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2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/23
1曲目のバッハからチョン・キョンファ節が表されていて惹きこまれる。ストラヴィンスキーもバッハに挟まれて聴いてみると「モダンなバッハ」みたいに聴こえるような気がした。彼女がどのような意図でストラヴィンスキーをプログラムに置いたのかは分からないが、いい体験ができた。 そしてバッハのパルティータ!チョン・キョンファらしさが一番表れていると思う。節まわしや音の出し方も彼女ならでは。正統なバッハとは思わないが、訴えかけるものの密度が尋常ではない。 バルトーク、ラヴェルも彼女らしさいっぱい。 ライナーノートにあった来日にまつわるエピソードも興味深く読ませてもらった。様々な偏見はどこにでもあるものだ。そんなくだらないものを一蹴するような(ものとのしないような)、そして偏見を尊敬に変えてしまう彼女の演奏がもつ芯の強さが表出したコンサートの記録だ。もう一枚のCD(シューベルト、シューマン)も買った。そこで聴いた感想は上記と同様。 何が何でもチョン・キョンファ賛美というつもりはない。これが各曲の決定盤とも思わない。それでもこのコンサート(CD)に込められた彼女の演奏の求心力に脱帽。 蛇足ながら、2001年位だったか、弟のチョン・ミュンフン&聖チェチーリア(?)と東京で演奏したブラームスの協奏曲もCD化(DVD化も歓迎)をリクエストしておきたい。TVで見た彼女の演奏は神々しくて今でも録画は大事に保管しているがもっとしっかりした音質と画質で鑑賞してみたいものだ。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/22
オーケストラの各楽器の音がクリアに聴こえてくる。これがブーレーズの指揮の妙なのかは私の耳では測りきれないが、他のCDだとモヤッとした音の塊に聴こえてしまう部分に、いくつもの楽器と音の重なりがあることがわかって気持ちいい。夜の闇がただ暗いのではなく、闇の中にさまざまな色(景色)があるのと同じような・・・。そのオケにのってノーマンの大きく豊かな声が、響く。しかもただ大きく豊かというわけではない。囁きや呟きのような精妙な表現にこそ彼女の真骨頂を感じる。個人的な感覚だが、ベルクにはノーマンのような豊かな濃厚な声の方が合う気がする。他のCDの歌手の場合、美しいが線の細く神経質な気がして少し物足りない。 当盤の中で特におすすめはアルテンベルク歌曲集。ミクロな演奏の積み重ねから連なるマクロの音世界への飛翔が特におすすめ。 オーケストラ付き歌曲だけでなく、ピアノとの歌曲も付いてベルクの歌の世界を堪能することができる。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/20
リコーダーとチェンバロ、チェロが少しだけ冷気を含んだ爽やかな風を届けてくれる・・・聴いてみての第一印象。これは何回聴いても同じ。リコーダーが甲高く響かず、落ち着いた佇まい。チェンバロがリコーダーの傍に寄り添い、チェロも近くで歌っている。梅雨のはっきりしない天気の日、夏の暑い日などにお勧めの一枚。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/17
シャコンヌはピアノ、オケ、ギターなど様々な楽器や形態で編曲される。このCDは声とのコラボ。妻への哀悼曲であるという説は面白く読めた。実際にどうなのかは分からないがいろいろな説や演奏が可能であり、どの説や演奏でもしっくりきてしまうところは、バッハの音楽の土台がしっかりしているためなのだろう。 ヴァイオリンとヒリアード・アンサンブルの響き合いは、耳にも心にも心地いい。CDだから声だけのトラック、ヴァイオリンだけのトラックと聴くこともできるし。 「オフィチウム」も美しいが、ガルバレクのサックスが声を邪魔していると感じてしまうこともあった。ヴァイオリンはその点きれいにまじりあい、このコラボは成功していると思う。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/17
