トップ > My ページ > no music no life さんのレビュー一覧

no music no life さんのレビュー一覧 

検索結果:46件中1件から15件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2022/02/25

    自分が高校生の時に初めて出逢ったフルトヴェングラー指揮EMI盤1951年バイロイト祝祭管弦楽団の「第9」。その時の興奮は今も忘れることなく私の中に決定的な何かを遺し現在に至る。あれから30年以上、演奏としてはなんと70年が経ち、ようやく今、本物のライブ録音が化粧無しの生々しい姿で甦り登場した。
    再生装置によって印象が違うかと思うが、私はSONYのNW-S14でノイズキャンセリングをかけ、記録されたすべての音を漏れなく拾い堪能することにした。
    結論から申せば、このBIS盤の演奏の唯一無二の価値は、2点。
    1点目はノイズを含め、一切の編集をしなかったこと。これの何が凄かったかというと、高音域に多く存在するノイズがカットされずに残った部分に、音の最表面に生じるエッジ、力感、感情の発露(言葉でいう子音の摩擦音のようなもの)と言った演奏の魂の「尋常ならざる部分」が一緒に混ざっていたこと。これが演奏全体に明らかに生気を与え、例えば第1楽章再現部の盛り上がりの迫力は、他を圧しているし、金管楽器の咆哮も狂気の沙汰で壮絶な魂の叫びを伝えている。第3楽章や第4楽章のVnの温かく艶っぽい表情も、非常に肌触りが生々しい。そしてダイナミクスも例えば第1楽章の出だしの最弱音が、あれほど宇宙の彼方で鳴っているような微かな音量で始まり、cresと共に巨大に膨れ上がり爆発する、あの部分をちゃんと再現したのは、数多くの彼の第九の中でもこの盤だけではないかと思う。ノイズカットがかかると、どうしても少し音像が奥まって聴こえ臨場感も失われる部分は否めない。
    2点目は登場シーンから楽章間や拍手までノーカットでCD化したこと。これも他の方も記載の通り、1楽章と2楽章間の間があれほど長いのも興味深いし、第4楽章最後激しいアッチェレランドで昇天して弾け飛んだ後、あの8秒ものその場の全員が呆気に取られ余韻に浸ったような長い沈黙。その後の我に返ったようにパラパラと拍手が鳴り始め、フルトヴェングラーが振り向いたタイミングで、熱狂的な拍手とブラボーの声、壇上の団員や合唱団からの足音を踏み鳴らしてフルトヴェングラーを讃える姿をそのままCD化してくれて、当時の聴衆のナチス後の戦後初のバイロイト音楽祭開幕に寄せた正に歓喜が伝わってくるところなどは、歴史的なドキュメントとして価値も含めて、唯一無二である。
    Orfeo盤は本番と同じ演奏とはいえ、全く情報量が違うし、指向が違う。Orfeo盤は、ノイズをカットし、高音域を慣らして、更にダイナミクスも調整され聴き易くなっており、むしろ耳障りの良い音作りでEMI盤と同じ指向性である。BIS盤は音量レベルが低めで、ノイズが気になる向きには耳障りで聴き劣りがするかもしれないが、ちゃんと音量を出して聴くと、上記の理由で眼前に迫ってくる切迫感また楽章間の間や拍手もカットされているため、おそらくバイエルン放送の録音の方がオリジナルに近かったであろうに逆にEMI盤と遜色がない出来になってしまった嫌いがある。ゲネプロの演奏の編集であることが明確になった長年ファンに愛されたEMI盤も、とはいえ紛れもなくフルトヴェングラー他による演奏であり、一般的なGPと本番の違い同様、部分的にBIS盤やOrfeo盤よりも優れた点もある。
    久しぶりにフルトヴェングラーの魔力と戦後間もない当時のドイツの人々の熱気に触れ、感動した。「苦しみから歓喜へ」を強い共感と共に地で行ったこの演奏を、やはり人類の至宝として後世に遺すべき芸術遺産であることを改めてここに記録として記させて頂きたい。Vielen Dank!

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2020/11/07

    演奏自体はヤンソンス最期の姿として多くの感銘、感動を与えてくれることと思う。ブラームス4番が最後の作品となったのは、ある意味象徴的に感じる。
    問題は同日演奏のR.シュトラウスの「4つの最後の歌」を省いたCD企画だ。真に現世への告別の「白鳥の歌」として知られる名曲である。もしかしたらマネジメント上の問題でOKが出なかったかもしれないが。これは全く納得がいかない。ヤンソンス、BRSOの名演の多くの音楽ファンの声として、切にCD化を望む。その際には必ず購入したいと思う。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/09/24

