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　2007/03/09

マルツィの無伴奏がこの価格で購入出来ると知って驚いた。しかも、シュタルケルの全集まで付いてくるなんて。私は、態々、韓国EMI盤を買ってしまいましたよ。扨、マルツィ盤、数ある無伴奏の録音の内でも最高位を狙い得る一組だと私は思う。女シゲティと評したら失礼かも知れないが、精神という言葉を持ち出さずにはおられない不朽の名盤だ。シゲティの精神美の世界に魅せられつつも彼の技巧が如何せん気になる、という向きには恐らく最高の録音だろう。私は、シゲティを最高位に、マルツィを次位に置きたい。

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　2007/03/06

パガニーニのコンチェルトは、独奏ヴァイオリンの技巧――それは単に技術的なものもそうだが、芸術的なもの、例えば表現力とか、個性とか、感性などを堪能する為に、そして何より、その当代の名ヴァイオリン弾きを介して、パガニーニという天才を偲ぶ為にある作品だ、と言ったら言い過ぎになろうか。少なくとも、僕はそんな風にこれ等の伴奏付き技巧曲を楽しんでいる。だから、伴奏の出来なんかはどうでもいいし（寧ろ良くては困るのだ）、曲自体の完成度だって別段気にならない。要は、素晴らしい歌謡と凄まじい技巧が存分に散りばめられていればそれで十分なのだ。そんな音楽の片鱗にさえ、大天才パガニーニの才気はしっかり刻印されているのだから。扨、この全集、ドゥバッハの独奏は申し分ないし、伴奏も決してそれを邪魔せず呑気なのが実に秀逸。それによりパガニーニの才気、それどころか狂気が存分に聴こえて来る。改めて良く出来た音楽だなと心底感心した次第。リストの様な尤もらしい見せかけの崇高さで武装していない分、剥き出しの孤高な魂が痛々しい位だ。

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　2007/03/04

表面燃焼。ムーティのシューマンは旧盤の方が秀逸だと思う。せかせかとしたテンポが如何にも浅はで、無神経に弾き飛ばした感否めず。ミュンシュ／ボストン響も時にそういう傾向に語られるが、彼等からは音楽する喜びがひしひしと伝わって来たものだ。ムーティ／ウィーン・フィルにはそういうものを感じ得ない。流石に美しい場面も無論あるが、それも殆ど音響上の甘美さに留まっている。シューマンを聴いたという実感が少しも伴わないのだ。

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　2007/03/04

これは、シューマンという音楽家をよく捉えた正調の名演。時に弱い箇所もあるにはあるが、ピアノの艶やかさ、楽団の思い切りのよさが、シューマンが見た束の間の幸福を余す事なく見事に描き出している。バティスは、今、実演に一番接してみたい指揮者だ。但し、シンフォニー全集は、多少注文の付く出来だった。やはり、シューマンは難しい。

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　2007/03/04

無伴奏組曲、チェロ・ソナタ、そしてクインテット。これ等は古楽である以前に音楽だ。僕は総じて現代楽器の方に惹かれるが、これ等の録音に遜色を見出さない。もし死に際に、これ等の作品が聴きたくなり、カザルスの、フルニエの、コンツェルトハウスの名盤を求めたが、間違ってこちらを聴かされたとしよう。それでも、何ら悔いは残るまい。

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　2007/03/04

ストコフスキーは最も敬愛する指揮者だが、これは大して良いと思わなかった。音質も演奏も中途半端な気がする。資料的な価値はあろうが、ストコフスキーの名誉になるレコードとは考え難い。

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　2007/03/04

皆川先生に同調せざるを得ない内容。

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　2007/03/04

多少期待して購入したものの、カラヤンに特に思い入れのない私には、別段印象に残るものがない一枚であった。録音も余り聴きやすくはない。やはり、EMI時代のレコードは信奉者向けだろう。

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　2007/03/04

アリアーガ。名前はよく聞くが、実際にその音楽を聴くのはこれが初めて。先ず、マリナーの長所が最大限に発揮された演奏に魅了された。この人は、何故か稀に一流の指揮者に変身してしまうのだ。今回はその最たる例。そして、アリアーガ。純粋に美しい古典派の音楽だが、随所にロマンチックな哀愁が漂う。ただ、アマデウスよりはペルゴレージの再来というが似付かわしい印象を受けた。作品の出来栄えは、シューベルトの3.4番シンフォニー辺りに近いだろうか。楽想に大変な魅力がある半面、展開は素人耳にも未熟に聴こえる。

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　2007/03/04

私はシゲティの信奉者である。しかしこの全集は……何度聴いても大して感銘を受けた例しがない。如何せんアラウのピアノが鈍過ぎるのだ。そのせいだろうがシゲティのヴァイオリンも何時になく下手糞に聴こえる。録音も含めとても万人向けとは言い難いちょっと痛い全集だ。但し、一部のファンの間で名盤の誉れ高いのも事実。私は支持為かねるが。

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　2007/03/04

僕は、パネンカに惚れ込んでいて殆ど恋している。そして、スークをそれ程には愛していない。しかし、ここではスークが殊の他健闘している。やはり、大したヴァイオリン弾きだ。パネンカはどうか？ 何時も乍らの清廉さで無論素晴らしい。一番ソナタも聴いてみたかった。

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　2007/03/04

ロンドン交響曲：私はこういう演奏を探していたのだ！ 確かに、大味な響きで美感を欠くという向きもあろう。しかし、クレンペラーの録音が不完全燃焼に終わってしまった以上――それでも尚立派な演奏ではあったが、これ程の大演奏は最早他には望めまい。チェリビダッケ盤も壮麗だったが、私にはあの芸風、些か抹香臭く鼻に付く。 因みに、太鼓連打の方は凡庸な演奏に聴こえた。

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　2007/03/04

史上最高の春！ シューマンと言うと兎角、暗い、重い、病的と見られ勝ちだが、実際には、大変に色彩的で、両手一杯に夢や理想を抱えた熱情的な音楽である。だから、ミュンシュの様に、アンサンブルが崩壊する位まで燃えに燃え、且つ、颯爽とやらなければその真価は全く分からない。アーベントロートの超名演が最悪な音質でしか残されていない今、春の決定盤はミュンシュで決まりだろう。次点は、グットマン／ハノヴァーバンド。

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　2007/03/04

演奏内容としては悪くない。が、ミュンシュならばもっと、と言った処。何時も乍ら明快な棒で音楽的ではあるが、意外にこぢんまりとした仕上がりで弦にもっと厚みがあればと思う。特に4番は、カンタービレが不足気味の為淡々とした仕上がりとなっており、ミュンシュの明朗な芸風がやや悪い方に作用した観が否めない。シューマンが素晴らしかっただけに非常に残念。

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　2007/03/03

演奏よりも……眉目の方が数段いいかも。そうでなければ、そこまで騒ぐ程の才児であろうか。しかし、こういう青年がピアニストになるのは良い事だと思う。今日、芸術は大衆に開かれている。だから、大衆受けする人も少しは必要なのだ。外山君の健闘を心から祈る！