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独居人 さんのレビュー一覧 

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     2015/06/26

    最新リマスター(24bit/96kHz)のBlu-ray Audioを聴いてみた。
    デッカの超優秀録音をものの見事に現代に甦らせている。
    録音場所である St-Jude on the hill のホールトーンは芳醇で、内部の広さまでも見渡せるようである。
    2chステレオなのに、まるでサラウンド空間に身を置いているかの如く錯覚してしまうほどだ。
    合唱、演奏ともに最適なバランスが取られていて、耳ざわりが良く非常に心地よい。
    演奏自体も表情豊かで流れが良く当時の雰囲気を醸し出している。
    LPCMの方は色付けがなくナチュラルで奥行きが感じられる。
    Dolby True HD は一回り肉付きがよくなり、スケール感がアップしたように感じられる。

    CDの音質も単独で聴くと充分に満足出来るもので非常にクオリティが高い。
    しかしながらあえて比較すると、低域から高域までリニアに繋がるf特、滞空時間の長いホールトーンなどでBlu-ray Audioの方に若干のアドバンテージがあるだろう。

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     2015/06/18

    LSOの暗いイメージとニールセンの曲調があいまって地味な印象に終始したが演奏自体はオーソドックスで実直なものと感じた。
    音質はSACDはメリハリがあり明瞭でダイナミクスに富む。
    Blu-ray Audioはきめ細かくソフトなイメージで聴き疲れしにくい。

    mShuttleについてですが、ライナーノートより抜粋しますと、
    @ブルーレイ・プレイヤーをホームネットワークへと接続してください。(つまりルーターを通してPCとLAN接続すると言うこと)
    その時ブルーレイ・プレイヤーのBDLive(インターネット接続)がオンになっているか確認してください。
    Aブルーレイ・オーディオ・ディスクをブルーレイ・プレイヤーへと挿入して、ディスクが読み込まれたらスタートメニュー画面のmShuttle ボタンを押してください。
    (つまり最初に表示される画面の真ん中辺りにあるmShuttleと書かれた文字を選択してリモコンのenterボタンを押す。)
    BPCのウェブ・ブラウザーを開いて、ブルーレイ・プレイヤーのIPアドレスをタイプします。あなたはプルーレイ・プレイヤーのセットアップ・メニューでこのアドレスを見つけるでしょう。(つまりルーターのDHCPサーバー機能によって割り当てられたIPアドレス(192.168.〜で始まる)をブルーレイプレイヤーのセットアップメニューで確認してPCのウェブブラウザーのURL欄に打ち込みます。)
    Cブルーレイ・プレイヤーからPCへとダウンロードするオーディオ・ファイルを選択します。
    とまあ、慣れないとかなりややこしいですが、こうまでしなくとも簡単にファイルにアクセスできます。
    PCにBDドライブがついていればディスクを直接読み込ませてBD-REドライブ(LSO_NIELSEN)を右クリックで開いて、ROM_DATA>downloads>と階層を開いていけばお目当てのファイルにアクセスできます。
    (ファイルはDSD, FLAC 96/24, WAVE 44.1/16, mp3)

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     2015/03/13

    「君はそんなに眺める必要はないのだよ。私はこれらをすべて作曲したから。」
    第3交響曲の完成後に訪問したワルターがアルプスの風景に目を奪われているときにマーラーがそう語ったといわれている。
    文字通りアルプスの雄大な大自然の風景を余す事なく収めたのが交響曲第3番であり、マーラーの『アルプス交響曲』、もしくは『田園交響曲』と呼んでも差し支えないのではないか。
    標題音楽ではないが、かなり細かな注釈が付けられている事から考えてもそれに準拠する仕様と言えそうだ。
    第1楽章は峻厳な山肌、第2楽章は自然の草木、第3楽章は鳥や動物たち、第4楽章は大自然の
    創造主の視点、第5楽章では天使の歌声、第6楽章では夜の帳に覆われ始めた山々を表現していると思う。
    それにしても収録会場であるムジークフェラインの大ホールは残響が長いのに音が濁らない信じられない音響特性だ。
    もっとも、これはFARAOの技術力が大きく貢献している事は間違いない。
    Decca時代の録音(’78/LPO)と比較しても録音技術の進歩もさることながら、アンサンブルやより深い表現力において当盤が遥かに凌駕する事は疑い様のない事実だろう。
    フォーマットはDTSの方がより自然な臨場感を伴っていて、他方LPCM2.0の方は迫力において勝っている感じだ。

