プッチーニ:オペラ・ボックス(17CD)
EMIステレオ録音コレクション
EMIが制作したプッチーニのオペラ全曲録音からのコレクション。プッチーニのオペラというと、『トスカ』『ボエーム』『蝶々夫人』の三大オペラに、『トゥーランドット』を加えた4作品が人気が高く、次いで『マノン・レスコー』『西部の娘』『三部作』、そしてマイナーな『つばめ』などが続きます。
このセットでは、『トスカ』『ボエーム』『蝶々夫人』『トゥーランドット』『マノン・レスコー』『西部の娘』『三部作』『つばめ』の全曲録音と『妖精ヴィッリ』抜粋を収録しています。
演奏はマリア・カラスからアンジェラ・ゲオルギューまで有名どころが揃っており、名歌手がずらり揃った陣容はなかなか壮観なものとなっています。(HMV)
【収録情報】
マノン・レスコー
第1幕 フランス。アミアンの宿屋の前
デ・グリューは、学生や娘たちが集まる宿屋で、大蔵大臣ジェロンテに伴われたマノン・レスコーに一目ぼれします。しかし、彼女が明日、修道院に入ることを知り、夜更けに落ち合い一緒に逃げる約東をとりつけます。
一方、ジェロンテ大臣もマノン・レスコーを連れ去る計画を練っていましたが、そのことに気付いたデ・グリューは、先にマノン・レスコーとパリへ逃げてしまいます。
第2幕 マノンの家
デ・グリューとの貧しい生活に耐えられなくなったマノン・レスコーは、ジェロンテ大臣の愛人になります。ですが、デ・グリューのことが忘れられず、彼と一緒に逃げようとしますが、ジェロンテ宅の宝石などを持ち去ろうとして逮捕されてしまいます。
第3幕 ル・アーヴル港
デ・グリューはマノン・レスコーを助け出そうとしますが失敗。マノン・レスコーは売春婦の罪を着せられてアメリカに追放されることになってしまいます。デ・グリューは、マノンを送る船の船長にかけあい、一緒にアメリカに渡ることになります。
第4幕 ニューオーリンズ。荒野
アメリカで生活を始めたマノン・レスコーとデ・グリューでしたが、ここでも問題を起こしてしまい、荒野に逃げることになります。疲労したマノン・レスコーは歩けなくなり、デ・グリューは水を探しに行きますが見つからず、マノンはついに亡くなってしまいます。デ・グリューはマノン・レスコーを抱きしめながら号泣して終わります。
● 歌劇『マノン・レスコー』全曲
マノン・レスコー:モンセラート・カバリエ(ソプラノ)
騎士デ・グリュー:プラシド・ドミンゴ(テノール)
ジェロント:ノエル・マンジャン(バス)
レスコー:ビセンテ・サルディネロ(バリトン)
エドモンド:ロバート・ティアー(テノール)
宿屋の主人:リチャード・ヴァン・アラン(バリトン)
舞踊教師:バーナード・ディッカーソン(テノール)
歌手:デリア・ウォリス(メゾ・ソプラノ)
軍曹:ロバート・ロイド(バス)
点灯夫:イアン・パートリッジ(テノール)
海軍大尉:グウィン・ハウエル(バス)
アンブロジアン・オペラ合唱団(合唱指揮:ジョン・マッカーシー)
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
ブルーノ・バルトレッティ(指揮)
録音時期:1971年7月、12月
録音場所:ロンドン、ブレント・タウン・ホール
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション
ラ・ボエーム
1820年代パリの学生街が舞台。詩人ロドルフォ、画家マルチェッロ、音楽家ショナール、哲学者コッリーネ、ムゼッタと、お針子ミミの友情と恋の物語。『冷たい手を』、『私の名はミミ』をはじめ、愛の二重唱やムゼッタのワルツなど、単独でも歌われるナンバーが多いオペラです。
● 歌劇『ボエーム』全曲
ロドルフォ:ニコライ・ゲッダ
ミミ:ミレッラ・フレー二
マルチェッロ:マリオ・セレーニ
ショナール:マリオ・バジオラJr.
