な弦の刻み、第1部最後の重低音と解像力の凄まじさ、随所で聴かれる金管、ティンパニの強奏も痛快です。
『金星』:「平和の神」らしくテンポを遅めに設定し、繊細な構成素材の数々を美しく響かせています。
『水星』: 「翼のある使いの天使」では、標準的なテンポ設定で、色彩豊かで動的な音楽をバランスよく再現。
『木星』: 『惑星』の中で1番人気のこの作品では、接続曲風な主部ではテンポの変動が面白く(特に第3部)、快活でラプソディックという作品本来の妙味を味わわせてくれます。まさに「快楽の神」です。
『土星』: 「老年の神」ではティンパニの強打が遅いテンポの音楽に緊張感を与えて面白い仕上がり。
『天王星』: 「魔術の神」はダイナミックな部分がなかなか格好の良い仕上がり。ティンパニが良い音で収録されているのもポイントです。
『海王星』: 「神秘の神」テクスチュアの透明な美しさが女声コーラスの繊細な美感を際立たせており、マシューズの『冥王星』へとアタッカでつながってゆきます。

『冥王星』: 『海王星』が静かに消え入る前に、続けて演奏されるこの「再生をもたらす神」は、静かに神秘的に開始され、『水星』以上の速いテンポでオケが荒れ狂う迫力満点の中間部分の後、『海王星』同様、フェイドアウトしてゆく女声合唱が消え入って締めくくられます。

【収録情報】
1. ホルスト:組曲『惑星』 op.32 [50:00]
2. マシューズ:『冥王星』 [06:53]
3. ホルスト:神秘のトランペッター [18:37]

 クレア・ラター(ソプラノ:3)
 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団合唱団女性団員(1,2)
 ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
 デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ(指揮)

 録音時期:2001年2月17,18日
 録音場所:グラスゴー、シティ・ホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

総合評価

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デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮、ロ...

投稿日:2023/02/13 (月)

デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮、ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団、同女声合唱団の演奏で録音された、ホルストの組曲『惑星』です。 既にナクソスにはリーパー盤という音源がありますが、こちらはマシューズの冥王星も収録したバージョンです。 ロイド=ジョーンズの惑星は、曲に語らせるようなスタンダード・スタイルの演奏ですが、ダイナミックで良く歌い、なかなかの好演奏。 メイン(?)の冥王星はマシューズという別の作曲家が書いただけあって、作風はあまり似てないが単独で聴くとなかなか良い作品だ。 併せて収録されているのは同じホルストの『神秘のトランペッター』と言う曲だ。 これはソプラノとオーケストラのための作品で、過去に録音はあるものの、秘曲と言って良い珍しい作品。 本CDはクレア・ラターがソロを担当していて、演奏も惑星に続き良く、作品を知るには問題ない。 録音も綺麗で、迫力があり廉価盤としては充分だったが、最近値上がりしてしまい他の盤と価格差があまり無くなり、お得感が薄れたのが残念な所。

レインボー さん | 不明 | 不明

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冥王星付きです。パワフルで、大きな音楽が...

投稿日:2021/07/06 (火)

冥王星付きです。パワフルで、大きな音楽が鳴り響きます。残響が多いですが、違和感はなく、むしろ効果的といえます。

せごびあ さん | 愛知県 | 不明

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「惑星」については、ホールトーンがたっぷ...

投稿日:2011/04/07 (木)

「惑星」については、ホールトーンがたっぷりなのはいいのですが、「水星」の冒頭など、残響が長すぎて音がダンゴになりやすく、少々うっとおしく感じられたので、残響の短いバービカン・センターで録音されたC.デーヴィスのLSOライブにすぐ乗り換えてしまいました。Baxの交響曲集と同じヘンリー・ウッド・ホールを使ったとは思えないほどで、録音次第でこうも変わるものかと驚いています。「冥王星」については、多くの方と同意見で、毛色の違う曲をアタッカで演奏するのには違和感があり、別々にしたほうがいいと思いますね。ただ、「神秘のトランペッター」は、長い残響がプラスに作用したようで、声楽曲をあまり聴かない私でも一聴して気に入りました。

のろま さん | 東京都 | 不明

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人物・団体紹介

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ホルスト (1874-1934)

“惑星”で有名なイギリスの作曲家グスターヴ・ホルストは、1874年9月21日、英国グロースターシャー州のチェルトナムにスウェーデン移民の子として生まれます。父は音楽教師、母はピアニストだったこともあって、家庭環境は非常に音楽的でした。1887年、チェルトナム・グラマー・スクール入学。1891年、同校卒業。管弦楽のための間奏曲、スケルツォ作曲。1892年、ウィック・リッシントンでオルガニストの職に就

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