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村井 翔 さんのレビュー一覧 

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     2011/02/09

    BPO定期で大変感心したので、迷わず購入。ロッテルダム・フィルはBPOよりスリムな響きで、オランダのオケにも関わらず、フランス風の香りがある。指揮は両端楽章終盤などは大いに煽るし、特に終楽章のアッチェレランドはミュンシュも真っ青のスリリングな出来。しかし、結構醒めたところもあって、最後の猛烈な追い込みでも、木管楽器の「悲鳴」をちゃんと聴かせてくれる。終始力づくでガンガン行くというタイプではないのだ。ベルリオーズらしい特異なオーケストレーションの強調では、サロネンなどよりおとなしいが、第2楽章のワルツは優雅かつ華やかで、フランス系の血は争えないなと感じる。『クレオパトラの死』を歌うアントナッチはノーマンほどドスの効いた声ではないとしても、ガーディナー指揮の『トロイ人』でカサンドラを演じていたように、キャラクターとしては適役。オケの細密な情景描写も聴きものだ。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/09

    二年前のジンマン/N響との共演が断然良かったので、躊躇なく購入したが期待通りの演奏。ヒラリー・ハーンのように知的な解釈を表立てるタイプではなく、美しいヴィブラートとエスプレッシーヴォな歌い回しで聴かせるヴァイオリニストだと思う。もちろん速い楽章での技巧の切れ味も申し分ないが、ショスタコではやはり第3楽章パッサカリアとカデンツァが聴きもの。サロネンのバックアップも万全だ。「付け合わせ」の4曲も実にセンスがいい。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/02/09

    正直言ってナマ演奏には失望し、二千席のサントリーホールでやる音楽じゃないと思った。でも、このCDはいい。そしてザルツブルクで撮られた13番/20番のDVDの特典映像(インタヴュー)で内田が、できればホールではなくて、僅かなお客しかいないサロンのような所で演奏したいと語っていたのを思い出した。CDはまさにそうした聴き方にふさわしいメディアだ。非常に内向的な演奏で、かつての内田なら、もっとドラマティックに弾いた20番の第1楽章も外面的な起伏はかなり抑え目。第3楽章も決して音楽が疾走しない。その代わりに細やかなニュアンスが無限大にある。もう少し清澄で古典的なたたずまいの曲と見られがちな27番も、むしろト短調に傾斜しがちなロマンティックな音楽に聴こえる。

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     2011/02/09

    故ヴェルニケの演出が相変わらず見事。ゴテゴテしたもののないシンプルな作りだが、漆黒の闇のなかにエレクトラ=紺、クリソテミス=白、クリテムネストラ=緋色としっかり色分けされた人物達をスポットライトで照らしだすだけで、ドラマの骨格をしっかり分からせてくれる。女性たちは古代ギリシアと言ってもおかしくない衣装だが男性は皆、背広姿、特にエギストは歌劇場監督といった容貌だから、ガウンとして使われるナツィオナル・テアーター(ミュンヒェン)の緞帳と合わせて、ミケーネ王国の王位争いがオペラハウス内の権力闘争に置き換えられているようだ。とはいえ、そんなに読み替えを誇示するような舞台でもない。指揮は『ばらの騎士』より数段良く、緩急やタメを効果的に使うティーレマンのスタイルが曲に合っている。ただ一つ残念なのはリンダ・ワトソン。バイロイトの『指環』でもブリュンヒルデを歌っているから、指揮者のお気に入りらしいが、ベテランゆえの手堅さは買えるとしても、ニルソンは言うに及ばず、マルトン、ポラスキ、シュナウトら近年のエレクトラ歌いと比べても明らかに落ちる。他のキャストはすべて問題ないが、主役がこれでは、このオペラはまずい。