    このブラームス1番の冒頭から、圧倒的に劇的で物々しく、絶望、心からの哀しみと叫びに満ちた悲劇的な音色が覆い尽くす、いかにも重心の低い重厚なドイツ伝統の響きを充満させた音楽が展開された演奏を他の名匠を含めて私は知らない。地の奥底に突き刺さるような決然とかつ深沈とした情念が充満した音楽は、否応なく悲劇の中心に聞き手を惹き込む。正にフルトヴェングラーの個性の真骨頂である。それは悲惨で深刻な戦争を目の当たりにし沢山の哀しみを背負ったから為し得た表現なのかもしれず、今後こうした表現ができる音楽家は、オーケストラを含めて現れないと思う。そんな第1楽章の苦しみから、第2楽章の温かく平和な歌、第3楽章の愉悦、第4楽章の壮大な歓喜の音楽へ大きなうねりと共に到達していく様は、鳥肌ものである。初客演にもかかわらずここまで一体となって表現できたのは、コンサートマスターのレーンの力は極めて大きかったことと納得する。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2016/12/03

    重厚で深みのある伝統的な演奏様式とドレスデン特有の見事に融和したコクのある音色をしっかり踏襲しながらも、温かみと愛情溢れる表現が全編を満たしており、特にブラームス3番は、最近の演奏では聞くことができない熱く濃厚なロマンティシズムが感じ切った各パッセージや息遣いから零れ落ちており、聴くものの胸を熱くさせる好演。この頃の両者によるブラームス1番も見事な演奏でCD化されないかと願っている。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/30

    待望のデュメイ同曲初録音。今回は指揮も自身でやっているところが今までにないパターン。Vn協奏曲はほぼ期待通りの仕上がりで、小編成のヴァルソヴィア管を自在にドライブし強弱やフレージングなど細やかに表情を付けながら、持ち味の伸びやかで輝かしい音色で生き生きと謳い上げている。ロマンス2曲も聴きたかった!ブラームスも過去のブラームスの室内楽宜しくデュメイ主導と思われる緻密にして濃密で自在な見事な表現。
    意外なほどよかったのが関西フィルとの交響曲第8番で、指揮・演奏ともレベルはかなり高く遜色ないどころか、程よい緊張感の中にやりたいことが明確に封じ込められ、早めのテンポで実に生き生きと描き出すことに成功している。音楽の愉悦が伝わってくる名演だと思う。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/30

    晩年のアバドの録音は、好悪を超えて素晴らしいものばかりですが、これも音楽の愉悦に満たされた秀逸な演奏。
    以前の彼のシューベルトにはやや学究的な臭いがあったが、説明調のリピートなど流れの不自然さはここには無い。隙の無い造形と弾むリズム、純度の高い清澄で音楽的な表現と自発性があり、天国的な明朗さ、幸福感もある。『永遠に続くと思われるほど長い』と言われたともすると飽きの来易いこの曲を、部分的でなく全体で最後の最後まで弛緩なく充実した音楽で満たせたのは、私が聴いた中でこの境地に達することができたのはヴァントのみで、まさに双璧。
    最期の演奏となった「未完成」(早くリリースしてほしい!!)と共に、アバドのシューベルト演奏の総決算といえるものです!

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/08/17

    これぞモーツァルトの神髄と叫びたくなる、生き生きとした生命力に満ち溢れる本当に素晴らしい演奏!故郷ザルツブルグにはやはり真のモーツァルティアンがいたのですね!!!正統派と言わしめるに十分な高貴で純粋な気品、しなやかな息遣いとフレージング、躍動するリズム、高音域でVnとフルートなどの管楽器が一体になり天に駆け上がり鳴り響く唯一無二の愉悦、たまりません。録音も細部と全体の程よいバランスでダイナミックレンジも広く極めて優秀。
    あの一世を風靡したボスコフスキー・ウィーンモーツアルトアンサンブルの優雅で呑気なモーツァルトを遥かに凌ぐ快演だと思う。ポストホルンが含まれないのが実に悔やまれる!

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/05/03

    自然な音楽の抑揚、心地よい緊張感とテンポ感、ダイナミックレンジの広いオーケストラを含めた充実の響き、購入してから1年以上が経つが年度聴いても飽きることがなく、気がつくと恍惚に浸っている自分がいる(電車で降車し忘れを乗り過ごすこともしばしば)。何の作為もなく、バッハの音楽が真っ直ぐ無防備な心に充満し響鳴する。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/05/03

    1991年、世界中から奇跡の100歳ピアニストとして脚光を浴びることになった頃の最晩年の演奏会の記録。音楽が始まった瞬間から空気が一変、技術的な衰えは全く気にならない。静かなる狂気と言われ、何も為せずして全てを表現してしまった、晩年のホルショフスキ真骨頂を示した珠玉の演奏。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/02/06

    指揮者、ソリスト全盛期のライブ演奏ということで期待して購入したが、ウィーンフィルとは思えないほどの勢いと外面的な迫力に任せた演奏。感じ入るところが少なく、残念ながら私の心の奥底に響くような音楽ではなく、襞には触れなかった。録音か会場のせいもあるのかもしれませんが(録音自体は優秀です)。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2015/01/04