コッリーネ:フェルッチョ・マッゾーリ
ブノワ:カルロ・バディオーリ
アルチンドロ:パオロ・モンタルソロ
ムゼッタ:マリエッラ・アダーニ
パルピニョール:ヴィットリオ・パンダーノ
税関吏:ジュゼッペ・ギリアーノ
軍曹:マリオ・リナウド
売り子:アントニオ・デッラカ
ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団(コーラス・マスター:ジャンニ・ラッザーリ)
トーマス・シッパース(指揮)
録音時期:1962年9月、1963年7月-8月
録音場所:ローマ歌劇場
録音方式:ステレオ(セッション)
トスカ
1800年のローマが舞台。画家カヴァラドッシは、脱獄した政治犯アンジェロッティをかくまった罪で、警視総監スカルピアに逮捕されてしまいます。カヴァラドッシの恋人トスカは彼を救うため、言い寄ってくるスカルピアに応じると見せかけ、カヴァラドッシと二人で国外へ逃げるための通行証を要求します。そして、通行証を書き終えたスカルピアをナイフで刺し殺してしまいます。
トスカは処刑を目前にしたカヴァラドッシに会いに行き、通行証を手に入れ、スカルピアを殺害したこと、処刑はスカルピアとの約束により空砲が使われる手筈になっていることを話します。しかし約束は嘘で、処刑には実弾が使われ、カヴァラドッシは銃殺。そしてスカルピアが殺されたことを知った兵士たちが押し寄せると、トスカは城壁から身を投げて息絶えます。
● 歌劇『トスカ』全曲
マリア・カラス(ソプラノ)
カルロ・ベルゴンツィ(テノール)
ティト・ゴッビ(バリトン)、他
パリ・オペラ座合唱団
パリ音楽院管弦楽団
ジョルジュ・プレートル(指揮)
録音時期:1964年12月3-4,7-12,14日、1965年1月19日
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
蝶々夫人
明治時代の長崎が舞台。海軍士官ピンカートンは、日本の少女、蝶々さんと結婚することになります。蝶々さんは結婚のためにキリスト教に改宗するほどピンカートンとの愛を信じていますが、ピンカートンの方は一時のことと軽く考えています。そしてピンカートンがアメリカに帰ってしまい、3年の月日が流れます。女中のスズキは音沙汰ない状況にピンカートンの裏切りを感じますが、蝶々夫人は彼は帰ってくると信じています。そんな時、ピンカートンから手紙が届き、蝶々夫人は喜びます。しかし、彼がアメリカで正式に結婚していることを知る領事シャープレスは、ヤマドリ公の世話になることをすすめますが、彼女はかたくなに断ります。そして、ピンカートンは長崎に戻ってくるのですが、彼は蝶々夫人とは会おうとしません。蝶々夫人は代わりにピンカートンの妻ケイトと対面させられることになり、自刃して果てます。
有名なアリア『ある晴れた日に』の他、『さくらさくら』『お江戸日本橋』『君が代』『越後獅子』のメロディーが使われていることでも知られています。
● 歌劇『蝶々夫人』全曲
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)
ミリアム・ピラツィーニ(S)
シルヴィア・ヴェルトーナ(Ms)
ユッシ・ビョルリンク(Ms)
ピエロ・デ・パルマ(T)
マリオ・セレーニ(T)
アルトゥーロ・ラ・ポルタ(Br)
パオロ・モンタルソロ(Br)
ボナルド・ジャイオッティ(Bs)
ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団
ガブリエレ・サンティーニ(指揮)
録音:1959年(ステレオ)
西部の娘
19世紀のカリフォルニアが舞台。ディック・ジョンソン(実は盗賊団の首領ラメレス)と酒場の女主人ミニーの恋物語。ラメレス逮捕に躍起になる保安官ジャック・ランスはついに彼を処刑台に引っ張りだしますが、銃まで構えてジョンソンの命乞いをするミニーの想いに打たれ、彼を解放。ジョンソンとミニーはめだたく旅だって行きます。
