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ちったん さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/01/14

    このリサイタルの2か月後に東京でも同プロのリサイタルがありましたが、私は聴けずじまい。それもあって、楽しみにこのディスクを聴きました。そして、本当に素晴らしい、これほどまでに素晴らしいベートーヴェンを聴くことができて幸せです。アンコールはバッハの平均律第1巻からf mollのプレリュード。意図しての選曲か、ベートーヴェンのピアノソナタ第1番と同じ調性。輪廻するような構成になっているんですね。ディスクとしてはこの演奏から8年を辿るベートーヴェンのソナタ全曲録音時の演奏との比較が興味深いところですが、メジューエワさんはもう一回りも二回りも成熟されていると感じました。全体の解釈としては大きくは変わっていないのだと思うのですが、聴いた印象はもう別人といってもいいように思いました。楽譜の読み込みの深さ...一言に集約するのならこれなのだと思います。深さが全然違う。そして、それを音にする技術も。本当に楽譜の細かいところにまで拘り、掘り下げて読み込み、音化しています。全曲録音時の演奏よりも様々な面でずっと濃い、情報量の多い演奏です。ピアノの音色もこれは凄いですね。67年製のニューヨークスタインウェイだそうですが、繊細なppから豪壮なffまで見事に輝かしく鳴りきっています。特に31番のクライマックスや32番の1楽章など、ffでは弦を初め箱が鳴りきっているのがよくわかります。こんなに素晴らしいベートーヴェンを実演で聴けた方々が羨ましく思えました。ただ一つ残念だったのが、32番の最後でフライング気味に拍手が入ってしまっていることでしょうか。演奏に被っているわけではないのですが、音のない休符の余韻を味わおうとしている聴衆が大勢いる中で、ごく少数の人がそれを待たずに拍手を始めてしまっています。ディスクで聴いていても気になるので、会場ではもっと気になったのではないでしょうか。残念です。演奏の出来栄えには関係のない話ですけれど。とにかく素晴らしいベートヴェン。そして安心して身を任せることが出来るベートーヴェン。録音もよく、本当に素晴らしい演奏そしてディスクだと思いました。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/06/02

    ソナタ3番からショパン絶筆のマズルカまで、CD1枚目と2枚目の間で休憩を挟んだ、まるで一つのリサイタルのよう。有名曲ばかりではないが、若くして晩年に至ったショパンの侘寂と精神美の世界は心に染みる。ピレシュの自然志向で飾らない生き方と人柄や、音楽への真摯で求道的な姿勢は、NHKのレッスン番組で御覧になり、ファンになった方も多かろう。気付けばピレシュも64歳。この方は今おそらく演奏家として、そして人間としても絶頂期を迎えている。精神と技術の完璧なバランス。ここにはあのノクターンで聴かせた甘さも、かつてモーツァルトで聴かせた微笑みや愉悦もない。そういったものを通り越えた先にある真の自然さと、ストイックな精神の集中。「私の究極の望みは、何も表現しないで表現すること」と言うピレシュの、まさにその言葉の領域へ到達したショパン。それは後期ショパン作品にとても相応しい表現と感じた。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/04/15

    プロモーションに恵まれておらずフランスローカルレベルだが、国内では絶賛されているシャプランのドビュッシー。「今のフランス」の新しい感性と、粋で洒落たフランスのドビュッシー伝統が見事に溶け合っている。和声の響きと微妙な色調のうつろいに徹底的(!)に拘り抜いたピアニズムは、極上の淡い水彩画を眺めるようで誠に美しい。また暖色系の優秀録音も特筆に値する。ローカルでありながらフランスが絶賛する新しい録音で、かつ良い音でドビュッシーを聴きたいという人には絶対的におすすめ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/03/17

    まあこれほど美しい音で弾かれたサティは、ちょっと聴いたことがない。サティのシンプルな書法は、奏者のセンスを丸裸にしそうだが、それがかえってタローの持つエスプリを全開させている感じ。特にタッチと表情の多彩さは、ほとんど「マジック」の領域。考え抜かれたプログラミングと合わせ、拘り派タローのサティ、最高の聴きどころ。録音には所々、会場(教会)の外でさえずっていた鳥の鳴き声が入っている。タローはそれを知っていて、あえてそのテイクを選んだとのこと。また2枚目最後の曲が終わった後にもちょっとした遊びが。タローとゲストたちが本当に楽しみながら作っていたことが、演奏だけでなく、そういったところからも伝わってくる。また、いつもながら

    9人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2008/10/19

    美しいブルックナーに驚かされていたとはいえ、あれは私にとっては馴染みの薄い初稿。しかしラインの黄金は私の大の馴染み。「どれっ」と聴いて、結果、私はこの人の実力を完全に確信させられた。オケの完璧さと美しさ、暖かみ。歌との絶妙なバランス感は特筆に値する。表現には懐の深さと余裕があり、正攻法のワーグナー表現の中に、独自のものもしっかりと織り込んでいて聴かせる。「桁外れの」というような演奏ではないが、聴き手を突き放したり路頭に迷わせることなく、この長丁場を完璧に案内してくれる。この人の人柄すら感じさせるような印象がまた、心地いい。歌手はシュトゥルックマンが流石の歌唱だが、アルベリヒ役のコッホが素晴らしく上手く、インパクトを受けた。個人的には知らない名前が多かったが、皆非常にハイレベルで、その点でも驚いた。録音も良く、続きが心から楽しみだ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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