    何という純粋で優しく慈愛に満ちた音楽なのだろうか!
    ブルックナーの音楽がかくも神、祈り、救い、栄光、宇宙の真理、大自然といった過去の名演が当然に包含していた一筋の光とは全く一線を画したアプローチで、異次元の浮世離れした美しさで表現された例を私は知らない。
    再弱音から開始される冒頭から既に永遠への入口に何の衒いもなくスーッと惹き込まれ、何の力技も恣意的な意図も存在しない極めて純度の高い、清澄で静謐な世界が描き出される。
    即物的な現代音楽や、矛盾に満ちた破壊的な美しさマーラー演奏を熱心に表現してきたアバドが、80歳の最期に生き着いた境地が、先の作品が示した虚無でも破綻でもなく、このように比類なく純粋であり音楽的でありどこか温かく、感謝、優美、慈愛の境地であったことに身震いするほどの凄みを感じ、素直に感動した。
     同様に異次元の雰囲気を放っていた同日の「未完成」の演奏がカップリングされなかったのが非常に残念であったが、ヴァントと同じく最晩年にこの2曲の未完成の交響曲を選びながら全く別の世界観を描き出し、その双方が極限に高度に昇華してしまったことに、改めて畏敬の念を覚えます。ルツェルン祝祭管は、もはやどの奏者の音もアバドの魂と不可分、一心同体となり皆がアンサンブルを聴き合い、感じ合い、共感し切っていてその統一感、緊張感、世界観は1分の隙も無く持続しアバドのこの世への最期のFarewellを見事に体現してしまっている。
    このような美しい音楽を最後に遺してくれたアバドに、心から感謝したい気持ちです。Vielen Dank, Maestro Abbado!!

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/07/22

    ヴァントの他録音を圧倒するだけでなく、過去の大指揮者達を含め数多ある「英雄」の録音の中でも、指揮者/オーケストラ/作品が『知・情・意』の三位一体が完璧なバランスの中で、輝かしい生命力に満ちて表現された演奏は私は知らない。ドイツ伝統の解釈に立脚しながらも、何という造形力、何という躍動感、何という音楽的愉悦、何という深遠な表現!どこかが取り立てて素晴らしいと言う感想は当たらず、緊迫感と明朗な響きで正に作品の素晴らしさを一気に聴かせてしまう。ベルリンドイツ響はNDR響と違いヴァント色に染まりきらず、色濃い表現の自由さを愉しみながらその意図を懸命に汲み取り、自発的で見事なアンサンブルで万全に応えている。Perfectionist ヴァントの面目躍如たる凄演です。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/03/11

    ようやくこういうティーレマンのような自己陶酔型のあざとらしさを感じさせないが、無垢に音楽の本質を鷲摑みにするような説得力ある演奏が出てきたか!と唸ってしまった演奏。基本テンポは現代風の乗りのいいテンポで快活明朗な表現で一貫しているが、各楽章ここぞと言うフレーズではかなり濃密な表現を盛り込みながら自在感があり全体としてバランスが取れている。1楽章展開部のグイグイ引きこむ凄絶なsfテヌート、2楽章の中間部の堂々壮大な盛り上がり、唸る低弦、決然と打ち込まれるティンパニ、弱音部の繊細な哀しさ、3楽章のリズムの最高のgroove、フィナーレの変幻自在な変奏と伽藍のような終結部は特筆に価する。ボリバル交響楽団は確かにプロのオーケストラと比較すれば色に乏しいし、楽器の音色だけで聴かせる様な技はない。しかしその一体感、濃厚な情熱の表出、ノリの良さは他楽団には求められない。ベートーヴェンの音楽は十分に彼らの個性を受容し包含する巨きさがある。今後に大いに期待したい!

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/27

    明るく健康的な輝かしい音色で情緒的でありながら気品と軽やかさも失わない。全く見事な演奏で、いつまでも何度でも聴いていたい演奏。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2013/01/27

    デュメイ/ピリシュの集大成となった本全集だが、彼らの魅力が最大限表現されており本当に素晴らしい。「クロイツェル」を例にとれば、例によって艶やかで輝かしい美音でサディスティックにグイグイ引き込んで行くデュメイをその母性で大きくしなやかに包み込むピリシュのピアノが絶妙な調和を生み出し、造型の調和を崩すことなくドラマティックで緊張感みなぎる1楽章、それぞれの変奏をコントラスト豊かに実に楽しく描き切った2楽章、そして弾むリズムで無窮動のように音型をくっきり印象付けながら有機的に生き生きと表現したフィナーレと文句のつけようが無い。過去のどの演奏も(クレーメル/アルゲリッチすら)ここまで自由に描けなかったし、豊かさと切り込みの鋭さ、動的な演奏が出来たのは彼ら以外にいない。何度でも聴きたい演奏。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:46件中1件から15件まで表示