    マーラーの曲調においては『希望と絶望』、『愛と断絶』、『不安と平穏』と言う様な二律背反的、あるいはある種の分裂症的な感情を感じる事が多々ある。
    第5番においてもそれは顕著で、楽章ごとに対立的要素が配置されているようだ。
    第1楽章、第2楽章の不安感、第3楽章での喧噪から一転して第4楽章のアダージェットに身を委ねると、そこには桃源郷と言ってはばからない世界が出現する。
    永遠とも思えるエクスタシーが舞い降りてきてやがて苦悩に変わっていくがそれを乗り越えた後ある種の諦念に達する。
    天国と地獄を同時に見たマーラーは、いったいどちらに身を委ねていったのだろうか。
    フィナーレは総じて喜びと希望に満ちた世界が展開され、ここでも弦の響きが極上な美の響宴を繰り広げている。
    収録はバイエルン国立歌劇場で残響時間もダイナミクスも充分で、これらを余す事なく収録、リマスターしたFARAOの技術力は非常にハイレベルと言うべき他はない。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2015/02/07

    第1幕の前奏曲は速いテンポで始まる。
    洗練度を高めメリハリを付けつつ邁進する姿は迫力満点だ。
    反面第1場に入るとグッと引いて、サポートに徹している。
    歌手陣も絶好調で、更なる感情の高ぶりを伴いオケと呼応する。
    第3場のジークムントとジークリンデの掛合いは徐々に熱気を帯びていき、頂点へと達する
    第2幕の第1場フリッカ役の藤村実穂子も柔らかく伸びのある声で魅了する。
    第2場ではヴォータンの熱唱、第4場では緊張感に溢れたジークムントとブリュンヒルデの掛け合いだ。
    第3幕第3場ではヴォータン、ブリュンヒルデ共に調子が尻上がりに良くなっていく。

    メータは引くところは引き、押すところは押して神経の行き届いた演奏を聴かせてくれる。
    安定感重視のタクトで歌唱力を限界まで引き出している。
    音質はFARAOらしい解像度の高いものだ。
    第3幕第1場辺りのソプラノが重なり合う部分が若干気になったがその他は良好だ。
    5.0 DTS HD MA 24bit/96kHzではライブの臨場感に四方が取り囲まれる。
    2.0 LPCM Stereo 24bit/96kHz も基本的には同じ音質となる。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/19

    デッカの24bit/96Khz 最新リマスターを聴いてみた。
    個人的にはプッチーニを聴くのはメータの「トゥーランドット」に次いで2作目であるが、これまた予想外で驚かされた。
    まるでフォーレ、ラベル、ドビュッシー等のフランス印象派のように華麗で美しい管弦楽の響きだ。
    部分部分は彼らの歌曲集を聴いている様な気さえするほど。
    この耽美性はカラヤンならではのものだが、Blu-ray Audio化された事によって、さらにそのリミットが取り払われたかの様な印象さえ受ける。
    弦の高音域のレガート奏法を聴いてると快感中枢を刺激される事この上なく、緩急や強弱が多彩で華麗なるカラヤンサウンドに酔いしれてしまう。
    作・編曲面では管弦楽や歌唱はもとより「君が代」「さくらさくら」「星条旗よ永遠なれ」等のモチーフを見事に展開して作品の一部に昇華する手腕は見事だと思った。
    この引出しの多さは異常だ、プッチーニ恐るべし!
    私は声楽の事はよく分りませんが、絶好調である事は間違いない、多分!(笑)