一聴してとりこになった。ひんやりとした空気の中で声が交差し響いていく。特殊な人生を歩んだ作曲家の音楽にふさわしいCD。言葉の内容が分からなくても(分かったらもっと凄いんだろうけど・・・)作曲者の心境や想いがヒリアード・アンサンブルの声を通して伝わってくる。美しい残響と声の交わりがとてもECMらしい。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/16
重く、ひきずる・・・。ライブで聴いたときにどう感じるのか分からないが、CDという媒体で音だけが飛び込んでくる状態では正直いって全部聴きとおすのがしんどくなるくらい重い。葬送の行進で担がれるのは死者、担いで歩くのは生き残っている者(または次に死すべき運命の人々)。違いは担ぐか担がれるかだけの違い、人間の生死とは所詮その違いでしかないのだろうか。 小品のピース集といった気持ちで聴くと大変なことになるのでご注意を。リストやベートーヴェンの小品ですらその質量の大きさといったら・・・。今回は「葬送」がテーマだから抜粋なのは仕方ない。しかし、ショパンの第2ソナタなどは是非全曲通して聴いてみたいものだ。 もうひとつだけ書き加えさせてもらうと、当公演が2011年ということであの大震災との関連を考えてしまう(レビューにもある通り、震災前から練られていたプログラムらしい)が、これだけ重量級の演奏でも、(当然のことではあるが)あの震災の悲劇を包みきれないのだ・・・と考えさせられてしまう。改めて大震災の被害に遭われた方々に、つつしんで哀悼の意を表したい。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/15
一番の聴きどころはやはり「幻想曲」。シフによる、生き生きとした演奏からシューマンの意気軒昂、理想への想い、クララへの思慕・・・さまざまなものが伝わってきた。 実は「幻想曲」を他のピアニストで聴いてはいたがもやもやした印象しか残らず、あまり面白く聴けなかった。私の聴き方が不足していたせいだろうが、それでもこのCDを聴いてやっと幻想曲の面白さに気付き始めてきた。第3楽章の異なる稿が聴けるのも嬉しい。ベートーヴェンの歌曲との関連がより分かりやすくなった。個人的に第3楽章は初稿の方が好み。それが聴けるのがいいし、聴き比べできるのがこのCDの一番のポイントと思う。どちらの稿が好みか・・・これから聴かれる皆さんそれぞれが出されるべき愉しみであろう。 ちなみに、私のi-PodでこのCDをいれてあるが、歌詞の部分にシュレーゲル(Friedrich von Schlegel)の「しげみ」を入れておき、聴くときに詩を読みながら聴くようにしている。このやり方は、CDを買って聴かれる方にもお勧めしたい。 それにしても収録されている曲目にも驚かされる。「蝶々」、「子供の情景」、「ソナタ」、「森の情景」に「精霊の主題による変奏曲」まで入って至れり尽くせり。通常ならそれぞれ分けて数枚のCDにするのであろうが、これが1組のCDに入っているコストパフォーマンスにも感謝したい。
4人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/15
歌う、というよりミュラーの詩を音付きで朗読しているような語り口に感じる。G.ジョンソンのピアノ伴奏も急がず、詩の情感を損ねないよう静かに一歩一歩踏みしめるような演奏。けっして劇的ではないがじっくり聴かせる「冬の旅」。 失恋、そこから始まる逃避や苦痛など心の中にある冬の荒野の旅を経て、精神的な破綻に至り、ついには空虚の世界に安住の地を求める若者の歩みを語っている朗読劇のような印象だ。 名盤揃う「冬の旅」、最初の一枚とするにはすこし渋すぎる気がするが、何種類か聴いてこられた方に「こんなアプローチもあった」とお伝えしたい意味でおすすめしたい。 (関係ない話だが、当盤・HMVレビューページに掲載されたマッチョな青色の全身像の写真は合わない気がする・・・)
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/15
聴き始めてすぐに気持ちがスーッと落ち着く、安心して曲に身を委ねたくなるCDだ。「大家の風格」とか「品格ある演奏」といったありきたりな表現ではない、聴いているだけで頭がすっきりし心が落ち着くような何かがある・・・と分からないながら感じる。ホリガーという人はそういう演奏家なのだろうと勝手に決め付けている。懐事情もあるがホリガーの演奏や彼の作品・現代曲を指揮したものも少しずつ集めていきたいものだ。買って良かったなぁ、としみじみ感じさせてくれるCDだ。これからも時々、ゆっくり聴いていきたい。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/15