この作品でプッチーニはインディアンの旋律やアメリカ俗謡を使用しています。
● 歌劇『西部の娘』全曲
ビルギット・ニルソン
ジョアオ・ギビン
アンドレア・モンジェッリ、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)
録音:1958年(ステレオ)
つばめ(ロンディーネ)
サロンの女主人マグダは銀行家ランバルドの愛人。詩人プルニエを中心に毎日のように常連が集まっています。
ある日詩人プルニエは新しい自作の詩「ドレッタの素晴らしい夢」を披露するものの未完だっため、マグダが続きを歌って完成させます。この場面はアリア集などでも有名なアリアが歌われるシーンですが実際の全曲盤では、テノールから始まり詩を完成させるというプロセスが味わえます。
プルニエはマグダの手相を見、彼女は新しい恋を得ても、その恋はつばめのように飛び回った後、昔の巣に戻ってくるだろう、と占います。そこにランバルドの友人ルッジェーロが訪ねてくると、マグダは純真さに惹かれ恋に落ちてしまいます。ですが、マグダは自分が清らかな乙女を装って彼の花嫁になることは出来ないとルッジェーロに告げ、彼のもとを去っていきます。
● 歌劇『つばめ』全曲 [99:11]
マグダ:アンジェラ・ゲオルギュー
ルッジェロ:ロベルト・アラーニャ
プルニエー:ウィリアム・マッテウッツィ
リゼッテ:インヴァ・ムーラ
ランバルド:アルベルト・リナルディ
イヴェッテ/ジョルジェッテ:パトリツィア・ビッチーレ
ビアンカ/ガブリエッラ:パトリツィア・チョーフィ
スージィ/ロレッテ:モニカ・バチェッリ
ゴビン:トビィ・スペンス
ペリショー:リッカルド・シモネッティ
クレビヨン/ラボニエル/執事:エンリコ・フィッソーレ
内心の声:パトリツィア・ビッチーレ
口笛吹きの男:ウィリアム・マッテウッツィ
若者:ガレス・ロバーツ
学生:アンドルー・ブッシャー
ロンドン・ヴォイセズ
ロンドン交響楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
● 歌劇『妖精ヴィルリ』〜抜粋[18:05]
ロベルト:ロベルト・アラーニャ
ロンドン交響楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
録音時期:1996年
録音場所:ロンドン、アビー・ロード・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
外套
1910年代のセーヌ川が舞台。船長、50歳のミケーレは、20代の若い娘ジョルジェッダを妻にしました。ジョルジェッダは、夫との共通の話題がないことや仕事に追われる毎日に不満を持っています。ある日、ジョルジェッダは、若い人夫のルイージと仲良くなり、深夜に密会しようとしますが、忍び込んできたルイージとミケーレが鉢合わせしてしまいます。激昂したミケーレはルイージを絞め殺してしまいます。ジョルジェッダが戻ってくると、ミケーレはルイージの死体を外套の中に隠します。ミケーレはジョルジェッタを優しく迎えると外套の中に包み込み、ルイージの死体に彼女の顔を押し付けて終わります。いわゆる『三部作』の第1部となる作品です。
● 歌劇『外套』全曲
ミケーレ:カルロ・グエルフィ(バリトン)
ジョルジェッタ:マリア・グレギーナ(ソプラノ)
ルイジ:ニール・シコフ(テノール)
恋人たち:ロベルト・アラーニャ、アンジェラ・ゲオルギュー
ロンドン・ヴォイシズ
ロンドン交響楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
録音時期:1997年7月
録音場所:ロンドン
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
修道女アンジェリカ