    エンジニアはJames Lockを筆頭に、収録はゾフィエンザールで行われている。
    そのせいか長めの残響が効果的にウィーン・フィルの美音を引き立てている。
    LPCMは自然な感じでDolbytrueHDは柔らかく拡がり感を持たせてある。
    CDも一聴するとこれで充分かと思いがちだが、やはり解像度その他のきめの細やかさでBlu-ray Audio には及ばない。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/15

    デッカの最新リマスター (2CDs + Blu-ray Audio) を聴いてみた。
    そら恐ろしくなる重低音、美しく伸び切る高音、眼前で展開されるのは音楽を通り越したスペクタクルか?!
    まるでワーグナー、いやこの場合はマーラーでも聴いているかの様な異様な戦慄感だ。
    メータはこの作品にドイツ的な重厚さを与えている。
    私はイタリアオペラは全くと言って良いほど聴いた事のない門外漢ではあるが、この演奏の尋常ならざるエネルギーにはひれ伏したくなるほどだ。
    オペラ=歌謡的メロドラマといった先入観は見事に裏切られ、これほどまでに芸術性が高く又とない名演に出会えるとは、予想だにしなかった。

    音質もKenneth Wilkinson, James Lock, を筆頭としたデッカサウンドを象徴する名エンジニア達が担当していて、デジタル録音に勝るとも劣らない高音質を実現している。
    フォーマットは2.0 dolby true HD 24-bit/96Khzの方が音の拡がり方が大きく音質は柔らかめの音。
    対する2.0 pcm 24-bit/96Khzはもっと自然な拡がり方で音質はやや硬めか。
    CDの音は一聴すると派手で元気な音だが、やはり耳当たりがきつくて、さらには定位や低音にも若干不足を感じる。
    やはりBlu-ray Audio の方が上質な感じだ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/12/02

    このアルバムで初めてフルトヴェングラーを体験出来たと思う。
    今までのものは何だったのだろうかという想いを拭えないほど革新的な音質だ。
    元々音質の良さには定評があったのだが、期待に違わぬ仕上がり具合だと言っても良いだろう。
    Auditeのリマスターは細部を蘇らせるばかりか、当日の会場の雰囲気さえも蘇らせた。
    Tharaの初出盤を初めて聴いた時も大いに驚いたものだったが、今回の比ではなかろう。
    当時は音は良いのだが大人しい演奏だと思っていたが、そうではなくかなり熱のこもった演奏だったと気付かされた。
    逝去する3ヶ月前とは信じられないほどの気合いの入れようだ。(特にティンパニがこれほど大きいとは思わなかった。)
    この頃は病に倒れた後遺症で聴覚がかなり悪かったらしいが微塵も感じさせない演奏だ。

    国内盤のライナーノートの大村多喜子氏の手記も音楽祭の雰囲気を十二分に伝えてくれる貴重なものだ。
    それにしても・・・フルトヴェングラーは現実世界から遥か彼方へと聴衆を誘ってくれる。
    はたして彼に見えていたのはどんな世界だったのだろうか。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2014/11/04

    オタケンさん、N氏さん、ええ仕事しますなあ、これ本当にリマスターしてないのだろうか信じられないんですが。
    OTAKENのブライトクランクは「田園」でも驚かされたが、このヒンデミットも同様だ。
    何しろ低域から高域まで明瞭に再生してくれるのだ。
    これは原盤もさることながら、それをそのままCDへとデジタイズ可能なOTAKENの技術力の高さの現れでもある。
    それにしても演奏はフルヴェン流と言うか現代曲でもクライマックスでは気宇壮大なるところを聴かせてくれる。
    音質は第二楽章で盛大なティック音が入る箇所が散見されるが、後は極めて良好でプチノイズ、チリノイズは殆ど聴こえない。
    高音質アナログ盤をそのままパッケージングしたCDと言えるだろう。
    やはりこの時代の演奏はアナログ最強なのか?