他の演奏者よりもじっくりとした歩みでシューベルトの晩年(というより死の間際だろうか?)の心境を描きだした名演だと思う。これを聴くと他の盤がセカセカした言葉足らずな演奏に思えてしまう。 ロストロポーヴィチも参加したチェロが堂々と支えてくれることで高音部のヴァイオリンが自由に歌うことができ、ヴァイオリンが歌うとヴィオラの声がしっかり伝わってくる・・・。 特に第2楽章のゆったりとした歌い方がおすすめ。他の盤と比べても時間的に長い。しかし曲の中に込められた孤独や絶望、そこから昇華された祈りみたいな想いは他のどの盤よりも深いと思う。
3人の方が、このレビューに「共感」しています。
0人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/14
1984年のセッション録音のような緻密な感じは少ない。とはいってもセッション録音で150%の緻密さが120%に減っているような感じで演奏が荒いという意味ではない。 それにしてもライブでここまでのテンションと音でくることに驚いてしまう。やはり聴きものはD810。合奏の揃いっぷりやピチカートの生々しさ、各パートの音の美しさと切れこみの迫力は群を抜く。 D810の高ぶりを抑えるために配置されたようなD87でやっとホッとする、そんなCDだ。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/14
劇的な、あるいは劇薬的な「死と乙女」が特に気に入っている。1st VnのG.ピヒラーの美しい音がいつも胸が締め付けられる。そして同時に、美し過ぎるが故に現実とかけ離れた夢うつつのような感覚を起こしてしまう錯覚にいつもとらわれてしまう。 すでに解散してしまったのは残念だが、こういった録音を残してくれたことを感謝せずにはいられない。この後に出たライヴ盤(EMI 1997年)もあわせておすすめ。
1人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/09
清冽でいて愉しい「ます」だ。仲間内で微笑みながらアイコンタクトとって室内楽を愉しんでいる雰囲気がある。カップリング(発売当時のオリジナルのもの)はフルート、弦、ギターの編成の佳品。再発売では違う曲がカップリングされてしまっているが、元の組み合わせのCDを夏に聴くととても池のほとりの木陰にいるようなの爽やかな気持ちになれる。 「ます」は有名曲だけあって名盤は数多いが、このCDももう少し脚光を浴びてもいいのでは? と思う。
内田光子のCDはどれも内田光子の主張がくっきりと刻印されている。一音もおろそかにしないし、内面に深く切り込もうとする姿勢がとても潔く演奏にも表れている。このモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集でも同じだ。 ヴァイオリンのスタインバーグのキリリとした演奏もすばらしいが、なにかホッとできない。ここまで切り詰めなくてもと少し感じてしまう。愉悦感というかもっと自由さがあったらいいなと思ってしまった。もちろん、演奏は上手いし、二重奏の掛け合いもきびきびしている。特にK304はいかにも内田光子らしい緊迫感あふれるモーツァルトが楽しめる。 ゆったりしたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを聴きたい場合はファースト・チョイスにはならないと感じる。甘ったるいだけのモーツァルトから離れたい場合はおすすめのCD。
6人の方が、このレビューに「共感」しています。 2013/06/08
「冬の旅」はリートの枠を超え、もはやモノオペラというか独り芝居というかすごい作品だと思っている。ゲルネの深々とした声が私にとって「冬の旅」の理想。テノール(や他のバリトン)も歌っていてそれもよいと思っているが、それでもゲルネのこの盤に戻ってしまう。ブレンデルの伴奏もゲルネの「モノオペラ」を支えるオケのように雄弁。シューベルトの歌曲集、なんて甘い気持ちで手に取ると凍え死んでしまうのでご注意を。
6人の方が、このレビューに「共感」しています。
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