CD 輸入盤

バッハ:フーガの技法、メシアン:幼子イエスにそそぐ20の眼差し、ラヴェル:夜のガスパール、クープランの墓 アントン・バタゴフ(6CD)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
CDVE00022
組み枚数
:
6
レーベル
:
:
Russia
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

アントン・バタゴフの芸術(6CD)
メシアンも認めた異端演奏『幼子イエス』、
さらに遅い『フーガの技法』がセットで復活!
ラヴェルの2作品も収録!


1965年モスクワ生まれの作曲家で現代音楽ピアニストのアントン・バタゴフの名前は、異様な遅さの『幼子イエス』によって、マニアには知られています。
 何しろ全体で160分超えというのですから尋常ではありません。この曲は通常110分から120分前後で演奏されるので、部分によっては別の曲のようにさえ聴こえてしまうほど。しかし、バタゴフと会ったメシアンは、彼の演奏は決して遅すぎるものではないと微笑んだと伝えられているので、遅さの中にも何か独特の魅力があったということなのでしょうか。
 録音当時24歳だったバタゴフの思い切ったアプローチは、現在でも新鮮というか異様に響きますが、この「みどり児イエスの口づけ」に慣れてしまうと、他が何か物足りなくなってしまうのも確かです。メシアン好きなら一度は聴いておきたい演奏といえるかも知れません。
 その4年後に録音されたバッハの名作『フーガの技法』も、演奏時間148分というおそるべき長時間演奏となっており、そんなゆっくり演奏にも関わらず、集中力が途切れること無く、祈るように淡々と弾かれてゆくという独自の巨大さを誇る演奏となっています。
 ちなみにバタゴフは、かのタチアナ・ニコラーエワと、アンナ・カントール(キーシンの師匠)に師事しており、プラハ・ピアノ・コンクール、全ソ連ピアノ・コンクール、チャイコフスキー・コンクールなど多くのコンクールに入賞するほどの腕前でもあります。
 組み合わせのラヴェルはすでにARBITERレーベルからリリースされていたものですが(廃盤)、今回は正規音源からのCD化ということで音質向上が期待されるところです。(HMV)

【収録情報】
CD1&CD2
・J.S.バッハ:『フーガの技法』 BWV.1080(1993年録音)

Disc3
メシアン:『幼な子イエスにそそぐ20の眼差し』(1989年録音)
・父のまなざし
・星のまなざし
・交換
・聖母のまなざし
・子に注ぐ子のまなざし
・御言葉によってすべては成されたり

Disc4
・十字架のまなざし
・高き御空のまなざし
・時のまなざし
・喜びの聖霊のまなざし
・聖母の最初の聖体拝受
・全能の言葉
・ノエル
・天使たちのまなざし

Disc5
・みどり児イエスの口づけ
・預言者、羊飼いと東方の三博士のまなざし
・沈黙のまなざし
・恐るべき塗油のまなざし
・我は眠る、されど我が心は目覚め
・愛の教会のまなざし

CD6
・ラヴェル:『夜のガスパール』(1987年録音)
・ラヴェル:『クープランの墓』(1987年録音)

 アントン・バタゴフ(ピアノ)

 録音方式:ステレオ

総合評価

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「フーガの技法」は全体の輪郭も曲順も定か...

投稿日:2012/06/30 (土)

「フーガの技法」は全体の輪郭も曲順も定かでないが、晩年のバッハ作品の中でも最も規範性が高く、ショーンガウアーの香炉やデューラーの野兎のように、デッサンでありながら、範例としてこの上ない高みに立っている。この曲集こそ実は「クラヴィア練習曲集第4巻」の名に最もふさわしいのかも知れない。この作品は、一方で分類学や化学や数論のテキストのような風体をしているが、同時に商品カタログのようでもあり、自身の名を刻んだautographであり、自撰の墓碑銘を記したautobiographyであり、そしてデューラーのもう一つの傑作メレンコリアのように、象徴性と謎に満ちた底知れない深淵を覗かせるような作品でもある。アントン・バタゴフほどこの作品の尋常でなさを再認識させ、謎に輪をかけてくれる演奏者もいないだろう。一切のアフェクトも装飾も削ぎ落して坦々と弾き連ねる時間の経過とともに、シンコペーションによる充填リズムや、附点リズムによる充填、半音階音形による対位、アルペジオ風のストレッタ…と、とりどりの空間が現れ、消えていく。バタゴフの演奏スタイルは、それを十全に表現するために最もふさわしいものだったのだろう。一方のメシアン「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」では、一転して音空間の端から端まで最大限のデュナーミクをもって駆け巡るかのようだ。しかし劇場空間全体を支配する内省的な静謐さは全曲を通じて揺らぐことはない。再び「フーガの技法」を聴いてみて、一つの内的空間、母胎の胎盤中でリズミカルに噴き出す血液の流れによってのみ時間が支配されている子宮の温かい空間の中に保護されている胎児が無心に手指を動かして音を紡ぎ出すさまを思わせるような、原初的で信頼に満ちた幸福な情景を浮かび上がらせるような演奏だったと思い到った。

六里庵 さん | 東京都 | 不明

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Xmさんにもユローヂィヴィさんにも、それぞ...

投稿日:2012/06/27 (水)

Xmさんにもユローヂィヴィさんにも、それぞれ共感してしまいましたが、僕は難しい理屈云々(別に理屈っぽいと避難するわけではありません)よりも、ただこの演奏、響きに浸ってるだけで心地よいです!

ひ〜ちゃん さん | 東京都 | 不明

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「フーガの技法」の最初の音を聴いた時、こ...

投稿日:2012/04/08 (日)

「フーガの技法」の最初の音を聴いた時、これがピアノなのかと疑いました。プリペアード・ピアノのような、電子処理されたピアノ音のような…。 しかも、主題はスタッカートで提示されます。 極端に遅いテンポで抑揚がなく、低音は分厚く響き、オルガンのようです。 これらはすべて意図的なもので、かなり分析的なものです。演奏というより、一旦曲をバラバラにして再構築したような感じです。 一音一音確かめるような、幾何学的なバッハの音を最適な場所にはめ込むような、音楽というよりパズルをしているような感じです。しかし、注意深く聴くと、遅いテンポだから可能な各声部の音色の微妙な変化、スタッカートやレガートで対比させることでより明確になるポリフォニックな旋律の歌わせ方は上手い。壮大なこの曲集の全体像が浮かび上がります。 今まで聴いたことのない極めてユニークな演奏です。

Xm さん | 岡山県 | 不明

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