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     2011/01/18

    『グレの歌』は演奏風景の見映えのする作品で、ブーレーズやウィッグルワース指揮の映像を見たことがあるが、市販ソフトはこれが初のようだ。ガスタイクの舞台を埋めつくす超巨大編成のマンモス・オーケストラを見るだけでも壮観。指揮は手際よく数百名の大所帯をまとめていて、さすがにうまい。さらに表現主義的に、シャープに振る余地もあると思うが、これはこれで良いと思う。CDではかつて同じオケを振ったクーベリックの路線につながるドイツ・ロマン派風の解釈だ。サロネンのCDに続いて登場のアンデルセンは、ややリリックな声だが、難役ヴァルデマールを破綻なく聴かせて立派。藤村美穂子も堂々の貫祿だ。しかし、ヴォイトは相変わらずドイツ語のディクションが改善されず、トーヴェはそんなにドラマティックな声を要するパートでもないのでミスキャスト。映像は素直に演奏会を収録したもので、変な工夫は何もなし。画面に歌詞は出せないが、これもまた一つの見識だろう。

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     2011/01/17

    快進撃とどまるところを知らぬユジャ・ワンを中心に、2009年のヴェルビエ音楽祭での演奏を集めたディスク。まず、ボーナストラックでの『ペトルーシュカからの3楽章』が圧倒的。冴えたテクニックもさることながら、超絶技巧曲ゆえに打楽器的でむしろ単調になりやすいこの曲に、硬軟自在のニュアンスを盛り込んでゆく手腕は驚異だ。CDでは「どうやってこの音を出したのか」と思っていた箇所も映像を見て納得。このリサイタルでユジャ様は他にブラームスのパガニーニ変奏曲、ショパンのソナタ2番を弾いているので、全体の映像があるのなら、何をおいてもそれを出すべき。メモリアル・イヤーのメンデルスゾーンではピアノ協奏曲第1番が快演。冒頭から凄まじく攻撃的な演奏だが、叙情的な部分での柔らかいニュアンスも美しく、指揮者のマズアが演奏中に叫んだりするので、ノイズは結構多いが、全く気にならない。この曲は名曲なのに、いい録音がなく残念と前から思っていたが、(なぜかまだ市販されない)ライプツィヒでのラン・ラン/シャイーの演奏と共にいい映像が二つ揃った。老匠マズアと若い祝祭管弦楽団(第1ヴァイオリンが9割方、女性なのは驚き)による『スコットランド』も悪くはないが、実はこれはオマケに過ぎない。

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     2011/01/17

    カーペンター版のみならず第10番5楽章版全体でも最初の市販映像だと思うが、「見て聴く」ことによる発見が多々ある。明らかな傷は修正できるとしても、シンガポール交響楽団の演奏力はなかなかのもの。在京オケを凌ぐほどだし、特に管楽器のソロが巧いのは大きなアピールポイントだ。この曲、特にこの版ではもっと表現主義的な演奏の余地もあるが、指揮者のインタヴューによればカーペンター版特有のどぎつい色彩を抑えようとしたとのこと。ジンマン同様、「草食系」の印象だが、緻密さではジンマンに及ばないとしても、緩急の起伏を大きくとった両スケルツォや終楽章アレグロ部の表出力はこちらの方が上かも。ただし、指揮者とソロ楽器の重ね合わせなど、ひと昔前のNHK演奏会映像みたいな古臭い、説明的な絵の作り方は、現代音楽の『五行』ならともかくマーラーでは買えない。せっかくの意欲的なディスクも絵の作り方のまずさで一点減点。

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     2011/01/15

    マッティラのサロメは歌、演技、踊りともに彼女としては最大限の熱演だと思う。指揮は凡庸だが、他のキャストも悪くない。にもかかわらず、ひと昔前にタイムスリップしたような印象を受ける舞台。1980年のウィーン国立歌劇場来日公演ではレオニー・リザネックとカラン・アームストロングがサロメを演じ、アームストロングは自分で踊ったが、リザネックの方の踊りはスタンドインだった。サロメの演技はリアリティのない学芸会的なお芝居で仕方ないのだと当時は思っていたが、その後、キャサリン・マルフィターノ、ついでナディア・ミヒャエルの時代になり、このオペラの舞台は少なくともヨーロッパでは全く様変わりしてしまった。日本でもペーター・コンヴィチュニーを演出に呼んで『サロメ』をやろうという時代。「世界に冠たる」メトもこういう演目に関しては、完全に「ガラパゴス」化してしまったなと嘆かざるをえない。さらに言えば、ライブビューイングの録画が既にハイビジョンで放送されている演目をDVDで出すのは、もう止めたらどうか。画質が劣るのは明らかだ。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/09

