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4人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/10/21
Guildは精力的にストコフスキーのライブをCD化していますが、ここに来て私が個人的に大好きな1960年代のフィラデルフィア管弦楽団とのライブをCD化してくれたのはうれしいかぎりです。 ところで、この60年代のフィラデルフィアライブの元々の音源はせっかくのステレオ録音であるにもかかわらず、吊りマイクでなくオンマイクで録音されたため残響がほぼなく、音が硬いクセのある録音なのでこのあたりがリマスターされているのかどうかに興味を持っていましたが、Guildがこの前に出した同じく60年代フィラデルフィアライブのブラームス1番はかなり残響が追加されていて、かなり化粧直しされた感じの音に違和感を覚え(残響の追加自体は歓迎ですが...)、残響をもう少し抑えて、かわりに元々の楽器の音の生々しさを出してほしかったなあ、と思ったものでしたが、このCDの二曲は編成が大きいからかブラームスより楽器の音に張りがあって前ほどは違和感を感じませんでした。 演奏はシェエラザードに関して、よりねっとりとストコ節を聴かせてくれるのはデッカのロンドン響とのスタジオ録音ですが、こちらのフィラデルフィアとの演奏はより早いテンポで推進力のある演奏で、ストコフスキー自身の育てたオケだけあって細部にまでコントロールの行き届いた演奏を聴かせてくれます。第1楽章の終わる部分での弦のさざ波を浮き上がらせたり、3楽章でのヴィブラフォンの強調などのストコらしい芸の細かさやロンドン響とはまた違った船の難破の場面の迫力などたっぷり楽しませてくれる演奏です。チャイコフスキーのロメオとジュリエットはしつこい繰り返しをばっさりカットしてあきないように聴かせてくれますし、コ−ダでティンパニの轟きとファンファーレを大胆にカットし、弦楽器群がディミヌエンドして静かに終わるようにしていますが、印象主義的な意図としては私はこちらの方がしっくりと来ます。ティンパニとファンファーレはわざわざここでお終いですと言うようなもので蛇足にしか思えないのです。このチャイコフスキーもシェエラザード同様、早めのテンポでの推進力を基調とした演奏です。 このように60年代のストコフスキーのフィラデルフィア管との演奏は元の録音によるマイナス面があるにせよ、名指揮者と彼の育てたオーケストラとの一体感が生み出す名演奏揃いで、これらの演奏は1960年から1969年の間に録音され録音の数もけっして多くはないので、そのすべてがCD化されることを切に願います。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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