    残るベートーヴェンとシュトラウスは疑似ステではないが、これも高音質な録音だ。
    せっかくAVアンプがあるので試しにサラウンドを薄く掛けてみた。
    おお!これはコンサートホールにいる様だ・・・ウフフ、癖になりそう。

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     2014/10/09

    ノルウェー軍音楽隊ということで、勇ましい音色を想像していたが、意外にもクラシカルで少々肩すかしを食った感じだ。
    (もちろん良い意味で。)
    その要因として考えられる事は、金管よりもむしろ木管に主体をおいているのではないかと思われるアレンジやミックスであろう。
    もちろん派手なシンバルやスネアを連打という行進曲もあることはあるが、シンフォニック及び室内楽風なアレンジの曲と交互にバランスよく配置されている。
    音楽隊は一流オケに引けを取らないテクニックを有し、そこへスコラ・カントールムの澄み切った合唱が絡むと天国的な空間が出現し、至福の時を過ごす事が出来る。
    フォーマットは【5.1 DTS HD MA 24/192kHz】で聴いてみた。
    サラウンドは全体を包み込む様なサウンドで、ホールトーンも美しく後ろからも結構な音量が聴こえてくる。
    音質は洗練度もここに極まれりと言ったノルディックサウンドで一切の濁りのない純音響を捉える事に成功している。
    さすがにPure Audio Blu-ray の提唱メーカーであり、その技術は最先端を行っていると断言出来るだろう。
    収録フォーマットもBlu-ray, SACD Hybrid, FLAC, mp3, と多岐に渡りこれでもかと言わんばかりのサービス度である。
    常に驚きを与えてくれるレーベルである。

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     2014/10/06

    初めて聴いた時は音が整理されていて、ずいぶん見通しの良いサウンドだと思った。
    テンポはさほど速いとは感じないが、独特の軽妙さがあり爽快感を演出している。
    と同時にWPOの弦楽セクションの恍惚とも言えるほどの美感を余すところなく引き出している。

    まずはBlu-ray audio の方から聴いてみた。
    LPCM (2.0 24bit/ 96kHz)は生々しい音色で迫力を感じる。
    対してDTS HD MA (5.0 24bit/ 96kHz)はフェラインザールのたっぷりとしたホールトーンに包まれ若干のソフトフォーカスになる傾向のようだ。
    両者ともに豊かなホールトーンを十二分に感じさせてくれる。
    実際にこういう音がするのかどうかは分らないが、わざとらしくならない程度の音場で好ましいと思った。
    特にLPCMはステレオでありながら、サラウンドではないかと耳を疑わせるほどである。

    音質としては低音域に若干の物足りなさを感じるが、逆にその辺りが独特の清涼感を醸し出しているなと思った。
    CDの音質も基本的にはBlu-ray audioとさほど変わらなく極めて優秀なものになっている。
    ただ、音の太さと拡がり感はBlu-ray audioの方に若干のアドバンテージがあると言えるだろう。

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     2014/10/06

    「水に映る影 」は遅めのテンポで控えめな表情で始まる。
    風や流れの変化で様々な表情を見せる水面の光の反映を充分に感じさせる演奏だ。
    最初は力強さが足りないと思ったが聞き込むうちにそれがかえって柔らかさや繊細さを高めている事に気付いた。
    「動き」では存分に楽器を歌わせて動的な雰囲気を表現。
    「花火」ではテンポもダイナミクスも目一杯動かして、夜空の祭典を表現している。
    【子供の領分】は時にはユーモラスに、時にはシリアスに語られるお伽噺を聞いている様な気になる。
    「月の光」は満月の降り注ぐテラスにて様々な想いに心を巡らせる、そんな情景が感じられた。
    「ハバネラ形式の小品」は伴奏に徹しながらも雰囲気作りに余念がない。

    音質は透明感のあるルームエコーがアンビエントな雰囲気を醸し出し、エスプリたっぷりな演奏を引き立てている、そんな印象を受けた。
    今後が期待されるアーティストである。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/09/15

