初めて聴くHeroldのバレエ曲、Bonyngeによる久々の珍曲録音である。Bookletを参考に記すと、歌劇の台本で名高いScribe原作のドタバタ喜劇に基づくストーリーのある3幕のバレエで、バレエの台本もScribe作、1827年初演である。言語が仏語と伊語の違いがあるが4年後に初演されたBelliniによる同名の歌劇の方が日本では有名で(こちらの台本はRomani作)、話の筋立てもほぼ同じ。ただしバレエの舞台は南仏Provence地方の旅籠屋と水車小屋であるのに対して、歌劇の舞台はスイス、いずれもsleepwalk癖のある女性が主人公である。今風に言えばBelliniの方が盗作かも。全曲はCD一枚約70分、Bonyngeが未出版の原稿から起こしたBonynge editionとされるが、原曲が改変されているかカットがあるか不明である。曲自体は耳ざわりのよい旋律の連続で、どちらかというと起伏の少ない感じ、Bonynge指揮のLe diable a quatre (Adam)の雰囲気に似ている。オーストラリアの生んだ名歌手Nellie Melbaを記念したMelba財団によるCD、Melbaレーベルである。