トップ > My ページ > kamescian さんのレビュー一覧

kamescian さんのレビュー一覧 

検索結果:20件中1件から15件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/07/29

    いやあ、聴きました。ショスタコの新譜は最近多いし、ヴァシリー・ペトレンコやアンドレイ・ボレイコで十分楽しんでいて、ネルソンスも一応買ってはいましたが、先行する5、8、9番はまだあんまり真剣に聴いてません。しかし、大好きな4と11というカップリングということで、集中して聴いてみました。他のレビュアーの方が書かれていますが、この4番は本当にすばらしいと思います。ペトレンコやボレイコの演奏も良いですが、BSOの技量とメジャーレーベルの技術もあるのか、この難曲をここまで演奏されるともう何といって良いやら。緩急のつけ方、音色のバランス,アンサンブルの精度、どれも凄いです。しかし、何といっても終楽章の最後、明らかに心臓の鼓動のようなドッドーン・ドッドーンというハープとティンパニのリズムを、これほど明確に恐ろしい「歌」のように呈示した他の演奏を知りません。現代の演奏ですから、瀕死の病人のヴァイタルデータのグラフィックスを見てるような感じがしました。いや、すみません。こういう安易なイメージ喚起はいけませんね。でも、つい感じてしまったもので… 非常にテンポを落としてこのエンディングに入って行くので、ライブで聴くと感動というよりも苦しさを感じるかもしれません。これほど終わってすぐにブラボー野郎に叫ばないで欲しい音楽もありません。11番も緩急の変化による表情づけに工夫を感じる演奏ですが、私にはちょっとコントラストの付けすぎのように聴こえました。しかし、2楽章の例の虐殺シーンの、恐ろしいバスドラ、これがはっきりと主役を張っていて、あのドス・ドス、ドス・ドスが、やはり死に神の「歌」のように聴こえるのです。3楽章は「歌」そのものですから当然すばらしい。ネルソンスは歌の人なのですね。でも、11番は、録音も4番ほどではないようにも聴こえ、解釈の詰めもまだ余地があるような気がして、4番は星5つ越えですが、私的には星3つ半です。うーむ、ブルックナーも聴いてみよっと。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/04/10

    まあ、とにかく全編ヴァイオリンの至芸、音の宝石である。脂の乗り切ったコーガン、アメリカ演奏旅行中の全盛期RCAリヴィングステレオのセッション録音なのだが、どの曲を聴いても本当にため息が出るほど素晴らしい。またムイトニク(ミトニクと表記されているが)の伴奏がまた、なんでこんなにうまいのか、とまた一曲ごとにため息が出てしまう。これ以上息の合った伴奏があるのだろうか。ヤンポルスキーとか、ムンチャンとか、このムイトニクとか、メロディアでもソロ録音がほとんど(全然?)ないのだが、ソロでも是非聴きたかったピアニストである。このあたりにもロシアピアニズムの奥の深さがうかがえる。お値段も嘘みたいに安いし、ヴァイオリンの好きな人には是非聴いてほしい、これは超絶名盤!

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/21

    うーん。これは本物かもしれませんね。期待大です。まあ、このぐらい弾ける人は今では珍しくないのかもしれませんが、やたらとブリリアントに鳴るホロヴィッツの弾いていたピアノを弾きこなせているのですから、若さゆえの少し未熟なところがあるにしても、この上もなく良い録音のせいもあり、ピアノファンで、リストが嫌いでない人なら、存分に楽しめると思います。超絶技巧練習曲の2曲と、緩やかなテンポの叙情的な曲の出来栄えが特に良いと思いました。モスクワ音楽院主席入学って、やはり大した者なのでしょう。ヴィルトゥオーゾ・ピアノの本場で奥義を極めてもらいたいですね。ビゼー=ホロヴィッツのカルメンも、なにしろご本家と同じピアノを弾いているので、結構来てます。ユージャ・ワンとかもやってますが、この曲はやはりご本家のあの狂気じみた響きが最高ですけどね…

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/04/08

    ピアノの20世紀のエルドラド、ロシアが放った最終兵器、グリゴリー・ソコロフの、まさかまさかのDGデビュー盤、ちょっと間を置いて買いました。いやあ、これは、DGに感謝感謝です。まさに神の領域! ちょっと言葉がないほどの感動です。モーツァルトもショパンもスクリャービンも草葉の陰で喜んでます! モダンピアノのダイナミクスをフルに表現に生かすのは16歳のデビュー当時から変わらない彼の特徴ですが、まあ、年輪を重ねて、本当に凄い高みに到達してしまったようです。ショパンのプレリュードはソ連時代のもの、Opus 111(今はnaive)のものと比べても、さらに「自分の音楽」として深まってますね。リリースOKしたこのリサイタルは本人としても絶好調だったのではないでしょうか。6曲も弾いたアンコール、トリルの決まりっぷりはかつての録音では聴けなかったすばらしさです。最後は、タルコフスキーの「惑星ソラリス」で再生した亡妻が無重力になって浮かび上がるあの感動的なシーンで流れる、バッハの「われ汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」ですが、ホントに泣きそうになりました。これはこれは、全ピアノファン必聴かと思います。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/04/07