    デッカの最新リマスターを聴いてみた。
    美しく漂う様な耽美的なピアノソロを後ろで支えるマッシブなオーケストラ、両者の息はピッタリ揃っている。
    プレヴィンは時にはアグレッシブに、時には静かに、寄せては返す波の如くアシュケナージをサポートしている。
    柔と剛、静と動、この対比が見事だ。
    フォーマットの違いはBlu-ray audioのPCMの方は脚色のないどちらかと言えば暗めの音、対するdolby trueHD は多少の煌びやかさとスケール感を伴った明るい音と言えるだろう。(両者とも2.0 24bit/96Khz)
    左右の定位感がもの凄く明瞭である反面、デッドなせいか奥行き感は余りない。
    CDは残念ながら音の透明度、明瞭度、定位等いずれも劣っている様だ。
    特にまずいのはベールが掛かったようにこもった音になっている。
    それはさておき、内容・音質ともに充実したセットとなっている。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/08/30

    重厚かつ緻密なベートーヴェンである。
    全体を通して後年のような颯爽として軽快なテンポ設定ではなく、もっと落ち着いたものである。
    カラヤン特有のスタイリッシュな音作りと、この時代のベルリンフィルの重厚な音質と、一糸乱れぬアンサンブルというファクターが奇跡的にブレンドされて、この超名演が生まれたのではないのだろうか。
    セッション録音とは思えないほどの熱気を感じさせるのは帝王への階段を登り詰めようとする者の情熱のなせる技なのだろうか。
    そしてその熱気を孕んだまま、リマスタリングによって最新の録音にも勝るとも劣らないBOX SETが完成したと言えるだろう。
    若き日のカラヤンに圧倒されるも良し、歴代の指揮者の残像に思いを寄せるも良し。
    CDの音質もかなり優秀なものでそれなりに楽しめるのだが、Blu-ray Audioの方が音のスケール感、臨場感、ナチュラルさ等で一歩秀でている。
    特に第九のソプラノ独唱では圧倒的にBlu-ray Audioに軍配が上がる。
    第九リハーサル(Blu-ray Audio)ではカラヤンの熱気溢れる音作りの姿勢が窺えて興味深い。(第3楽章ではしきりにレガートと言っている)
    最後に既出かもしれないがElsa Schiller (Executive producer)に向けたカラヤンの手紙をライナーより抜粋しておこう。

    「親愛なるSchiller殿
    本日、我々は9曲のベートーベン交響曲のレコーディングを完了しました。
    これはそのプロジェクトに関係していた我々全てが、あなたに誠実な感謝の意をこの機会に示したいと思う瞬間です。
    このプロジェクトを作成して進めたあなたの疲れを知らないエネルギーと、この仕事が今は完了したという事実に私たちは感謝します。
    私的な面では、これが私の芸術的な経歴で最もすばらしい瞬間の一つであったと言いたいです。
    我々が共に働いていた7年の間、他のすべてより優先してベートーベンの仕事で交響楽団と私がどれほどの愛と努力と共に繰り返し取り組んだかについて、あなたは御存知です。
    しかし現在の業績は、工業の特定分野それ自身に精通しているだけでなく、深い芸術的感性の男女のグループも含むあなたのレコーディング・チームと共にだけ可能でした。
    本当に重苦しい心で、1年以上の間公私を問わずに私たちを専念させたこの仕事を今日完了しまして、心からの感謝の意をあなたに、そしてDuetsche Grammophon Gesellshaftに表明したいと思います。
    深い芸術的な団結おいて
    敬具
    Helvet von Karajan」

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     2014/07/15

    CD1~6をまとめて収録したBlu-Ray Audio(96kHz/24bit)を聴いてみた。
    「英雄の生涯」の冒頭から当時のBPOの圧倒的な重量感溢れるサウンドにグイグイと引っ張られていく。
    若干の録音の古さを感じるのを禁じ得ないが問題にならないくらいに素晴らしい。
    「死と変容」は静寂の中から浮かび上がる弦楽や木管の音が美しい。反転してティンパニの強打から活力を増していき、やがて響き渡る鐘の音で終焉を迎える。
    「ツァラトゥストラ」はシャープな切れ味を持った導入部から徹頭徹尾スタイリッシュにまとめた演奏。
    「メタモルフォーゼン」は 絶望と希望が反復していくような内省的な雰囲気を醸し出している。

