水上の音楽(ロンドン・フィル、1950)、王宮の花火の音楽(コンセルトヘボウ、1952)、他 エドゥアルド・ヴァン・ベイヌム
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センメル | 東京都 | 不明 | 2017年11月22日
ベイヌムというと、ロマン主義の大家メンゲルベルクへの反動で、個性の主張が少ない謙虚なタイプの指揮者といわれているようだが、彼のファンとしては不十分な評価にきこえる。たしかに彼に誇張じみた表現は一切みられないが、逆に当時の風潮からすれば著しく革新的な芸風だったはずだ。特にデッカ時代(1950年代前半)にみられるキビキビ弾むリズムと引き締まった造形は、誰も真似することができなかっただろう。その頃の録音であるビゼーのアルルの女組曲の冒頭など、先鋭かつ前衛的とされるケーゲル盤を上回る切れの良さを示し、一方エグモント序曲のコーダ直前のリズムを倍の遅さで強調するなどは実に大胆で、彼の内面に表現主義の魂が赤々と生きていることが分かる。そしていかなる場合でも気品を失わず、細やかなルバートや強弱によって音楽が無味乾燥になるのを防いでいるのは、彼の気高い音楽性がなすことなのだろう。 このCDでは「水の上の音楽」(1950年録音)がもっとも出来がよく、しかも彼のステレオ盤とは違うハーティ版による組曲なので存在価値が高い。緻密な弦楽器やコクのあるホルンの音など、ロンドンフィルがコンセルトヘボウとみまがう《ペイヌムの音》を演じきっており、リズムの鋭い部分と品の良いデリカシーがすっきりした造形の中に封じ込められている。 もうひとつの聴きものは、JCバッハのシンフォニア作品18−2の第2楽章だろう。ここではコンセルトヘボウの首席オーボエ奏者ハーコン・スタトイン氏の絶美なソロを堪能できるからで、ベイヌムは氏のオーボエをこよなく愛し「それ以上美しくしたら死んでしまうよ」と語ったというが、この演奏で私たちも合点がいく。繊細かつメランコリーなオーボエが綿々と歌い上げるカンティレーナに、ベイヌムならずもうっとり魅了されるに違いない。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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