    とにかくすばらしい1枚です。この人の名前、日本語表記では「グーラリ」だったり「ゴウラリ」だったり「ゴラーリ」だったりするので、アーティスト検索がやりにくいですが、本当はどう発音するのでしょうか? それはさておき、ECM第2弾のこのディスクはすばらしいです。「束の間の幻影」はゲンリヒ・ネイガウスの名演がいちばんよろしいでしょうが、最新録音のCDでこの曲を聴きたいなら、他の演奏はあまり知らないのですが、これがベストかなと思うほどです。メトネルの「おとぎ話」1曲を介して音楽史を遡るようにショパンの3番です。こちらはいくらでも名演が他にあるので、それほど集中して聴いてませんが、ロシアものの前半に聴き劣りするような演奏ではありません。「束の間の幻影」が気になっている人には特にお勧めです。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/11/23

    すばらしいです.ペトレンコの全集,この4番の出来が良ければ,決定版になるだろうと思っていましたが,残りの13,14を待たずとも決定版全集といっても良いのではないでしょうか? もちろん13,14にも期待してますが.この4番の演奏,とくに新しいアイディアがあるようには聞こえませんが,とにかくアンサンブルの完成度が高い.弦がゴリゴリとリズムを立てるような弾かせ方が強いので,それが過剰に思われる人もいるかもしれませんが,サーカスのように入れ替わり立ち替わりする様々な楽想のすべてを細部に至るまで明晰に描いています.どんなに静かな経過部も響きに一定の緊張があって,表情を失いません.またRLPOというオーケストラはペトレンコのもとで明らかに腕を上げていると思いました.今回は木管セクションの美しさに耳を奪われます.とくにピッコロの奏者にBravo を贈りたい!

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/09/18

    昔から,といってもおじいさんではないので,SPのリリース当時からではなく,国内盤LPのGRシリーズから聴いている演奏ですが,最近リッピングしてPC audioで聴き直してます.まあ,なんと素晴らしいのでしょうか.30年代の電気録音ですし,コルトーはSP時代のスーパースターピアニストなので,当時としては最高の録音で,プレイエルのピアノなのだな,と感じとれる音で聴けました.ミスタッチ連発でよくもこれだけ間違えまくるな,とも思ってしまいますが,今の感覚からすると驚くべきことに,コルトーは,「あ,やっちゃった!」とはまったく思っていません.こんなに間違えているのに,「ピアノが演奏者の楽器になっている」度合いは,現代の名手よりも上なのではないでしょうか? ただただ一分の隙もなく音楽です.ワルツではシャンソンみたいな34-2がたまりません.バラードは4番は他にも素晴らしいものがありますが,1,2,3は圧倒的な名演です.若い人もぜひ聴いて下さい!

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/04/27

    いやいやいやいや,凄い天才の誕生でございます.震災前の平日,休みで遅く起きた私はテレビを点けNHK-BSのN響演奏会で彼の指揮するマンフレッドを聴き,ぐいぐいと引き込まれ,指揮台に立つイケメン男にすっかりやられてしまいました.そこでHMVを覗いてみると彼のショスタコ全集が進行中.皆さんのレビューでは相当良さそうではありませんか.そこで続けざまにポチポチッと5,9,8,10と注文.聴いて驚きました.5,9は完璧とは言えませんでしたが(とはいえ素晴らしいですが),8,10は驚異的です.この指揮者は稀に見る逸材ではないでしょうか.単に「将来有望な若手」などというレヴェルではありません.響き,テンポ,音色の配合等々,交響楽のあらゆる語彙に通暁し,それらを思うままにコントロールできる驚くべき能力です.オケに自分の鳴らしたい音をほぼすべて実現させ,完全に自分の楽器にしてしまっています.この才能はグイード・カンテッリとか,カルロス・クライバー級かもしれません.YouTubeで2013年から首席に就任するオスロフィルで彼のチャイ5が聴けますが,何だか大変なことになってます.カッコ良すぎて,ちょっと胡散臭く見えるほどですか,向こう何年かで楽壇に君臨するクラシック界の王子となるのでしょう.まだ録音は殆どがお国ものですが,ベートーヴェンやマーラーなど王道ものでどんな演奏をするか,まずは楽しみです.