    Blu-Ray Audio、CD、共にリマスターされているのでそれぞれに高音質である。
    しかしながら、若干Blu-Ray Audioの方が、音の厚み・拡がり・透明度で上まっている様な印象を受けた。
    CD7~11も音の厚みや芯の太さから鑑みると当時としては信じられないくらいの音質で、むしろこのままでも何の不足も無い位だが、出来るならBlu-Ray Audio化を望みたいところだ。

    以上端的に感じた事は、若き日のカラヤンの野心溢れる演奏はシュトラウスの音楽に活力と方向性を与え、複雑な管弦楽法と流麗なスタイルが見事にマッチングしているという事だ。
    正直シュトラウスは聴き込んでいなかったが、入門用としても、往年のベルリンフィル、ウィーンフィルの音色を堪能するにも満足出来るBOX SET だと思った。
    ライナーノートもいろんな写真・資料が添付され、見ていて飽きないものだ。

    以下、英雄の生涯(1959)のプロデューサーの回顧録をライナーより掲載。
    【プロデューサーの回想 】(*訳注) 
    ”パリへの旅行の後、ハンブルグに帰宅したとたんに電話が鳴りました。
    それは私たちの制作の責任者であるElsa Schillerで、単刀直入に切り出して来ました。
    「明日ベルリンへ行き、ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラとヘルベルト・カラヤンのリヒャルト・シュトラウスの『英雄の生涯』の録音を監督することができますか?」
    カラヤン!
    私は彼がEMIと密接に関わっていると考えていたので、そのような機会を夢に見ることもできませんでした。
    幸運にも、私は既に個人的にマエストロと知り合いで、音楽を知っていました。

    そうして、そのセッションはイエス=キリスト教会で1959年の3月の朝に3日連続で行われました。*(3/2~3/4)
    そのようなテープへの複雑な作業に関わる諸問題は、ほとんど時間の余裕がない事を意味しましたが、オーケストラがとても見事に演奏したことを私は思い出します。
    振り返ってみるとこれは、カラヤンが戦争以来ドイツ・グラモフォンのために作った初めての、また1955年に首席指揮者に選ばれたオーケストラとの最初の共演のうちの1つで、真に歴史的な録音でした。

    カラヤンの独占契約のサインが私たちの「試険録音」に満足だったかどうかにかかっていると私は警告されていて、それは確かに録音チームを奮起させました。
    面白い事に、私がテープのための彼の賛同を得るためにウィーン国立歌劇場へ行った時、彼は会社との契約がどうしても欲しかったので、明らかに好印象を与える事を非常に切望するように変わっていました!
    独占契約ははるかに後になりましたが、彼はすぐにドイツ・グラモフォンとの協力関係を再開し、次に数えきれないほどの有名でベストセラーのディスクを作りました。
    不運にも私はカラヤンと、ほんのわずかな2つの更なる録音(リストの管弦楽曲)だけを作る事になっていました・・・しかし、それが人生です。 Hans Ritter (Excutive Producer)”

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     2014/02/20

    5.0 DTS HD MA 24/192kHzを聴いてみた。
    全くとんでもないディスクが現れたものだ。
    幽玄の中から響いてくる歌声が教会のホールトーンを伴い、文字通り時空を超越した空間へと誘ってくれる。
    柔らかく透明感のある理想的な音空間はDXD 24/358kHzのフォーマットで録音されている。
    聖母をたたえる賛美歌集だが、まるで誂えたように曲調が揃っている。
    グレゴリオ聖歌等の影響も窺えて、素朴で美しい曲集となっている。

    本来動画のない規格であるBlu-ray Audio ではあるが、本ディスクにはブルックナーの「アベ・マリア」のミュージック・ビデオが収められている。
    これはメニュー画面からのアクセスで鑑賞が可能だ。
    我が家の環境下では実行出来なかったが、mShuttle なる新機軸のシステムも搭載されており、これによりネットワーク上のPC経由でmp3, FLAC ファイルへのアクセスも可能となっているようだ。
    但しこれは普通にディスクのフォルダーを開いてアクセスする事も可能だ。
    SACDのハイブリッドディスクも同梱されているので、合計6種類のフォーマットで楽しむ事が可能となっている。

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