    ユダヤ人で身長が低いという自分自身のコンプレックスをそのままオペラの題材選択に反映させてしまうなんて、考えられないセンスだが、私はむしろそこにツェムリンスキーのしたたかさを見る。『こびと』はやはり断然面白いオペラだ。この作品は演出家ドレーゼンが台本を少しいじって『王女様の誕生日』というワイルドの原作通りの題名でも録音されていたが、今回は元に戻されている。「次のプレゼントは心(心臓)のないのにしてね」という王女様の決めゼリフがなくなったのは寂しいが、逆に障害者(奇形者)差別に配慮して除かれたきついセリフは復活した。演出はベラスケスの名画『ラス・メニーナス』を最初と最後の額縁に使う以外は、さしたる工夫もなく写実的だが、17世紀スペイン宮廷の栄華をしのばせる豪華なセット。黒人テノールのディクソンは熱演。背中のコブはリアルに作られているが、かつてのリーゲルのように膝をついたまま歩く芝居はしない。王女のダンリーヴィーも(彼女の容貌に合わせて12歳ではなく18歳の誕生日に設定変更されているが)見た目は申し分ない。ベテラン、アンソニーのギータが善人なのは救い。ツェムリンスキー・ルネサンスの立役者の一人であるコンロンの指揮も良い。
    一方、『壊れた壺』はドイツ演劇史上、希少な傑作喜劇であるクライストの同名作品のオペラ化。抱腹絶倒、面白い。

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     2011/01/06

    三ヶ月のうちにブルックナーの全交響曲を(完全に番号順ではないが)だいたい年代順に演奏してしまうという、なかなか大変なプロジェクトの記録。9番だけはNHK-FMで放送されたことがあり、エアチェックテープを引っ張りだして、同一の演奏であることを確認した。指揮スタイルはVPOとのマーラー全集とほぼ同じ。遅いテンポで細密に作っていくが、バーンスタインのような情念ドロドロにはならず、クールさを失わない。考えてみれば、このスタイルはマーラーよりもむしろブルックナーにふさわしかった。チェリビダッケやヴァントのような一家言を有するブルックナー指揮者ではないとしても、5、7、8、9番はやはり堂々たる名演。特に正規録音が他にない9番の巨大なスケールは圧倒的だ(本人はまだまだ元気そうなので、ミュンヘン・フィルと録音するかもしれないが)。録音が万全とは言えないのが惜しまれるが、ハッタリやケレンだけがクローズアップされがちなマゼールも「根」のところでは実に優良な音楽家であったことが分かる。

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     2011/01/06

    ブルックナー・ファンの皆さんの顰蹙を買いそうだが、実はCSO、BPOとの全集ともに大好きだった。CSOとの8番、BPOとの5番などは本当にいい演奏だったと今でも思っているし、バレンボイムのブルックナーの特質は「フルトヴェングラー風」うんぬんよりも、むしろ世界屈指の機能的な両オケを擁してのモダンな切れ味の良さにあったはず。ただし、BPOとの8番のように明らかな「不発」の演奏もあって、それは客演ゆえの限界かとも思っていた。さて、そこで今度は文句なしの手兵を起用しての三度目の全集録音第1弾。年齢から言って「巨匠」風であるのは少しもおかしくないし、終楽章で第1楽章の主題が戻ってくる「総括部」など、堂々たる幅広いテンポだが、あまりにも泰然自若とし過ぎている。4番に関しては、もう少しアグレッシヴであっても良かったのではないか。むしろ若い頃のバレンボイムが懐かしい。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/05