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/30

    2010年はショパンイヤーということで,やたらとショパンのディスクを買いまくった私ですが,年末ぎりぎりに手に入れたこの盤,本当にすばらしい内容でした.コロリオフのマズルカとか,ハフの後期作品集とか,アリス=紗良・オットのワルツとか,シウィタワのフォルテピアノを弾いたプレリュードとか,どれも良かったのですが,このケフェレックが私的にはショパンイヤーのベストディスクです.超一流の演奏家の円熟期の名演奏がこれ以上ない形で理想的に収録されたディスクです.Mirareというレーベル,シュー・シャオ・メイのハイドンを持っていて,なかなか気に入っているのですが,アーティストを尊重する良いレーベルなのでしょう.このケフェレック盤も録音が半端でなくすばらしいです.優秀なエンジニアがしっかり時間をかけて良い仕事をしている感じです.柔らかい音にチューニングされたピアノで,全体にゆったりしたショパンですが,どの曲もケフェレックとして100パーセント練り尽くされた演奏で,ながら聴きでかけていても,スピーカーの前に腰を下ろしてじっくり聴入ってしまいました.全曲見事な出来栄えですが,とくに子守歌が最高です.長く売れ続けて,多くの人に聴いてもらいたい名盤です.

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 16人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/12/30

    まことに感動的な絶美の演奏です.ライブでこれだけの内容のものは滅多にありません.熱く燃える演奏ではなく,非常に落ち着いたマーラーです.また録音が極上といって良く,下手なスタジオ録音よりずっと良いです.といって最新録音ではありませんから,装置がそれほど高級品でなくても楽しめるでしょう.ジュゼッペ・シノーポリ,少しずつ名誉回復が進むことを切に願っています.80年代にデビューし(70年代の現代物もあるけれど)飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍,ウィーンフィルとのシューマンの2番や,フィルハーモニアとのマーラー全集のリリースのなかばあたりまでは音楽ジャーナリズムもこぞって大絶賛し,日本では東京芸術劇場でマーラー全曲演奏や,なんとバイロイト引っ越し公演までやった彼でしたが,たぶんそのバイロイト引っ越しあたりから,これは推測ですが,世界の音楽ビジネスを牛耳る最上層の方々(ユニバーサルクラシック?)となんでしょうか,どうも「何か」あったらしく,90年代なかばからは,それまで絶賛していた日本の影響力のある批評家たちも(全員ではないが大半が)雑誌の名盤推薦欄から彼の盤を外し,「音楽の流れが不自然」とか「歌手はすばらしいんだけどどうも聴いているとしんどくなるねえ」などと貶しまくり,そんな風潮に煽られたのかSKDのファンには「シノーポリは踊っているだけで,実際の指揮者はコンマス」とネット上に書く人が現れたり(まあそれは自由ですが),日本の老舗レコード雑誌には世界の楽壇最上層部にいる(?)お二人の指揮者「ラ:『シノーポリは危険な道を進んでいると思いませんか?』ブ:『彼は昔は優れた作曲家だったが,今では単なる夢想家と化している』」などという対話が載ったりしたものです.同じ出版社のコンサート雑誌にも彼の来日時表紙写真とインタビューも載っていて,楽しみに読もうとすると,記事の冒頭に「こちらから何も聞かないうちから喋り出すシノーポリ」などと,みょうに悪い印象を植え付ける言葉が載ったりしました.悲劇的な死のあとも,特集記事など一切組まれず,この組織的なバッシングのよーなものこそ減りましたが,どうもネグレクトは続いているようです.かわいそうなジュゼッペ! だいたい名指しである指揮者がジャーナリズムで叩かれたりする例などかつてあったでしょうか? ブリリアントに売りに出された彼の音源を聴いて,彼の現役当時を知らなかった若いファンも少しずつ生まれているようです.良いことです.というわけで,すばらしい当盤も若いマーラーファンにぜひ聴いていただき,新たなシノーポリのファンになってほしいと願う私です.