1600年末のイタリアの女子修道院が舞台。貴族の娘アンジェリカは、未婚の母となったため修道院に入れられました。ある日、修道院を訪ねてきた伯母の公爵夫人から、2年前に娘が死んだことを聞かされ彼女は毒薬を飲んで自殺を図りますが、自殺の罪に気付き、聖母に詫びて救いを求めます。すると、奇蹟が起こり子供を抱いた聖母が登場。アンジェリカは安らかに息を引き取ります。『三部作』第2部となる作品。
● 歌劇『修道女アンジェリカ』全曲
アンジェリカ:クリスティーナ・ガイヤルド=ドマス(ソプラノ)
公爵夫人:バーナデット・マンカ・ディ・ニッサ(アルト)
修道院長:フェリシティ・パーマー(メゾ・ソプラノ)、他
ティッフィン少年合唱団
ロンドン・ヴォイシズ
フィルハーモニア管弦楽団
アントニオ・パッパーノ(指揮)
録音時期:1997年8月
録音場所:ロンドン
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
ジャンニ・スキッキ
1299年のフィレンツェが舞台。大富豪ブォーソが遺した遺産をめぐって物語。遺産をものにしようと集まった親類たちは、遺書に全財産を修道院に寄付すると書かれているのを知り落胆。リヌッチーニはジャンニ・スキッキの知恵を借りようとしますが、スキッキは他の親戚から馬鹿にされたことで協力を断ります。ですが、娘でリヌッチーニの恋人のラウレッタに「助けてくれないなら私死んじゃう」と半ば脅され(このアリアが有名な「私のお父さん」です)、考え直します。スキッキはブォーゾになりすまして、公証人の前で嘘の遺書を口述することを提案。全員この計画に賛成しますが、いざ公証人を前にスキッキは「財産はすべてスキッキへ与える」と言い、見事に遺産を手にしてしまいます。
『三部作』の第3部にあたる作品。
● 歌劇『ジャンニ・スキッキ』全曲
ティト・ゴッビ
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス
レナート・チオーニ、他
ローマ歌劇場管弦楽団
ガブリエレ・サンティーニ(指揮)
録音:1958年(ステレオ)
トゥーランドット
ダッタン国王の息子カラフは、北京の皇帝の娘トゥーランドットに一目ぼれし、彼女と結婚するために彼女が出題する3つの謎を解くことになります。3つの謎を解いたものの、トゥーランドットは拒みます。そしてカラフは彼女に、明日の夜明けまでに私の名がわかれば私は死のう、と提案します。役人たちはカラフの名を聞きだすべく、ダッタン国王の侍女リューを捕まえ拷問しますが、リューは兵士の刀を奪って自殺します。リューを悼んで役人や群集が去ると、トゥーランドットとカラフは二人きりになり、カラフは彼女にキスします。するとトゥーランドットの心も変わり、彼を愛するようになります。そして群衆の前で、カラフのことを「彼の名は愛」と叫び、群集は愛を讃え、皇帝万歳を歌い上げて終わります。
有名なアリア『誰も寝てはならぬ』は、トゥーランドットが街に「今夜は誰も寝てはならない。求婚者の名前がわからなければ、住民はみな死刑とする」と命令を下したことを受けて、カラフが「夜明けには私が勝利するだろう」と歌い上げるナンバーです。
● 歌劇『トゥーランドット』全曲
ビルギット・ニルソン(S:トゥーランドット)
フランコ・コレッリ(T:カラフ)
レナータ・スコット(S:リュウ)
アンジェロ・メルクリアーリ(T:皇帝)
ボナルド・ジャイオッティ(Bs:ティムール)
グイド・マッツィーニ(Bs:ピン)
フランコ・リッチャルディ(T:パン)
ピエロ・デ・パルマ(T:ポン、ペルシャの王子)
ジュゼッペ・モレーシ(Bs:役人)
イェーダ・ヴァルトリアーニ(S:第1の声)
イーダ・ファリーナ(S:第2の声)
ローマ国立歌劇場管弦楽団&合唱団
フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ(指揮)
録音時期:1965年
録音場所:ローマ国立歌劇場
録音方式:ステレオ(セッション)