    アバドと4番との相性は良いと一般には思われがちだが、私はこの曲を悪魔的なパロディ交響曲と考えるので、VPO、BPO盤ともに物足りなかった。しかし、マーラー・ユーゲント・オーケストラとのDVD、さらにこの演奏は素晴らしい。ルツェルンのオケが巧いのは当たり前だが、アバドの解釈自体が確実に進化していると思う。かつての小綺麗なだけの録音に比べると、ポリフォニックな彫りが格段に深くなり、ホーネックのCDに比べればまだ穏健だが、必要とあれば汚い音やドギツイ表情を持ち込むことも辞さなくなった。加えてコジェナーの歌の見事なこと。最近の彼女はブーレーズ指揮の『角笛』歌曲集、ラトル指揮の2番(近日発売)とマーラーでたてつづけに名唱を記録しているが、重くはないが陰影のある声は終楽章にまことにふさわしい。この楽章はフレミングのようなソプラノが歌うと白痴美的になりがちなのだ。リュッケルト歌曲集もシェーファーのように微視的な歌唱ではないものの、実にニュアンスが濃い。

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     2010/12/06

    カーペンター版三つ目の録音だが、非常に丁寧かつ緻密に演奏されていて、文句なしにこれまでで最高の出来。ラン・シュイ指揮によるDVDと併せて、クック、マゼッティに比べて録音に恵まれなかったカーペンター版の復権にふさわしい。この曲の補筆版にパーフェクトなどあろうはずもないが、私はどちらかと言えばクックよりもカーペンター、マゼッティの路線を買っているので、これは二年続きのマーラー・イヤー最大の成果の一つと言える。クックに比べて第1スケルツォのテンポ指定が遅いこと(カーペンター版では全体がほぽレントラー)、逆に終楽章終結部はクックのアダージョに対してアンダンテ・コモド(つまり第9の第1楽章と同じで両交響曲が見事に対をなすことになる)であること、そしてもちろんオーケストレーションが遥かに厚いことなど、この版の特徴は漏れなくとらえられている。第9までの、このコンビの冴えない演奏も、この第10のための慣れ、布石だったと考えれば、許してあげましょう。

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/06

    ピリオド・スタイルによるシューマン交響曲にはガーディナー、ダウスゴーと既に良いディスクがあったが、さすが本命と言うべき演奏。管楽器にトロンボーンが加わるゆえ、ベートーヴェンよりは編成を大きくしていて弦は10/8/6/6/3だが、やはり格段の解像度。『ライン』の第1楽章など壮大な曲想にもかかわらず、内声部はチマチマと動き、しかも3拍子という指揮者泣かせの楽章だが、各声部が手にとるように聴こえる。確かにテンポは速いが、ジンマンのように単に「軽い・薄い」だけではなく、終楽章ではバスの強調、リズムの弾みを加えてマッシヴな迫力もある。『春』はちょっと前に出たルイージ指揮のロマンティックな演奏が忘れがたく、それに比べるとややドライな印象だが、スケルツォ末尾(終楽章への接合部)や終楽章のカデンツァでは、思わず唸らされるような譜読みをみせる。今回はいわゆるピリオド楽器は用いないし、東京でのナマ演奏ではホルンを5にするなど、もはや杓子定規なピリオド・スタイルではない。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/30

    はじめて名前を聞く指揮者、団体の演奏だが、まぎれもなく掘り出し物。弦はかなり小編成で(この種のディスクには珍しく、メンバー表がないが、8型ぐらいか)、機動力に優れている。必要とあれば絶叫することも辞さないが、小編成かつヴィブラートを控えたために、pやppの表現域が広がり、静謐な部分がきわめて印象的になった。第1楽章「深き淵より」から一貫して音量抑え目で、他に例のない感触だ。曲の一つのクライマックスである、十二音技法で書かれた第7楽章「ラ・サンテ監獄にて」はヴェーベルンのように一音一音が実に重い。二人の歌手ももはや従来の歌という感じではなく、(録音ならではの)ささやき声から絶叫まで、まさしくシュプレッヒシュティンメの幅広い表現を自在に駆使する。なお、日本語解説に付けられた「解題--ショスタコーヴィチの『シンフォニア・ダ・レクイエム』」は力作。フランス語または英語に自信のない方は、日本語解説付きをお勧めする。

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