    16人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/01

    このXRCD24はむちゃくちゃ音良いです。リリースが遅かったからオリジナルテープが傷んでいないのか、プレイヤーたちの若さが迸るような音です。Blue Note 音源でダブっているものはないようですが、Analogue Production のSACDよりも良いかもしれません。あちらも大変良い音ですが,ほんとに生々しくヴァン・ゲルダーのスタジオの音を届けてくれます。ある程度以上のデジタルシステムを持っている人なら、並のアナログよりも良い音を簡単に手に入れられるでしょう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/07/20

    うーん,強烈です.これほどレヴェルの高いリストを聴いたのは初めてです。たぶん,50年に一度とか,100年に一度のレヴェルでしょう.ハフはカトリック教徒らしいのですが(選曲からもそれが伺えるような),ちょっとあやしい気もするリストの宗教性に真摯に向き合っているのでしょうか,静かなところの美しさは比類がありません.「鳥に説教するサン・フランチェスコ」など,この演奏を聴いて初めて曲の真価がわかる,と思う人も多いことでしょう.「ダンテを読みて」は100点など不可能なほどの超難曲に聴こえますが,僭越ながら98点ぐらいはあげたい.単なる技巧の大見本市みたいじゃなくて,(音楽そのものにはなんだかあやしい感じも残りますが)リストの芸術性が余すところなく伝わってきます.決まるところは完璧に決まり,モダンピアノの88鍵がその100%のダイナミクスを解放するのですが,エグくなったりくどくなったりしません.拍手!! 生で聴いてみたい!!

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 10人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/20

    誰もレビューを書いていないので書きます.ヴェデルニコフのベートーヴェンは後期のものはピアノの状態が悪いなどのハンディはあるものの,いずれも最高の名演奏です.私はこの中期のものが一番だと思います.「ハンマークラヴィーア」も良いですが…まず「自作の主題による32の変奏」が凄い!ショスタコのソナタ1番と並ぶ名演奏です.一気呵成と言うのか,埃一つ寄りつくことができないような,まっしぐらのベートーヴェン! もうあまり「悲劇の巨匠」として聴きたくはないですが,なんというか,これほど音楽の軸を一瞬たりとも離さない人は聴いたことがありません.何をそこまでと思うような強い演奏! 音楽と演奏の間に夾雑物を感じないという点ではリパッティと双璧でしょうか.リパッティは自然にそう出来てしまう天才だと思うのですが,こちらはやはり意志と修練によるものでしょう.ヨガの訓練によって演奏中ほとんど呼吸していないような気がします.32の変奏が終ると,もうどこまでも真っ暗の森のど真ん中で遠く月を見上げるような「月光」の1楽章が始まります.録音のせいもあるのでしょうが,この出口のないような暗さはクン・ウー・パイク(良い演奏ですけど)の比ではありません.あまり頻繁に聴くべきではありませんが,忘れないでほしいディスクです.

    10人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/20

    らぷとるさんのレビューのとおりです.ほとんど超能力のような演奏.ショスタコのソナタ1番のハイヴォルテージでテクニック全開になるところももちろんですが,静かになる時の暗い暗い響き!! 2番の3楽章冒頭,一匹の蛍が真っ暗な何もない夜に消えて行くようなの右手のメロディー! 作曲家と同じ国・同じ時代にして天才演奏家のみになしうる奇蹟です.どんな曲であれ音楽にこれ以上の確信をもって臨んだ例があるのでしょうか? 喩えようもなく哀しく,それでいながら情緒に流れる要素が全くありません.それがこれらの演奏の怖いところです.まあ,幸福感は皆無です.for the unhappy few のディスクでしょうか.ヴェデルニコフの演奏では,これとベートーヴェンの中期ソナタのものが一歩抜けているかな,と長年聴きつづけての感想です.カレトニコフのソナタも良い曲です.

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/06/05

    うーん,すごい!! 以前にも聴いたことはあったはずのこの演奏ですが,間違いなく一聴に値する超名演です.1楽章では金管の強奏が過ぎる気がしますが(というか,ビラビラ〜とビブラートがかかるとやはり違和感がある),このコンビの途方もないダイナミックレンジを捉えきるのは至難の業でしょうから,クリアな録音であるとは云え,完璧な収録ではないせいだと思います.レニングラードのホールはオケの後ろに音が逃げるようで,トランペットの強奏時に低弦が弾いている場合,バランスがどうしても崩れるようです.あと,オーボエはソ連では良いリードが手に入らなかったとかで音が硬い.ですが,この弦楽の恐ろしいまでに広大な幅の表現は何なんでしょうか!これ以上考えられないほど統御されたアンサンブルです.音の立ち上がり立ち下がりの速いことといったら,とても人間業とは思えません.2楽章はちょっとバレエ音楽みたいですが,決してこの曲の精神性を損なうようなものではありません.収録日が違うらしい3楽章は特に素晴らしく,掘りの深さは極大です.厳しい自然を体験したような,あっという間に聴き終ったブル9でした.

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:20件中1件から15件まで表示